第十話 精霊カリュプソ
今日は複数話投稿予定です
俺がカリュプソの封印を解く!
「なあ、命とお金どっちが大切?」
商人は一瞬何を聞かれたのか分からないといった表情をしたがすぐにその意味を理解した。
「フフ、君は悪魔ですか。いいでしょう、いくらでも払ってやりますよ」
「そうか、言質とったぞ。じゃああのランプを俺たちに譲ってくれ」
「ランプ? 確かにあれは高値で競り落としましたが、あれは商人の勘というか……。あれでよろしいのですか?」
「十分だ」
後は俺があのランプに触れるかどうかだ。俺はゆっくりと魔物に近づいていく。
「まさかあれに触らなければいけないのですか!?」
「ああ、そのまさかだよ」
商人は少し考えると
「ならば手を貸しましょう。これでも商人です、目には自信があります。スキル『鑑定』で魔物の動きを見切って見せましょう。もちろん私を信頼してもらわないといけないですが……」
と提案してきた。
「頼むよ、取引成立だ」
こうなったらもう神でも悪魔でも信じてやるよ。どうせ失敗したらみんなあの世行きだ。
「ヘスティア! 魔物をこちらに向かわせてくれ!それしかない!」
「本気!? どうなっても知らないよ!」
ヘスティアは飛び回るのを止め、こちらに背を向けて火球を発射し始めた。飛び回られるのが相当鬱陶しかったのだろう。魔物は、頭を下げると全速力でこちらに突進してくる。ヘスティアは上空に退避。
「ダメだ! 魔物が早すぎます!」
「ならこれでどうだ!」
ヘスティアが炎の鞭で魔物の後ろ脚を拘束。一瞬魔物の勢いが緩んだ。
「これなら……! 今です! 後ろに跳びながら手を前に!」
魔物はもう目と鼻の先だ。俺は全力で右手を伸ばし、後ろに跳ぶ。
「封印かいじょおぉぉ!!」
右手がランプに触れる。頼む! 間に合ってくれ!
刹那、ランプから大量の水があふれ出し魔物の突進を受け流すと同時に俺を流し飛ばした。魔物は何が起こったか分かっていない様子だったがすぐに目標を定め直し、こちらへ向かってくる。
……はずだったが、蹴りだす地面がなかった。魔物の足は空を、いや水を切る。
魔物が水に包まれ空中に浮いていた。
「全く精霊使いが荒いわね。久しぶりに外に出られたかと思えば、今度は魔物と戦わせられるなんて。ねぇヘスティア?」
そこにはヘスティアと同じくらいの背丈の精霊がいた。透き通っていて、それでいてそこが見えない青い瞳。後ろで束ねられた青い髪が白いワンピースに良く映える。
「カリュプソありがとう! そのまま拘束してて!」
ヘスティアが言葉を紡ぐ。すると魔物の下に巨大な魔法陣が出現する。魔物は必死に逃げようとするが水中ではどうしようもない。
「いっけええぇぇ!」
初めて会ったときよりも、一回り大きい火柱が魔物を貫く。そして、戦いは終わった。
「死ぬかと思った」
「まさかあのランプに伝説の精霊が封印されていたなんて……。ということはあちらのご婦人も?」
「ちょっとヘスティア! どうゆうことなのこの状況は!? あの男は何なの!?」
「カリュプソ~、久しぶり! 元気だった?」
「人の質問に答えなさいよ、全く……」
俺はヘスティアに文句を垂れている精霊に近づく。
「君がカリュプソか?」
「そうだけど、あんた何なの? 封印を一瞬で解いちゃうなんて」
俺はカリュプソにスキルの事とヘスティアと出会った経緯を説明した。
「封印を解ける鍵師のスキルなんて聞いたことないわ。それでヘスティアと一緒に行動してるのね」
「そういうことだ。これからの事も話し合いたいし、今日はもう帰ろう」
「すみません」
「うわぁ! なんだ商人さんか」
「ウリカイで結構です。荷物を確認していました。それで私はどうすればいいのですか?あなた達は命の恩人です」
俺は別に大したことしてないんだけどな。
「どうって言われてもカリュプソを開放できたんで後は何も……」
あ、そう言えば解決してない問題があったな。これから交通費をどうするかだ。でもそんなこと言ったら全額出します!とか言いそうだしな。
「じゃあ、このランプもういらないから買い取ってくれ。いいよなカリュプソ?」
「ええ。もう見たくもないわ」
「もちろんです。精霊様が封印されていたランプなんて国宝級の宝物ですよ。適正な値段で買い取らせていただきます。1000万ゴールドでいかがでしょう?」
なんだって? 1000万!? えーと、1週間分の食費が1000ゴールドでそれの1万倍だから、日本円にすると…………。頭痛くなってきた。
「何? そんなに貴重なの? じゃあ私の燭台も取りに行こうよ。遺跡すぐそこだし」
「ヘスティア様のもあるのですか!? じゃあ2つまとめて2000万ゴールドで買い取ります!」
なんかえらいことになってきたな。まあお金はいくらあってもいいし取りに行こう。
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