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日出づる国、異世界に転移す  作者: ワイアード
第1章 接触編その1
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第4話 ファーストコンタクト?

いよいよ異世界人が登場します。

 ――ロイメル王国領外 『禁断の地』上空


  雲ひとつない空を自由に飛ぶ生き物がいた。食物連鎖の頂点に立つ龍の一種の『翼龍』である。その翼龍の背中に1人の男が乗っていた。その男の名はラーツ、齢25にしてロイメル王国第1翼龍騎士団団長兼総長である。



「この『禁断の地』と呼ばれる土地の上空を飛ぶのは、もう何度目になるのか」


「団長、ラーツ団長! もう少しスピードを落としてくれませんか? 新米のロイがビビって遅れてるんですよ、ガハハハ!」



 ラーツの右後ろから声を掛けたのは、第1翼龍騎士団副団長のドイル。45歳。筋骨隆々の体格で豊富な髭と顔にいくつもの傷がある。正に猛者という言葉が相応しい人物である。


 そしてラーツとドイルの500m後ろから遅れてやって来た若い龍騎士のロイ。年齢は18歳。訓練生の時は優秀な成績で卒業し、第1翼龍騎士団に入団できたが今日は何故か不安と恐れが見えていた。



「も、申し訳ありませんラーツ団長、ドイル副団長」


「気にするなロイ。訓練生の時は、5m弱位の翼龍にしか乗っていなかったんだ。8mの翼龍に乗ったときに感じるスピードはその時の比じゃない。それに色々と緊張もあるだろう」


「団長は甘いですな! 俺が新米の頃は、最初からビビらずにガンガン飛ばしてましたよ!」


「お前とロイは違うだろ?」



 ドイルの言葉に苦笑いで答えるラーツ、するとロイが



「確かにそれもありますが、やっぱりここが『禁断の地』なのが、そのぉ」


 何かを怖れるかのように答えるロイにラーツは「まぁな」と答え、ドイルは豪快に笑って返した。



 ロイメル王国が存在する大陸の名はドム大陸。大きさはオーストラリアと同じで、ロイメル王国は北海道とほぼ同じ面積を持つ。そのロイメル王国の東側にアラスカほどの大きさの半島が存在する。その半島が『禁断の地』と呼ばれている。


 200年前、ロイメル王国は未到の東側地方へと開拓調査団を派遣し、そこで広大な土地と森林を見つけたためすぐさま開拓を始めた。すると、突然空が真っ暗になった。何事かと開拓に来た者達は動揺し、上を見上げると巨大な物体が空から炎と光を纏って落ちてきた。これにより、2000人いた開拓調査団の半分以上が死亡した。そして、生き残った者達はあの空から落ちてきた物体を『神の涙』と呼んだ。


 高名な司祭は「あそこは神が住まう土地。我々人間が土地を汚したことに怒り狂った神が『涙』を落とし罰を与えたのだ」と話した。


 この話を真に受けた市民と先々代国王は、あの土地を『禁断の地』と呼び、人々の出入りの一切を禁じた。


 しかし、月日が流れ王国内では今一度『禁断の地』に開拓調査団を派遣するべきだと考える者が増え続けた。これに対し、聖職者達は「神の怒りを買う行為だ!」と断固として反対していたが、これに対しとある学者はこう言った。



「200年前に起きた出来事は、天罰ではないただの自然災害の1つだ。もし本当に天罰だとしたら何故神はわざわざ自分の土地を破壊するようなことをしたのだ? 開拓調査団を狙うよりも直接この城に落とした方がよっぽど効率が良いのに。そして我々は、極秘裏に翼龍騎士団を使った上空からの『禁断の地』の調査を数年前から行っているが、天罰は何一つ起きていない。よって我々はもう一度あの土地に開拓調査団を派遣する必要があるのだ!」



 この言葉に聖職者達は何も言えなかった。しかし、いざ開拓調査団を組織してもう一度東側半島に向かおうとするも、昔から伝えられてきた『禁断の地』の出来事に対する恐怖はなかなか払拭出来ず、ロイメル王国は今でも半島を開拓出来ずにいた。しかし、開拓調査団を派遣できない代わりに『禁断の地』上空を翼龍騎士団達の訓練場に活用する事となった。


 ベテランの龍騎士ならともかくまだ若い新兵は、『禁断の地』での訓練に対し恐怖を抱く者も少なくないのである。



「お前の気持ちはよく分かるぞロイ。だがそんなことでビクついてる様じゃ、戦争では足手まといになる。なぁに、すぐに慣れるさ、焦らず少しずつやっていこう」


「は、ハイ!」


「お? いい返事じゃねぇか、その粋だ。ガハハ!」



 ロイに対し厳しくも優しく言葉を掛けた後、再び3騎編成で飛行し訓練を再開した。上空から地上にいる敵兵を攻撃する事を想定して滑空と上昇を繰り返し、空から狙った場所に大量の石を落とすといった訓練を行う。


 そして、夕暮れが近くなる。



「よし、今日はこんなもんだろな。あとは半島周辺を偵察して引き上げるぞ!」


「分かりました!」


「ロイ、今日はなかなか上手く出来たな! こりゃ将来が楽しみだ」


「は、ハイ! ありがとうござーー」


――ギャァァァァオ



 突然3人の翼龍が威嚇の声を上げた。翼龍が威嚇の声を上げる時は本能的に自身の脅威となる何かが近づいて来ている時だけである。


 ロイは突然の出来事に困惑するも、ラーツとドイルはすぐに周囲を警戒する。すると、山育ちで目が良いラーツが北東から何かが近づいてくるのに気付いた。



「なんだ? あれは」



 それが肉眼でハッキリと見える所まで来ると3人の驚愕した。見た事のない灰色の物体が飛んできたのだ。



「な、何ですかあれは!? ドイル副団長!」


「俺が知るわけないだろ……まさか、新種の龍か!?」


「わからん。もしかしたら、アムディス王国が作り出した新しい魔法防具をつけた翼龍かもしれん。しかし、アムディス王国はここから西に約2000㎞も離れている。アレが来た所とは逆方向だ。迂回するとしたらさらに遠く、海しかない。それに翼龍も生き物だ、休憩する所もない海の上を飛び続ける事は不可能だ!」



 ロイは完全に動揺しまともに翼龍を操作できないでいた。ラーツとドイルも動揺するも冷静に対処し、相手の分析を行い、2人は気付いた。


 速いッ、とてつもなく速いッ!

 機動力も翼龍と同じかそれ以上だ。


 2人は警戒するも一向に近づいたり攻撃する素振りを見せない事にも困惑していた。


 さっきから離れながら我々の周りを飛び回るばかりだ……。


 そもそも、あれは生き物なのか? あれから生気が全く感じられない。



「どうします団長? コッチから仕掛けますか?」



 すると落ち着きを取り戻したロイもラーツに提案してきた。



「そ、そうですよ団長。もし、アムディス王国の新兵器でそれを討ち取って本国に持ち帰ったら大戦果ですよ。怖いですが、やる時はやりますよ!」



 少し考え込んでからラーツは答えた。



「ダメだ、余計な事をするな! ドイル、魔伝(魔法伝令具)を使って本国に連絡しろ!」


「ハッ!」



 すると灰色の龍は凄まじい速さで北東へと戻っていった。ドイルが本国へ連絡したのを確認した後、灰色の龍を追い掛けるも全く追いつけずに消えていった。



「何だったんだ今のは……」


「ラーツ団長、本国からの伝令です。第8、第9翼龍騎士団全50騎がこちらに向かったとのことです。また、彼等が到着したら我々は本国へ一度戻るようにとの事でした!」


「分かった!」



 その後、本国から第8翼龍騎士団団長クックと第9翼龍騎士団団長アンドゥイル率いる計50騎の翼龍騎士団が来た後、3人は詳しい状況を報告する為本国へと戻った。




 

上手く書けてるか不安ですが頑張ります!

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― 新着の感想 ―
[良い点] ついに接触を果たした日本人と異世界人。 まあグローバルホークみたいな奇怪な飛行物体を始めて目にしたら、大体警戒心バリバリになりますわな。 [気になる点] >5m弱位の翼龍にしか乗っていなか…
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