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第4話 F県S市

ガイドさん(三竹さんというらしい)の車に乗せて貰って、S市の街中から15分くらい離れた林の中に天羽さんちの別荘があった。


あ~腰が痛い……


農園の見学の後、俺達は昼食を取ってF県の南部にある木材の加工工場を見学してきたんだけど、往復で3時間以上車に乗っていたので脚腰がギシギシいってるよ。


「お嬢様!遠いところをよくいらっしゃいました」

「お久しぶりですわ。久住さん」


携帯の時間を見ると6時少し前で、木々の間を吹き抜ける風が心地よい駐車場で車から降りると、久住さんと呼ばれた穏やかそうなおじいさんとおばあさんがにこやかに出迎えてくれた。

天羽さんの別荘は大きな広葉樹に囲まれていて、建物はダークブラウンの木の壁で少し大きめのお洒落なカフェのような……それ以外何と言ったらいいのか……ナチュラル系?でお洒落な感じなんだけど、ちょっとホッとするような、そんな感じ。


「それでは、私は明日の4時に迎えに来ますので」


三竹さんが車から俺たちの荷物を下ろし、会釈をして帰って行った。


「4時とかマジで早すぎんだろ……」

「せ、競りが始まるのが5時なら仕方ないよ……」


俺は疲れた顔でブツブツ言っているリョータに、天羽さん達に聞こえないよう小さい声で言った。

明日は朝から漁港の見学に行くらしい。そこでF県の漁業について学び、競りも見学してくるんだって。


「俺ガチで勉強するつもりとかねーんだけど。もっと天羽家の遊びっつーの?そーゆーの期待してたんだけどよぉ」

「お、俺も、ここまで本気で勉強するとは……」


もうちょっと、遊びに毛が生えたくらいのもんだと思ってたんだけど……。

何というか、天羽さんの勉強に対する情熱が俺達と違い過ぎるというか、流石万年学年一位というか。


「さあさあ、もう夕飯は出来ておりますから。お部屋にお荷物を置いて食堂へいらして下さい」


久住さんに案内された個室は、6畳くらいの落ち着いた雰囲気で、アースカラーで統一されていた。そこに荷物を置いてから、1階の奥にある食堂に向かった。

10人くらいは一度に食事をとれるだろうと思われる広い食堂で、次々と運ばれてくる出来立ての料理を4人で一緒に食べていると、リョータがマグロの刺身を口に運びながら言った。


「寛、オレ3時55分までに起きて来なかったら起こして」

「ギ、ギリギリすぎない!?」


4時出発だよ!?


「3時半に起こして差し上げますわ」

「あざーっす!!」

「皆さん、お風呂沸いてますから。お食事が済んだらいつでも入れますよ」


久住さん(奥さんの方)が言いに来た。


「では、お食事が終わったら花ちゃん先にお入りになって」

「え?私後で良いよ~。真優ちゃん先に入って」

「大きいお風呂ですから、お二人一緒でも入れますよ」

「え?」

「くっ、くすみさん!!わ、わたくしはもう子どもではないのですから!お風呂は一人で入れましてよ!それに!一緒に入ったら花ちゃんがくつろげませんわよ!ですわよね!?花ちゃん!?」

「くつろげないって事はないけど、一緒に入るのは恥ずかしいなぁ」

「ですわよね!!!!一緒には!入りませんわ!!」


どうした天羽さん、いつになく声がでかいな。


「何より、お客様より先に入るなんて出来ませんもの。私は一番最後でしてよ!リョータ君と寛君も、花ちゃんの次にお入りになってね」

「うい」

「あ、はい」

「そちらはお二人一緒に入ってもよろしくてよ」

「いや、ねーわ」

「ごめん遠慮しとく」


初めてリョータと気が合ったな。


それにしても、今日一日観察していて気が付いたけど、天羽さんって常に花さんに気を使ってるというか、どちらかというと花さんの方が気を使ってるように見えるけど、天羽さんの方がなんかこう、一歩引いてるというか……。

女子の友達同士ってみんなこんな感じなのかな?


「あ~…疲れた…」


食事を終えて2階の個室に戻ると俺はベッドの上に寝転んだ。

朝早くからずっと移動だったので身体が悲鳴を上げている。

寝たいけど、風呂に入らないと……。花さんの次がリョータだから、リョータが出て来るまで待たねばならない。


「あ、そうだ」


俺は鼠色のボストンバッグの中からスケッチブックと筆箱を取り出すと、膝の上に広げた。


駅で俺に向かって手を振ってくれた花さん。ショートパンツの脚。新幹線の内部。西瓜畑の上に広がる青空。アロハシャツが異様に様になるリョータ。キャリーバッグを引く花さんと天羽さん。赤いスカーフを巻いた添乗員さん……。


スマホで撮影した写真も参考にしながら、ざらつく紙の上に鉛筆で小さな絵をいくつも荒く描いてゆく。


昼食の天ぷら蕎麦を美味しそうに食べる花さん。積み重ねられた木材。色が不思議な並ぶ年輪。説明する三竹さん。ダークブラウンの別荘。ジュースをこぼしたリョータにティッシュを渡す花さん……。


そして……


俺は頭の中で天羽さんを思い描いた。

写真を撮る事すら何となく憚られて(チキンすぎる俺)、天羽さんの写真はほとんど撮れなかったのだけれど、その分出来る限り詳しく観て暗記してきた。


背中の中ほどまである真っすぐな長い髪の毛。歩く度に揺れ動く白いロングスカート。帽子の形は花さんより鍔が大きくて色が薄い。手が細長くて、掌は結構大きい(多分指の長さは俺と同じくらいある)。睫毛が長い。


いくつも記憶を記録するように天羽さんの絵を描いていき、そして睫毛の長い顔を描いて「うっ」と手を止めた。


ダメだろこれ井戸の中から出て来るタイプの女幽霊!?

全身はまだマトモに描けるれど、アップになると途端にホラーになるのは鉛筆だから悪いのか!?


いや、待てよ。もしかしたら美人に描けてんのかも知れない……。俺が好みじゃないだけで……


そんな事を考えていた時だ。


「おい寛。風呂お前の番だぞ」


ゴン ゴン


というノック音と共にリョータの声が聞こえた。


「あ!分かった!行くよ」


スケッチブックを閉じて、急いで着替えを用意して風呂に入った。そして部屋に戻って来て、


もしかして、冷静になって見たら意外とまともだったりするかも知れない(冷静になって見ると色々分かるやつ)!


とスケッチブックを開いて天羽さんの絵を見てみたのだけれど……


この絵、展覧会に出すとしたら「臨死体験」とかそんな感じだな!!


あ~~~なんだろほんと。

何がダメなんだ何が。




カラン カラン カラン カラン !!!


けたたましいベルの音がコンクリート製の水っぽい室内に鳴り響きました。


「あいに~よん!!に~なな!!に~なな!!あいに~なな!」

「あいよ~!」

「じゅーにばん!じゅーにばん!!じゅーにばん!!!」

「あい!」


カラン カラン カラン カラン !!!


「はいっにーよんにーよんにーよんにーよん!!!」


何 を 言 っ て る か 全 く わ か り ま せ ん わ


私は市場の中で、簀子の上にズラリと並べられたマグロと、その周りで大声で何かを喋り続ける男性達を驚きと好奇の眼差しで見つめました。


「今はF県はクロマグロがとれる時期なんです。そろそろ終わりですけどね」

「あれ何つってんの?」

「マグロの番号と値段を言っています。百以上の単位を略す事が多いので一般の方には分かりにくいですね。1本のマグロの競りが終わるのに10秒もかからないんですよ」


まだ朝の6時にもなっていませんのに、こんな時間からキャップを被った男性達が何かのハンドサインを出しながら大声で叫んでいる様子は、異世界にきてしまったみたいでドキドキしますわ。


「さて、それではぐるっと市場を見ながら、マグロの専門店に行って朝食にしましょう」

「わあ!やったぁ!」

「うっひょ~!あざす!」


花ちゃんと一緒に、それまで早起きで不貞腐れたような顔をしていたリョータ君が突如笑いました。


「花ちゃん、そこ狭くなってるので気を付けーー……」

「え?……きゃあっ!!」


濡れた足場で滑ったら危ないと、注意しようとした瞬間ですの。


「っっ!!」


簀子に乗り上げて体勢を崩した花ちゃんを間一髪で支え―――たのですけれど!!


「ぁっ……!」


無理な態勢で二人分の体重がかかり、捻った右の足首にゴキ、と嫌な音と同時に鋭い痛みが走りました。


「あっ…ぶな~……!真優ちゃんありがとう!」

「大丈夫でした?」

「うん!」

「なら良かったですわ」


こんなところで転んだら、お洋服も汚れるし大変ですもの。花ちゃんが無事で良かったですわ。

私は安堵のため息をついて、その場を後にしました。


「うっめ~~~~~!口の中でとろける!!」


小さな店の中は早朝だというのに大勢の客で満員で、木製のテーブルにぎゅうぎゅうに詰まるように4人で座りながら、大トロの乗った海鮮丼を口に入れてリョータ君が叫びました。


「寛、トロくれ。大葉やるから」

「え~~~~!?」

「いくら美味しいね~」

「そうですわね」


ニコニコと朝食を食べる花ちゃんを見ながら、私は内心どうしようかぐるぐると頭の中で考えていました。


なぜなら……


脚がめっちゃ痛いんですの!!!


さっき捻った場所がジンジンして、力を入れると痛いんですの。歩けない程では無いのですけれど、何が困ったって、次の行き先が……


「「鍾乳洞?」」

「はい、F県には鍾乳洞がいくつかありまして。その中でも青い水が美しいと評判の鍾乳洞に、お勉強の息抜きにお連れしたいと思っております」


車を運転しながら三竹さんが言いました。


「青い水……」

「飲めんの?」

「飲めませんね」

「え~!私鍾乳洞とか行った事無いから楽しみ~!真優ちゃんは行った事ある?」

「え?ええ、F県のではありませんけれど、子どもの頃に何度か……」


そうなのですわ!行った事があるのです!だから分かるんですわ!鍾乳洞がこの状況で絶対によろしくない事が!


薄暗い足元!でこぼこで濡れて滑る岩場!!急こう配の狭い階段!!!「危ないから掴まて」「きゃっ!すべっちゃった」が自然発生するデートには最適のスポット!!!!


なのですけれど!!!!


普段であれば斎賀さんに「ナイス采配!」と拍手喝さいを送るところなのですけれど!!!!


この脚で、果たして楽しむことが出来るのかと言われれば……。


「……」


でもでも!あの時に脚を捻ったと言えば優しい花ちゃんは絶対引け目を感じてしまいますし、何より花ちゃんとの鍾乳洞デートを諦めたくない!

白い鍾乳石に浮かぶ青い水だなんて、この上なくロマンティックではなくて?

私は痛む脚を下で少し動かしてみて歯がみしました。


「うおっ!さみっ!」

「わ~~~!すごい!!中ひんやりしてるんだ~!」


暗い鍾乳洞の中は6月なのにひんやりしていました。


「中は夏は涼しく、冬は暖かいんです」


白く垂れ下がった岩がチタチタと水を滴らせている様は観ているだけでも涼し気ですわね。

ぼんやりとライトアップされている洞内には他にも観光客がいて、喋る声が反響して不思議な空間ですわ。


「……」


結局、脚が痛い事を黙ったまま来てしまいましたけれど……。


「わあすごい!真優ちゃん見て~!」

「え、ええ、今行きますわ!」


こうなったら、脚が痛い事を悟られずに、何とか最後までクリアしてみせますわ!


「わあ!すごい!上からだけじゃなくて下からも岩が盛り上がってる!不思議~!」

「なんかアレだなぁ!ゲームとかでモンスター出て来る洞窟みてーだな!」


案の定、足場はでこぼこしており、狭い場所に水が流れていてかなり悪条件ですわ。


「うおっ!ここしゃがまないと通れねーな!」

「何だか冒険してるみたいでドキドキするね~」


あそこを濡れずに行くには軽く飛ばないと行けないですわね。


「そこ、滑るから気を付けて下さいねー」

「おわっ!」

「わあ!リョータ君大丈夫!?」


三竹さんに案内されてどんどん先に進む花ちゃんとリョータ君に何とか追い付こうと必死になってた時ですの。


「あの、さ……、天羽さん、脚、痛いの、どうして言わないの?」


後ろからボソボソと声が聞こえたのです。


「っ!?」


振り返って目が合うと、寛君がすぐに目を逸らしました。


「脚……痛いんでしょ?港、で花さん助けた時から……」


どうして分かったんですの!?私、脚を引き摺ったりはしてなくてよ!?


「皆に言って休んでた方がいいよ……。ここ、その脚じゃ無理、だと、思うし……」

「そんなこと言ったら、花ちゃんが自分が悪いって思うでしょう?言えませんわ」

「……」


寛君はちらりと横目で私を見ました。


「大丈夫ですか~?次行きますよ~!」


先の方から三竹さんの声が聞こえました。


「今行きま……!」

「あ、あのっ!俺!疲れたんで!外で天羽さんと一緒に待ってます!」

「!!!???」

「ええっ!?」


三竹さんが慌てたように戻ってきました。花ちゃんとリョータ君も後からやってきました。


「俺、ちょっと疲れちゃって……だ、段差厳しいな、って……。朝も早かったし……。入り口から戻って外のベンチでや、休んでます……」

「大丈夫ですか?」

「寛、体力無さ過ぎだろ~~~~!」

「しょうがないよ!大丈夫?寛君」

「うん。天羽さんが一緒についててくれるって言うから……」

「え」

「さっすが天羽サマ!マジ天使だな!!」

「真優ちゃん優しいね。さすがだなぁ」

「え?え?」

「それでは我々は行って参りますので。本当に大丈夫ですか?」


三竹さんの質問に、私は寛君を見て、花ちゃんを見て、自分の脚の痛みを認識しながら、予定してたものを頭の中で全て諦めて微笑みました。


「ええ、大丈夫でしてよ。楽しんでらして」


ひんやりとした洞窟内から出た直後の真昼の日差しは思っていたより強くて、私は木陰にあるベンチに腰を下ろすと、ため息をつきました。


「……」

「……」


寛君は所在なさげにオロオロとベンチの前に立っています。


「お座りになったら?」


私は自分の隣の空間を手で指しました。


「う……はい……」

「……」


寛君は言われたままにちょこんとベンチの端に座りました。

どうして一々堂々と出来ないんですの?そういうところが好きになれませんわ。


「……」

「……」


空には雲が流れています。


「……」

「……」


売店の方から家族連れの女の子のはしゃいだ声が聞こえました。


「……」

「……」


通り過ぎるカップルがアイスクリームを舐めているのが見えます。


「……」

「……」


会話が無いにも程がありますわね!!!


「どうして、脚が痛いって分かったんですの?」


私は無言の空間に堪えかねて寛君に聞きました。


「え?その…見てれば…分かるっていうか…」


見ないで下さる?


とは流石に言えなくて、私は口を噤みました。


「……助けて、下さったのですよね。感謝いたしますわ」


私は何とも言いにくい気分でそっぽを向いたまま寛君に言いました。


「……え?」

「私が花ちゃんに心配をかけたくないと言ったから、庇って下さったのでしょう?…ありがとう」

「ど、ど、どういたしまして……」

「……」

「……」


気恥ずかしいような、無様なような気持ちでいっぱいになり、どうしようかと思っていた時ですの。


「あの……天羽さんは、花さんの事が好きなの……?」


は?


寛君が良く分からない事を言いました。


ちょっと待って。今何か聞こえたけれど、もう一回聞かせていただけるかしら。


「天羽さんは、花さんが好きなの?」

「だと、したら、どうなのかしら……?」


私は努めて冷静な笑顔で言いました。

友達としての確認か、下世話な冗談か。それ以外だったとしても、綺麗に返せる返事を頭の中で想定しながら。


「いや、その、ライバルだな、って……」



想定外に次ぐ想定外で、私の頭の中は一瞬フリーズいたしました。


待って。あなたは花ちゃんが好きなの?いえ、そうだとは最初は思ってはいたのだけれど、ではあの私への熱い眼差しは何?私の事を見ていたから脚が痛いって分かったっておっしゃったわよね?見てたのは何故なの?好きだからではないの?ていうか、ライバル?え?私とあなたが?


「花さん、可愛いよね……」

「そうですわね」


思わずスルッと本音が出てしまいましたけど、そうではなくて!!!


「あなた、やっぱり花ちゃんがお好きでしたのね!?」

「え?バレてた!?」

「バレバレでしてよ!」

「う、うわ~~~」

「ライバルと言うからには、あなた私と張り合うおつもりですの?」


花ちゃんを好きだという事を隠すよりも、いつも自信なさそうにおどおどしているのに、こんな話になった途端、私と張り合うような自信を出してくるのが下に見られているようで腹が立って私は言いました。


「は、張り合うというか……」

「私、あなたより勉強も運動も出来ますのよ」

「うん」

「それに、外見も常に美しく整えておりますし、流行にも敏感ですの」


私は常に頑張っているのですから、「男であるだけ」のあなたが出て来る出番は無いのよ!


「だね……」

「それに花ちゃんとは小学校以来のお付き合いですから何でも知ってるんですの。その私と、同じ天秤に乗るおつもりですの?」

「う、うう~ん……」


何とも言えない曖昧な返事にイライラが募ります。


「一体、どこからその自信が来るんですの!?」

「じ、自信というか……」


寛君は相変わらず目を合わせないまま言いました。


「自分に自信が無くても、人を好きになるのは自由、じゃない、かな……」

「……」


私は、それを聞いて、何故か泣きそうになってしまいました。もしここで、寛君が「男だから」と言っていたなら、途端に私はこの世の誰にも太刀打ち出来なくなってしまうんですもの。


「あ、天羽さんは、いつから花さんの事が好きなの……?」

「ナイショですわ。あなたこそいつから花ちゃんの事を好きなんですの?」

「じゃあ俺もないしょ……」

「隠さない方が身のためですわよ」


私がそう言うと、寛君は珍しく声を上げて笑いました。


「ふふっ」

「私と張り合うより、私を好きになった方が楽だと思いますわよ?」

「ああ、そっかぁ……天羽さんて、そういう性格なのかぁ……」


寛君が何かを発見したような、面白がっているような口調で言いました。

何だか、不思議と楽しい気持ちで、もし寛君がこの事を口外したとしても、私にはどうとでも誤魔化す人脈も方法もありますもの。でも……何となくですけれど、寛君は誰にも言わない、そんな気がしますわ。


それから二人で「花ちゃんの可愛い所」を競い合うように言い合っていますと、しばらくして3人が鍾乳洞から出てきました。


「真優ちゃん~!お待たせ!寛君大丈夫?」

「あ、はい……」

「中はどうでしたの?」

「綺麗だったよ~!写真いっぱい撮って来たから後で一緒に観よ」

「まあ!楽しみですわ」

「それでは、少し早いですけれど別荘の方に戻りましょう。明日は11時27分の新幹線ですので、今日よりは大分ゆっくり出来ますよ」


ああ、そうでしたわ。明日はもう帰るんでしたわね。何だかこの二日間はあっという間でしたわ。

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