序章
馬鹿な話しが書きたかった、それだけです。
暇つぶしになったら嬉しいです。
作りモノの世界に憧れた。
それだけ。
ただ、それだけの話。
作りモノの世界に夢を見た。
それだけ。
本当にそれだけの話。
夢を見られるのには限界がある。
年齢制限がある。
夢を見続けられるのは、子供だけの特権だ。
どんなに願っても戦隊モノのヒーローにはなれないし。
どんなに頑張っても、血を受け継いでいなければ異能力を使えない。
持っている者にはそれなりの苦悩がある。
持っていない者にも、それなりの苦悩がある。
どちらが幸せなのだろう?
持っている者と持っていない者。
夢を見続ける事と、現実を受け入れる事。
どちらが幸せなのだろう?
現実を受け入れた上で、夢を夢だと切り捨てることもできる。
「私も、魔法が使えるようになりたいな」
それは、何気ない呟きだった。
五歳の子供の、他愛もない呟き。
それを否定したのは、母親だった。
「なに馬鹿な事言ってるの、無理に決まってるでしょ」
そう、決まっていた。
何故なら、彼女には異世界の人の血が流れていないから。
異能力が使えない、ただの人間だ。
どんなに頑張っても覆せない現実。
そんな現実を彼女が知った日。
夢は夢なのだと知った、何でもない普通の日。