第十一話 (寒くて)←これ大事
「また派手に壊したわね」
遺跡の惨状を見てカリュプソが一言。その通りです。ウリカイは先に荷物を持って街に行くとのことだったので俺たちだけで来た。正直、最初に入った入り口からはもう入りたくないのでヘスティアが開けた穴から入ることにした。
中に入ると精霊殿の壁が崩れていた。
「これもヘスティアがやったの?」
「え?それは違うけど?あ!あったよ、燭台!」
確かに俺たちが脱出した時はこんな壁に穴なんか開いてなかったけど。
壁の向こうの部屋に入ってみる。すると何かの毛が落ちていた。そして壁が牙でひっかいたように傷ついている。まるで大きなイノシシがここで暴れたような感じだ。あれ?
「なあ、ヘスティアを封印した奴が封印を解かれないために魔物を配置することってあり得る?」
「あり得るんじゃない?」
「そして、そいつが穴が開いたのに乗じて遺跡を崩落させ遺跡から逃げ出した」
「それもあり得るね。あっ」
ヘスティアも俺が言わんとしていることに気づいたみたいだ。
「そして俺たちはそいつに襲われた商人を助け、高額の買い物をさせようとしている」
「「…………」」
「……2つ合わせて1500万ゴールドにまけよう」
「「異議なし」」
とんだマッチポンプである。まあ悪気はないんだけどウリカイが可哀想だ。それ相応に儲けてもらおう。
「というか街道沿いの魔物ってあのでかいのから逃げてきたんじゃ……」
……マッチポンプその2。
その後、街に戻りなんとかウリカイを説得して1500万ゴールドで買い取ってもらった。そしてウリカイを通じて、街道の魔物の被害に遭った商人に匿名で寄付をした。ウリカイよ、そんな尊敬の眼差しで見ないでくれ。実は全部俺たちが元凶なんだ。ごめん。
「これでやっと帰れるな」
長かった一日も終わりだ。
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ここが二人が住んでいる家ね。まあ、悪くはないんじゃない?
「どうした、カリュプソ。早く入るぞ」
「今日の夕飯なに?」
「あー、買い物してくるの忘れた。今日もじゃがじゃがでいい?」
「昨日のやつ?やったー!」
なんか二人とも大分親しげね。……別にうらやましいわけじゃないけど。
「あ、そうだ。カリュプソ料理できる?」
もしかして、私に手伝わせようとしてる?
「あなたの手伝いなんて……」
「私も手伝うよー!」
「しょうがないわねっ!?洗い物くらいならやってあげるわ!」
ヘスティアも手伝うならやってあげないこともないわ。仲間はずれが嫌とかそういう訳じゃないけど。
「おっ、二人ともサンキュー」
「というかじゃがじゃがってどんな料理なの?」
「あー、なんて言えばいいかな。肉とジャガイモと野菜を甘じょっぱく煮る料理があるんだけど」
「ふーん」
「その肉をジャガイモにした料理だな」
「ジャガイモだらけじゃないの!」
まあ、昨日までは節約するつもりだったからなと苦笑いするマモル。
「でもジャガイモに味が染みてて美味しいんだよ」
ヘスティアがそう言うのなら仕方ないわね。
「ん。おいしい」
「でしょでしょ!パクッ」
マモルが作った料理は想像以上に美味しかった。
「「「ごちそうさまでした」」」
その後、ヘスティアがお湯を沸かし全員がそれぞれシャワーを浴びた。
「ふぅー。気持ちよかった」
「じゃあそろそろ私は寝るわ。この布団使っていいのよね」
「うん!おやすみ、カリュプソ」
意外と悪くない暮らしね。ご飯も美味しかったし。
「あ、ヘスティア。今日も一緒に寝てくれない?」
……え?マモルは今なんて言ったの!?
「しょうがないわね」
ヘスティア!?いいの!?ちょっと待って。落ち着け、カリュプソ。何かの間違いかもしれないじゃない。ここは冷静にいきましょう。
「聞き間違いじゃなければ一緒に寝てくれないって聞こえたんだけど?」
「ヘスティアがいないと(寒くて)死んじゃうからな」
ヘスティアがいないと死ぬ!?もうそんなの愛の告白じゃない!
「マモルは私がいないと(寒くて)ダメだからね」
マモルは私がいないとダメ!?もうそれ夫婦じゃん!
「そ、そのっ!二人がそういう関係ってことは分かったから私の前でいちゃいちゃしないでくれるっ!?」
「「は?」」
え?どういうこと?
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「あはははは!まさかそんな勘違いをするなんて」
「カリュプソって案外抜けてるよね~。純情でかわいい~」
「もういいでしょ!っていうかそっちが誤解されるような言動をしたのが悪いんじゃない!」
カリュプソが怒りと恥ずかしさで真っ赤になっている。
「そうだ!カリュプソも一緒に寝ようよ」
「へ?なんでそうなるのよ!」
「500年ぶりの再会を祝して!みたいな?」
「なんだそりゃ。俺はもう寝るわ。おやすみ」
今日は本当に疲れたから普通の人間の俺はもう活動限界だ。一応端っこに寝る。
結局その日の夜はカリュプソも一緒の布団に入って寝た。
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