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第十六話 恐ろしく速い吹き矢

 俺たちは森の奥へと進んでいた。


 しばらくするとヘスティアが動きを止めた。


「前方から5人向かってくる。きっとエルフだわ」


 次の瞬間、矢が5本こちら目掛けて飛んできた。すかさずカリュプソが水の壁を作りそれを防ぐ。


「ちょっといきなりなんなの!? 私たちは味方よ!」


 まもなくしてエルフの男5人が木々の影から弓を構えて現れた。


「お前たちは何者だ。今、森へ入ってくるということは我々の敵だろう」


 人間の俺があまり前に出るのはまずいだろう。ここは予定通り2人に任せよう。


「敵じゃないよ! 私たち精霊なの。アネモイを助けに来たんだよ」


「精霊様? そのお姿は……」


「分かったら弓を下ろしてちょうだい」


「精霊様の名を語る偽物め……! 捕らえろ!」


「なんでぇ!?」


 エルフたちが一斉に矢を放つ。カリュプソがまた水の壁で応戦する。


「ちょっとどうなってんのこれ!?」


「分からないわ! とにかくこの場を脱出しないと」


 おいおい、なんかやばいことになってきたぞ。俺たちはジリジリと矢を捌きながら後退する。


「とりあえず川まで戻ればっ」


 視界の端でヘスティアが倒れた。


「「ヘスティア!?」」


 なんだ?どこから攻撃された?


 ヘスティアは前方に炎の壁を展開していたから側面か後方?分からない分からない!


「痛っ!」


 首の後ろに虫に刺されたような痛みを感じたのを最後に俺は意識を失った。




「……ル! マモル!」


「うーん」


 ここはどこだ?確かエルフと戦闘になって、俺は意識を失ったのか。


「良かった。起きた」


「ヘスティア? ここは? カリュプソはどうした?」


「エルフ族の牢屋みたい。私たち捕まったのよ。カリュプソはそこでまだ意識を失ってるわ」


 しばらくするとカリュプソも目を覚ました。


「何ここ!? 私たち何でやられたのよ?」


「多分麻酔系の毒矢だと思う。意識を失う直前に後ろから熱の反応があったの。でもおかしいんだよね。反応は体の一部だけだったの。それに急に現れたのよ、後ろに回り込まれたわけじゃない」


「もしかして地面に身を潜めてたとか? そうしたら土に埋まってる部分は反応しないんじゃないか?」


「確かに! 地中の温度はだいたい体温と一緒だから分からなかったんだ!」


「え? ってことは私たちそれに気づかず上を通ったってこと? やられたわね」


「フン、地中で待ち伏せしていたことに気付くとはなかなかやるな」


 そのとき、檻の前に男のエルフが現れた。麻の服と短剣を身に付け、引き締まった体つきだ。一言で表すなら無駄がないって感じ。


「ちょっと! これほどきなさいよ! 全然燃えないし、どうなってんの!?」


 ヘスティアが言っているのは俺たちを後ろ手に縛っている縄のことだ。きつく縛られていて動かすと擦れて痛む。というかあのトーチが無くても魔法使えるんだ。


「それはとある火山に生息する植物から作ったものだ。火山が噴火し、溶岩が流れてきても燃えることはない。諦めるんだな」


「私たちをどうするつもりなの?」


 カリュプソが質問するとエルフは淡々と


「精霊様の名を語った不届き物はアネモイ様の前で殺す」


 と言い放った。


「ちょっと! 私たち本物なんだってば!」


「そんな訳ないだろう」


「でもほら! 飛んでるし魔法も使えるじゃん」


「そういう生物は他にもいるかもしれない。それにエルフ族に伝わるアネモイ様のご友人のお姿はすらりとした手足に大人びた顔つき。お前たちとは似ても似つかん」


 確かに可愛いとは思うが大人の女性とは口が裂けても言えないな。ちんちくりんって感じだ。ってなんで二人とも目を逸らすんだよ。


「じゃあな。お前たちは夕刻にはもうこの世にはいない。その時まで静かに待つんだな」


 エルフは檻の前を去ろうとする。


「待ってくれ。俺ならアネモイの封印を解ける!」


 エルフの足が止まる。


「ほう、どうすれば解けるというんだ」


「触れば解ける」


「話にならんな。そんなことを信じてアネモイ様を危険にさらすわけがないだろう。我々が500年かけてもあの封印は解けなかった。お前に解けるはずがない」


 まあ、そりゃそうなるわな。エルフは奥へ消えていった。


「どうする、二人とも。って何やってんの?」


 ヘスティアとカリュプソが泣きそうな顔でこちらをじっと見つめてくる。


「「見栄張ってごめんなさあぁぁぃ!!」」


 なんのこと!?


「500年前、エルフに姿のことを聞かれて咄嗟に言っちゃったの。手足の長い美女だって」


「私も、そのっ、胸の大きさとか盛ったというか」


「つまり今の状況はお前たちが500年前に見栄を張ったのが原因だと」


「「はい……」」


「バカバカばーか!! このまま死んだら絶対化けて出てやるからな!」


「「ごめんなさい……」」


「まあ過ぎたことはしょうがない。こうなったらアネモイの封印を解いてこの状況を収めてもらうしかない」


「でもどうやって?」


 俺は声のボリュームを下げる。


「ちょっと待って。今縄をほどけないか試してみる」


 もし俺のスキル「鍵師」が閉じているものを開ける能力なら、こんな縄くらいほどけるはずだ。


 頼む! 開けるしか使い道がないのなら、せめてチートであってくれ! 解除!


「ほどけたっ」


 喜びの声を抑え、二人の縄もほどく。


「よーし、このまま脱出……」


「アネモイの場所は分かるのか?」


「そっそれはっ」


「殺されるギリギリまで捕まったふりをするのが賢明ね。私たちはアネモイが封印されている場所に連れていかれるらしいから」


「その通り。じゃあ今のうちに大体の立ち回りを決めておこう」



「面白かった!」


「続きが気になる!」


と思ったら


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面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、もちろん正直な気持ちで大丈夫です!


ブックマークもしていただけると嬉しいです。


これからも執筆していくので、応援よろしくお願いします。


追記:ブックマーク、評価ありがとうございます!


追追記:小説家になろうの外部ランキングサイトがあるらしいので始めてみました。1日1回までで、リンクを押すだけで自動で投票ができます。目次とページ下部にリンクがありますので気が向いたらどうぞ。


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