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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

悪役令嬢はやり直しを神に願う

作者: REN

国の民が断頭にいる私を見つめる。今か今かと私の首が飛ぶのを待っている。嘆くものなど一人もいない。あぁ、神よ!私は間違えたのか!もし居るのなら過去へ!私が間違う場所まで戻してほしい!もう私は間違えたくない!

ヒュッと風を切る音が鳴り、刃が落ちてくる。そして私の首は飛んだ。


*******


私はエリス・ブラニエット。ブラニエット公爵家の一人娘である。一人娘ということで両親は私を可愛がった!それはもう、私の言う無理難題を何でも叶えようとするくらいには!また私は他の女に比べ顔が良い。良すぎている。社交界でも多くの男に誘われる。引く手数多な状態だった。その男達も私の言うことを聞いてくれる。私が好きになっちゃうかもと言えばそれはもう良いパトロンだろう。だから世界は私が中心で、周りは私の言うことを叶えてくれる脇役だと無意識下に思っていたと思う。


私には婚約者がいる。この国の皇太子、アルファード・サンドレイドである。アルファードは国内一の美貌を持っており、私が一目ぼれしてしまうほどである。あぁ、こんな衝撃は初めてだ!私より美しい顔の持ち主がいるとは!あの人を私のものにしたい!抑えきれない渇望だった。私は直ぐにお父様にアルファードのことを話した。私の家は公爵家だ。皇太子の婚約者になるのも難しくない。


婚約者になるのにそれほど時間はかからなかった。しかし妃教育が始まった。私はこれが嫌だった。毎日何時間も何時間も勉強、マナー!苦痛でしかたない。ただ、勉強の先生は男もいた。男には上目遣いで手でも握って「今日はもういいよね…?」といえば簡単に許してくれた。ただ、侍女がそれをアルファードに報告したらしい。先生は全て女になった。女は面倒だ。上目遣いが効かない。だから今日はやらない、強要するなと命令をした。大概の先生は従った。私の方が爵位が上だからだ。アルファードは父から圧力をかけてもらい、意見できないようにした。報告した侍女にはお仕置きをした。その女には婚約者がいたため、婚約者の目の前で複数の男に襲わせた。結果女は婚約破棄をされ、自殺したそうだ。また命令に逆らう者たちはお父様に頼んで家ごと潰したり、私が暴力を振ったりした。スッと胸が軽くなるような快感だった!私に逆らうのが悪いのだ。


アルファードとは週に3回はお茶会をしていた。最初は色々話していたが、どんどんアルファードが話さなくなっていった。お茶会も回数が減ってきて月に1回程度になってしまった。これはおかしいと思った。私の美貌は通じていないのか?それともアルファードを誑かす女がいるというのか?私はそのことをお父様に伝えた。お父様は直ぐに調べてくれた。どうやらアルファードは変装して街に行き、平民の女とデートをしているそうだ!私でもしたことがないのに!その女が許せなかった。死ぬだけじゃ物足りないと思った。だから私は女の周りから潰した。両親、兄弟、友達など親しい順から潰した。やっていくうちに彼女の精神が壊れた。アルファードは私にすごく怒ってきた。だから私はにこやかに言った。「貴方が間違えたからですよ?」と。


アルファードは反省したのか週3でお茶をしてくれるようになった。ただ冷たい目線と無言なお茶会だったが、アルファードの美貌が見れる、傍に入れるだけで十分だった。


アルファードの浮気事件から少し時間が空いた頃、私たち公爵家一家は王に呼び出された。そこではお父様の汚職や私がやってきたことを鮮明に述べられた。反抗したが誰も聞く耳を持たなかった。結果公爵家を没落とし、婚約は白紙の状態に戻す。公爵家一家は死罪にすると述べられた。私は絶望した。この美貌で王に話しても相手にしてもらえなかった。


処刑の日まで私たちは牢に入れられた。親とは別の牢だった。そこで私は皇太子が見ている前で複数の男に襲われたり、暴力を振るわれたり、どこか聞き覚えのある内容を身に受けていた。私の精神はボロボロになっていた。


処刑の日がやってきた。父が最初に処刑され、私が最後のようだ。家族の死を近くで見なくてはいけないのか。私はここまで何かをしたのだろうか?処刑が始まり、風の切る音、首が切れる音が聞こえる。父が、母が死んだ。民は盛り上がっている。私の番の時皇太子が私に近づき言った。「貴方は間違えたんですよ?」と。


あぁ、神よ!私は間違えたのか!もし居るのなら…

いや待ておかしい、この情景、このセリフ、デジャヴ感がある。私はどこかで…

ヒュッと風を切る音が鳴り、刃が落ちてくる。思い出した、これで52回目だ。あぁ、止めてくれ、殺してくれ、過去になんか戻りたくない!

そして私の首は飛んだ。


こういうオチ好きなんです!

ご拝読ありがとうございました。

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