勘違い
二人「どもー」
ボケ「ねえねえ、ちょっと聞いて」
ツッコミ「なに」
ボケ「俺さー、この間、富士山に登ったじゃん」
ツッコミ「あー、言ってたな」
ボケ「山頂から、砂走りって、砂の坂を一気に滑るコースで帰ったんだけど、足の爪が死んで紫に」
ツッコミ「うわ。なにそれ怖い」
ボケ「左の中指の爪、紫になってご臨終だった」
ツッコミ「うわー。マジか。それ、そのまま腐るの? 生き返るの?」
ボケ「生き返る」
ツッコミ「おお、よかった」
ボケ「再生まで半年から一年くらいかかるらしい」
ツッコミ「マジか」
ボケ「でな。母さんに見せたんだ」
ツッコミ「おお。グロいの見せたのか」
ボケ「グロくはないが、風呂あがりに見せた。 『中指が死んだー、見てーこれー、紫~』って言ったら」
ツッコミ「『キャー!?』」
ブ「きょとん、としてた」
ツッコミ「え、なんで」
ボケ「それ、中指じゃないって言われた」
ツッコミ「え?」
ボケ「だから、それは中指じゃないって」
ツッコミ「え? 待って、どういうこと? 意味がわからん」
ボケ「紫になったの、人差し指だった」
ツッコミ「え?」
ボケ「親指の隣、人差し指だった」
ツッコミ「……親指の隣は人差し指だろ?」
ボケ「今までの人生で、俺がずーっと中指だと思っていた足の指は、人、差、し、指、でした!」
ツッコミ「えええ? 意味がわからん。人差し指を中指と勘違いしてたの?」
ボケ「今でも中指だと思っている」
ツッコミ「どういうこと」
ボケ「手に人差し指はあるけど、足に人差し指がある、という意識が自分の中になかった」
ツッコミ「じゃあ、親指の横にあるのは?」
ボケ「中指」
ツッコミ「その隣は?」
ボケ「中指」
ツッコミ「中指、ふたつ!」
ボケ「どちらかといえば、薬指が二つ、みたいな感覚だった」
ツッコミ「いやいや、おかしい。今まで疑問にも思わなかったのかよ」
ボケ「だって、手を見ろ、中指が一番長いだろ? 足だって、一番長いから中指って思うだろうが」
ツッコミ「いやいや、俺は、足も普通に中指のほうが長いし」
ボケ「うそ! マジで!? それ、おかしくない!?」
ツッコミ「お前に言われたくねえわ」
ボケ「第一、よく考えてみろ! 手の指のように、足の指で人を指すか? いや、指さない。むしろ、指せない! なら、人差し指と呼ぶのはおかしい!」
ツッコミ「あー、まあ、確かに。言われてみればそうかもなあ」
ボケ「だから、俺は考えたわけよ。これからは、真ん中にある指を『真ん中指』と呼ぼうと」
ツッコミ「真ん中指?」
ボケ「真ん中指」
ツッコミ「親指の隣は?」
ボケ「中指! 元人差し指な」
ツッコミ「元」
ボケ「次が真ん中指」
ツッコミ「あー、確かに真ん中にあるからなあ。まあ、好きなように呼べばいいんじゃねえの?」
ボケ「ということで、真ん中指! って呼び方を世界共通にするための活動を始めようと思う。一緒にやろうぜ!」
ツッコミ「ヤダヨ。俺、人差し指でいいもん。第一、外国じゃあ、指の言い方も違うだろ」
ボケ「世界中の人間に『マンナカユビー』って言わす!」
ツッコミ「そこだけ日本語」
ボケ「なあ、一緒に布教しよう! 友達だろ!」
ツッコミ「友達関係ないし」
ボケ「やろう!」
ツッコミ「やだよ」
ボケ「あ、あとで入れてーって言っても、入れてやんないからな!」
ツッコミ「涙目やめろ。――まあ、がんばれ。応援してる。見守ってる。生暖かく」
ボケ「うむ。仕方がない。でも、参加するならいつでも声をかけてくれ!」
ツッコミ「はいはい。まあ、お前みたいに、小さいころから勘違いしていることって、たくさんあるよな」
ボケ「あるある。暴風波浪警報とかな」
ツッコミ「暴風波浪警報? どう勘違いするんだよ」
ボケ「暴風hello『ハロー』警報って。英語が混じってると思ってた」
ツッコミ「マジか。――暴風」
ボケ「こんにちは☆」
ツッコミ「警報? かわいい警報だなおい。どういう警報なんだよ」
ボケ「暴風が、こんにちはー! って感じで近づいてきますよ気を付けてくださいね~って」
ツッコミ「明るい。で、暴風こんにちは警報じゃないことに気付いたのって、いつなわけ」
ボケ「去年」
ツッコミ「お前、すげえな!」