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三途の川の前に…  作者: 幻月
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第5死

家族の愛ってなんでしょうね。

私のお父さんは風水について何故か詳しい。

ただの公務員だったが。

机には必ず、風水関係の私物が散乱していた。

そのせいかなぁ…私には見えてはいけないものを見えるようになったのは…。

関係ねぇか。



いつも通り荼毘を続ける。

今日のお客様は子供だ…

子供は苦手だ。骨が少ない上に、両親は神経質になる。私の無機質で無感情な行動は案外目につくようで、たまにクレームになる時があるからだ。

正直困る…


あ、来た…

「お姉ちゃん…これ、僕?」

そうだけど?見てわかるでしょ?と内心思いながら、頷いた。

「フゥン、そーなんだ…やっぱり僕、死んじゃったんだね。」

「なんだ、あっさりだね。」

少年の遺体を荼毘に伏せながら椅子に座り、純粋な魂と化したお客様と話す。

どうやら、彼は発見されてから一週間経っていたようだ。だから臭いがあったのか。開けるなと社長から言われたから、納得した

どこで発見されたか…押入れだったらしい。


「なんで押入れから出なかったの。死なずに済んだんじゃないの?」

「ママが出るなって言うから。男の人が来た時は絶対出るなって」

出た…ネグレクト…。マジかよ…。

じゃあ、泣きながら棺についてきた母親は嘘泣きじゃねぇか。


「おかしいとは思わなかったの。」

「なんで?ママは優しいから、僕を護ってくれたんだよ、きっと。」

洗脳という言葉が私の頭によぎった。

子供ってそうなんだよね。親がいてこそ、生きることの意味を成しているのだから。

現に私も父の影響を受けて、強い霊感と無駄な風水知識、ホラー好き…

私は幸せな方だ、彼は違う影響を受けて、寧ろ、洗脳されて命を落とした。

呆れながら、待合室の前に行くと、母親の声が聞こえた。どうやら、誰かと電話をしているようだ。


「ねぇ、もうお荷物がなくなったからさ…結婚してくれるよね?」

えっぐ…あの子に聞こえないといいけど…と願った矢先、後ろについてきていた。

おい、少年、女のトイレについてこようとしていたのかコノヤロウ。

しかも、母親の言葉を聞いてしまったという二重の不運。

さっきまでの純粋な魂から、何かピリッと感じた。

振り返ったらまずい気がしてきた…

そっと振り返ると…赤い魂に変わっていた。

あぁ…やっちまった…。私は取り返しのつかない事をしてしまった気がする。


急いでトイレを済ませ、収骨を済ませるが、周りが赤い霧が纏う。

怖かった。

そう、子供は純粋だから…恨みを持ったら最後…


そのお客様の母親は骨壷を受け取り、一礼して去ろうとした。

その後ろをいかにも殺しにかかりそうな目で睨む子供…

母親に私は言ってしまったのだ。

「道中お気をつけて。くれぐれも…」

母親は優しい笑顔で一礼した後、車に乗り去っていった。


「もうママを許さないんだね?」

「………。さよなら、お姉ちゃん。」

そう言い残し、下へ続くうっすら不気味な階段を降りて行った。

この光景は…








翌日、ニュースにてその母親が乗っていたバスが横転し、事故死した事を知った。

子供はやはり苦手だ…

人を呪わば穴二つ…あんなに幼くても…やはり地獄に行ってしまうんだなと、ぼんやりと考えてしまった。

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