第1死
実話を元に制作しています。
一話ずつ完結の連載系にさせて頂いております
実は…死後も貴方の傍にいますよ…
どんな死を迎えても…必ず
私は…葬儀屋を営んでいた
いや…雇われていた。
1人のお客が運ばれてきた。
綺麗な御遺体…
しかし、普通の普通の死ではないことは明白だった。
首に縄…そして…刑務所からの依頼。
あぁ…死刑か。
私には見えてしまった。
執行された直後の霊体を。
そう…私は見えないものが見える体質で…霊感が異常に強いのだ。
地獄に落ちる直前の魂とは不思議で…通常の霊より真っ赤なのだ。
あぁ…この人は…これから三途の川を渡る準備段階なんだな。
「貴方…自分の罪を死んでも償うんですね。貴方はこれからも苦しむ。苦しかった?」
不毛な質問をした気がする。
「分かりません…」
へぇ…死刑されると感覚なく命を落とすんだな。
霊感で嫌な思いしてきたが、普通では分からない事が私には分かるのだから。
死刑執行後の魂を見る事が出来る。下手なジャーナリストより取材出来るレベルだと、自負してる。
まあ…死刑にされた人間にまともなやつはいない。
だから手厳しく睨む私に問い掛ける。
「死刑執行されて、遺族は満足だろうか?」
なんで私に聞いてきたんだ?
だが、生きている私はニュースなどで確認も出来る。だが、私にはそんな義理はない。
「知らない。だけど、日本に死刑制度があるうちは、救われるものもいれば、そうでないのもいるんじゃない。」
物凄い塩対応かもしれない…だが、当然だ。突然奪われた命に比べて、三食しっかり食べて、見知らぬ者達に看取られて死んだ死刑囚に少し苛立ちを覚えた。
その死刑囚は、私に問い質してきた。
「何故怒ってるの?僕、地獄に落ちる…それで決まるのに、何故怒ってるの?」
その刑死した遺体を荼毘に伏せながら冷たく突き放す様に答えた
「あんたは悠々自適な生活を刑務所内で送っていた様だけれど…あんたに殺された人は、そんな時間すら無かった。どう?自分が自分より遥かに若い女に燃やされて…愉快?当然だと思う?」
赤い魂は、黙ってしまった。そうでしょうね。元来ならば、こうなるはずがないのだから。
「これ以上、見たくない…」
随分甘えたことを言うんだな…
私は無理矢理、その赤い魂を引き込み、火葬炉を見せた。
「これがあんたの末路だ…これより、もっと辛い罰があるだろうがね…」
赤い魂は泣いていた。後悔なのか、それとも、恐怖なのか。でも、私には関係ない。
1時間経っただろうか。すっかり白骨化した男性の遺骨がそこにあった。
私は普段は敬意を表し、丁寧に収骨をするが、警察も急かしてくるし、何より、弔う気持ちにはなれなかった。
「お疲れ様。さぁ、もう自分の体はないんだ、消えてくれ」
赤い魂は涙を枯らし、途方に暮れていた。
執行されても尚、生きたかったのだろう。
「もう、地獄への三途の川が見えてきた…収骨、有難うな。」
ありがとう…?
不可思議なことを言うんだなと、当時は考えた。
そして…
彼は地獄へ落ちていった
地獄に落ちる瞬間とは、なかなか見れるものではない。
貴重だな…と不謹慎ながらも見送った。
私はまだ19歳で…そんなお客を最初に接客したのだ…