傷付いて
薬を差し出してくれたあなたは、残酷で優しい……。
ガラスが粉々に砕ける様に
心にひびが入った様に
その一言で傷付いた
別れを告げて、一人になった
ガラスの心臓
ひびが入ったまま抱えて生き続けてきた
直すこともなく
新しく何かを見つけることもなく
ある日、あなたに出逢った
あなたはわたしの抱えたひびだらけの心臓に気付いて
薬を差し出してくれた
戸惑っていると
笑ってくれた
笑いかけてくれた
「もう大丈夫だよ」と
その一言で救われた
傷は少しずつ癒えてきた
傷が癒えると、あなたは別の誰かにも薬を差し出していた
そんなあなただから好きになった
そんなあなただから、別れを告げた
少しまだひびの入った心臓を抱えて
今度は自分で自分に薬をつける様に
鏡に向かって笑う
「わたしは一人でも大丈夫」と小さく呟いて……
お読み下さり、ありがとうございました。