第八話 小っちゃいのにすごいね!
「私、500年も封印されてたの? 噓でしょ」
「伝説扱いされてたな、肩車してて正解だ」
「と、とにかくガウドスに行くわよ」
「まあ、待て」
「何? 早く行きましょ」
「……金がない」
「へ?」
「ガウドスまでの交通費が足りない」
そう、1週間生活できるかどうかの懐事情なのに遠出なんてできるわけないのだ。
「金ってなに?」
……そこからか。
「今までどうやって生きてきたんだ?」
「森の動物を狩ったり、木の実を採ったり、あとは人間にいろいろもらったり?」
だめだこりゃ。
「金っていうのは色んなものや奉仕と交換できるものだ。それが無いと生活していくのは難しい。それにガウドスにも行けない。」
「ふーん。まあ何とかなるでしょ」
「何も分かってねぇ!」
さて、お金を稼ぐにはどうすればいいかな。冒険者登録してあるし、依頼を受けるのが手っ取り早そうだ。
というわけでまたまた冒険者ギルドにやってきました。
「フレアさん、依頼を受けたいんですけど」
「なるべく多くお金がもらえるやつね」
再びの訪問にフレアさんは少し驚いているようだった。
「依頼ですか? 報酬が多い依頼は難易度が高いので、実績を積まないと受けられません。ですので、簡単な依頼をこなしてもらう必要があるんですけど。えーと、今は討伐系の依頼しかないですね」
「えっと、知り合いとパーティーを組むことになったので多少難易度が高くても大丈夫ですよ」
「そうなんですね! あ、でもその方ギルドに登録されてます?」
そうだ、すっかり忘れてた。パーティー全員登録しないと依頼は受けられない。
「決まりなので守っていただかないと……」
「ここにいるから大丈夫よ」
俺が止める間もなくヘスティアが答えてしまった。そのまま受付のカウンターに降り立ち
「登録ってどうすればできるの?」
と、聞いた。これはもうごまかせないな。
「こちらの姪っ子さんとパーティーを?」
「ええ、まあ。意外と腕が立つというか。あはは……」
まずい。すでに周りの冒険者たちがこちらに注目している。
「えーと、じゃあまずはスキルの鑑定をしますね」
俺の心労など気にすることもなくヘスティアが魔道具に手をかざす。
「はい、出ました! これは……『熱操作』! 魔法士になれますよ! 小っちゃいのにすごいね!」
「小っちゃいっていうな!」
フレアさんは人のコンプレックスを見抜いて口に出す天才かもしれない。
「でも、スキルの強度までは測れないのでまだ何とも言えませんね」
前から思ってたけどそれって結構な欠陥じゃね?
「それにまだ幼いですし……」
実際は500歳オーバーだけどな。ってなんでこっちを睨むんだよ! いよいよ思考パターンが読まれてきたな。
「元気だしなよ。まだ小さいんだし、そんなに焦らなくてもいいと思うよ」
お前は例の白い騎士! 何かこの場面見たことあるぞ!
「まだ小さいしな!」「無理しない方が良いよ!」
野次が飛んでくる。って俺のときよりずいぶん優しいな!
「また小さいって言った……」
やばい。ヘスティアの声が震えている。
「じゃあこうしよう。僕のこの籠手に少しでも傷を付けられたら君の実力を僕がギルドマスターに直接進言しよう」
そういうと彼は籠手をテーブルの上に置いた。というかこれでもかってくらいフラグ立てたけど大丈夫かな……。
「じゃあどうぞ」
「小っちゃい小っちゃいうるさああああい!」
ヘスティアの絶叫とともに炎の鎚が現れトーチを振り下ろすと鎚も連動して振り下ろされる。その一撃は籠手とついでにテーブルを焼失させた。床には大きな穴が開き、縁は真っ黒に焦げている。
俺が騎士の方を見ると、案の定呆然としていた。たぶん俺が初めてヘスティアの魔法を見た時もこんな感じだっただろう。
「これでいいでしょ。早く登録して」
フレアさんもきっと腰を抜かしているに違いない。
「すごいですね! でもギルドの床に穴を開けちゃだめですよ。あと、規則があるのでやっぱり難易度の高い依頼はお任せできないそうです」
肝据わりすぎじゃない!? ギルドの受付ってすげぇ。
「今俺たちが受けられる一番難しい依頼は?」
「はい! えーと、街道沿いの魔物討伐ですね」
「報酬はいくらですか?」
「1000ゴールドです。受けますか?」
「じゃあお願いします!」
「分かりました。これが依頼書です。頑張ってください!」
俺は依頼書を受け取る。そこには依頼の詳細が記されていた。
「場所はあの遺跡の近くの街道だってさ」
「それってガウドスへ向かう道?」
ヘスティアが俺の頭によじ登りながら聞いてくる。
「そうだな。でも今の所持金じゃ途中で荷馬車から降ろされるぞ」
「分かってるわよ。言ってみただけ」
「じゃあ昼飯食べたら行くか」
とりあえず一旦家に帰ることにした。初めての討伐依頼だ。ちょっと緊張してきたな。
「面白かった!」
「続きが気になる!」
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