第62話 アガルドの思い
アガルドは一瞬固まってしまった。まさかあのニホン国とこんな所で…こんな形で出会うことになるとは想像だにしていなかったからだった。
「あ、あのぉ…大丈夫ですか?」
「ッ⁉︎」
堀内外交官の言葉でハッと我に戻るアガルドは、一瞬固まってしまったことを恥じながら、堀内たちと会話を再開する。
「ご、ゴホンッ…だ、大丈夫です。申し遅れました、私はクアドラード連邦国家の大統領ディカルド・ヴェルチが子息、エドガルド・ヴェルチの実弟、アガルド・ヴェルチと申します。そしてこちらが…」
「クアドラード連邦国家軍中将のスミエフ・スモルクと申します。此度の任務でアガルド様の護衛を務めさせています。」
2人は背筋を伸ばし拳を右の胸部へ当てながら丁寧に自己紹介をした。
「それで…ホリウチ殿、どういったご用件でしょうか?」
「このような夜分遅くに申し訳ありません…ギーマ国王から今日この国に古き友好国が来ているとの話を聞いたもので、せめて挨拶だけでもと思った次第でございます。まさかその古き友好国が、クアドラード連邦国家だったとは思いもしませんでした。」
「ん?…ホリウチ殿、あなた方とイール王国との関係は?」
「つい先日ですが、我が国とイール王国は友好条約を結びました。つまり、友好国となったのです。」
「おぉッ!それはそれはッ」
「クアドラード連邦国家の事は、昨日の会談でギーマ国王陛下から色々とお聴きしました。話を聞く限りでは、素晴らしい国だと感じましたよ!…その時に、クアドラード連邦国家とイール王国は友好国だったと教えて下されば良かったのですけどね。」
「我が方も、ニホン国の噂は色々と聞いてます…あのテスタニア帝国を打ち破った謎の新興国…いつかその国の政務官と話をしたいと思っておりました。」
堀内外交官は、少し考え込んだ後閃いた様な顔でアガルドにある提案を話した。
「どうでしょうか!明日我が国とクアドラード連邦国家、イール王国の3カ国で会談を行うと言うのは⁉︎」
「えっ⁉︎」
「もちろん、この会談は親睦を深め、互いを知り合う事を目的としたものですから、変にどうこうしようという訳ではありません。その会談次第で私共としては、貴国と国交を結んでいきたいと考えております。」
「ふむ…確かにそれは素晴らしい事ではありますね。しかし、非常に心苦しいのですが…我々は少し急を要する用事がー」
「よろしいではありませんかアガルド様!」
突然スミエフ将軍が割って入る形で2人の会話に混ざっていった。
「す、スミエフ将軍ッ⁉︎…」
「イール王国へ書状を届ける任務のはずが、まさか噂のニホン国の使者と出会えるとは…いやはや、人生とは何が起きるか分からないものですなぁ!」
「う、うむ…」
そして、スミエフ将軍はアガルドの耳元でヒソヒソと呟く。
「(もしここでニホン国に好印象を与え、願わくば友好国…果ては同盟国にまで持っていく事が出来れば、エドガルド様もお喜びになるはずです!)」
「(そ、そうかぁ…兄上への期待以上の成果を聞かせるには、もってこいの状況というわけか。)」
「あの…どうかなさいましたか?」
「いやいや、何度も申し訳ありません。今スミエフ将軍と話し合ったのですが、早急な用事でもないとのことなので…明日3カ国で会談を開きましょう!」
「そうですか!…是非宜しくお願い致します!」
2人は固い握手を交わした。こうして、明日日本とイール王国、そしてクアドラード連邦国家の3カ国で互いの親睦を深める為の会談を急遽開催する事となった。
しかし…『急遽開催』と思っていたのは、アガルドだけであった。
ーー 王城内 来賓専用部屋 星の間
アガルド達との挨拶から約30分後、自分達の部屋に戻った堀内達は安堵した様子で椅子に腰掛けていた。
「フゥ〜〜……何とかなりましたね。」
「お疲れ様でした、堀内さん。…それにしても、まさかギーマ国王陛下から『あの様な頼み事』をして来るとは驚きましたな。」
「計画性無しのぶっつけ本番でしたから、上手くいく保障はありませんでしたから。本当に大したものです。」
護衛自衛官の宇津木と中村は、堀内外交官に労いの言葉を掛けながら飲み物を用意し、それを堀内外交官へ手渡す。
「……さぁどうぞ、少し熱いですよ?」
「ありがとうございます。……はぁ〜…この国のお茶は深みがあって美味しいですね。」
「我が国自慢の『ノグ茶』を気に入って頂けて良かったよ。」
「えぇ、このお茶は本当に……え?」
ガチャッ!
「夜分遅くにすまないな。」
「ッ⁉︎ぎ、ギーマ国王陛下⁉︎」
聞き覚えのある声が聞こえたドアの方へ顔を向けると、そのドアからギーマ国王が入ってきた。堀内達は、突然の来室者に驚愕しながらも、直ぐに椅子から立ち上がり礼をする。
「いやいや、そのままで良い。今はお忍びで来ておるのでな…自室からコッソリ抜け出してきたのよ。」
「は、はぁ…しかし…何故?」
「今回の…私からの無理矢理な頼み事を了承してくれただけで無く、それを見事に叶えてくれた事に心の底から礼を言いたくてな…本当にありがとう!」
深々と頭を下げるギーマ国王に戸惑いを隠せずに、堀内達はアタフタしてしまう。
「えっ⁉︎ちょっ!あ、あのぉ…あ、頭を上げて下さい!御礼なんて結構ですから!」
「いーや‼︎これは王としてきっちりと頭を下げねば気が済まぬ‼︎」
「あのッ!で、ですからー」
暫くこのやり取りが続いた後、ようやく落ち着き、話を戻す。
「……つまり、アガルド様達が持って来た書状には、エドガルド様からの『頼み事』が書かれていたと?」
「うむ…これがその手紙だ。」
ギーマ国王は懐から書状を取り出し、堀内へ手渡した。堀内は書状を広げてその中身を確認する。
ーー
〜古き友ギーマ国王へ
先日は突然、貴方様の個人用魔伝へ連絡を入れてしまい申し訳なかった。その時伝えた通り、約14日後に私の弟が貴国へ書状を届けるという名目で訪れに来るだろう。そして、その時、我が国はハルディーク皇国と戦争の真っ只中だ。
父上は完全に宗教に毒されていて、もはやどうにもできない状態だ。
そこで貴国へ頼みがある。その戦争が鎮まるまで弟を何とかそっちで匿って欲しいのだ。色々と面倒を掛けてしまうだろうが、後生の頼みとして聞いて欲しい…。
あと、これは恐らくなのだが、貴国に例の新興国がやって来た時は…彼の国にも助力を求めて欲しい。身勝手なのは分かるが、今は少しでも…希望にすがりたい。
ーー
「……この方は…我々がここは来ることを知っていたのでしょうか?」
「それについてはよく分からないのだ。だが…あの時、私用の極秘魔伝で通信をしてた時に、『ハルディーク皇国はニホン国を…ニホン国はハルディーク皇国に注目してる筈、そう遠くない時期にニホン国が貴国へ国交を結ぶ為にやって来る』…っと話していたぞ。」
堀内はこの言葉を聞くと冷汗をタラリと垂らした。この冷汗は、驚愕と恐れによるものである。
(こ、これほどのキレ者がいたとは…エドガルド・ヴェルチ…恐ろしい男だ。)
「…堀内殿。」
「は、はい!何でしょうか?」
「非常におこがましい事だとは思うが、私の願いを聞いて欲しい…」
「それは…どのような?」
「頼むッ‼︎どうか…どうか我々と共にアガルド様をハルディーク皇国の魔の手から守って下さらぬか⁉︎」
「ッ⁉︎」
堀内達は驚愕した。よもやギーマ国王からこの様な事を頼まれるとは思ってもみなかったからである。しかし、これはハッキリ言って日本にとっては大きなデメリットを伴う。日本がクアドラード連邦国家の大統領子息を匿ったとすれば、最悪ハルディーク皇国との戦争に発展してしまう可能性が高い。もともとあの国は、日本を陥れようと様々な工作員を派遣して来ていることは調査済みではある。しかし、戦争だけは何としても避けなければならない。これ以上、国民を不安にさせる訳にはいかないからだ。
「それは出来ない相談です。申し訳ありませんが…」
「な、何故ですか⁉︎」
「あなた様は、我が国の民を列強国の脅威に晒せと言うつもりですか?」
「あっ…」
「あなた様のお気持ちは重々受け止めているつもりです。しかし、もしここで日本が貴方様の片棒を担ぐ様になってしまえば、ハルディーク皇国は我が国へ敵意を向けてくる。…つい先日、その国の隠密部隊が我が国の領内にてある人物の暗殺…破壊工作…某国と衝突させる為の工作を仕掛けてきました。」
「ッ⁉︎な、何とそこまで…」
「幸いにも、何とか阻止する事は出来ましたが…既に我が国はハルディーク皇国に目を付けられてます。」
「…そうか……よくよく考えてみれば、貴国とはまだ『友好国』…貴国とクアドラード連邦国家に至ってはまだ友好関係すら築けていない。その様な国を危険に晒そうなどと…私が間違っていたわい…」
「……非常に残念ではありますが…」
「いやいや、お主達が気に病む事など何一つ無い。……それはそうと、明日の会談について準備をせねばな!」
「えっ⁉︎もうこんな夜更けですよ⁉︎」
「大丈夫!問題はなー」
ドンドンッ!
「夜分遅くに申し訳ありません‼︎ホリウチ殿‼︎ここに国王陛下は御在室ですか⁉︎」
「ッ⁉︎」
ガチャッ!
「失礼します!……ん?国王陛下ァーーー‼︎‼︎」
「どわぁぁーーッ⁉︎」
「また勝手に部屋を抜け出してッ!……貴方はもう27歳なのですぞ‼︎いい加減大人になって下され‼︎‼︎」
ギーマ国王とその側近が突然本気の追いかけっこを始めた。捕まれば間違いなく夜通し説教を聞かされる事を恐れるギーマ国王は、必死な形相で逃げ回る。堀内達はその様子をキョトンとした表情で見ていたが、何よりも驚いたのはー
「ぎ、ギーマ国王陛下は……27歳だったのですか?…てっきり30代後半かと…」
「堀内さん…人間ってェのは…見かけでは分からないものですねぇ。」
「全くですねぇ…って、あれ?…宇津木さん、中村さんが見当たりませんが…」
「彼は今は本国へ連絡を入れているところですよ。今回の件、ある意味無視出来ないかも知れないので…」
ーー翌日
日本国とクアドラード連邦国家、イール王国との親睦会談は、実に有意義な時間を過ごす事となった。
クアドラード連邦国家の文化、宗教、そして伝説の猛将エドガルドの事…。イール王国の文化、気候、特産物…。
笑いあり、驚きありの連続だったが1番印象深かったのは、やはり日本国についてだった。日本の歴史、文化、技術などをプロジェクターを通して説明をした時のアガルド達の表情は、目を点にして只々驚愕していた。イール王国側は既に先日、嫌という程驚かされた為多少は慣れていたが、やはり何度見ても凄いものは凄いっといった様子を見せていた。
そして…午前一杯で、一通りの会談が終わり、午後のイール王国観光を控え、自室に戻って休んでいたアガルド達は滝の様な汗をかいていた。無論これはこの国の暑さではなく、日本のPRを見たことによるものであった。
(驚愕ッ‼︎只々…驚愕ッ‼︎…あの様な国が南西に存在していたとはッ…どう見てもあれは『列強国』並み…いやそれ以上の『力』を有した国ッ!)
椅子に座り冷たい飲み物を何度か口へ運ぶ事で少しずつ冷静になってはきたが、尚も興奮は冷めることはなかった。
(……そもそも『ぷろじぇくたー』と呼ばれるモノなど見たことも聞いたことがないわッ⁉︎…いや、何よりも1番驚いたのは…)
(ニホンの軍事力ッ‼︎)
スミエフ将軍も椅子に座り、考え込みながら先ほどの日本のPR映像を思い出していた。
(あのテスタニア帝国を打ち負かした国…恐らくは我が国と同等に近い軍事力を有した国だと思っていたが…甘かったッ‼︎あの地を這う鉄の砲台…色形は違うが、アレは間違いなく『戦車』‼︎…それに『せんとうき』と呼ばれる、翼龍でも…闘龍でも無い航空戦力…雲泥の差だな…いや、次元そのものが違うっ言った方が正しいか?)
「…なぁスミエフ将軍。」
「どうなさいましたかな?アガルド様。」
「チョット考え事をして…思ったのだが…」
「ほう…これは奇遇ですな。私も考え事をして、思ったことがあります。」
2人は少しの沈黙の後、アガルドは静かに呟いた。
「…ニホン国と『同盟』を結ぼうと考えている。」
「…私も同じ事を考えておりました。」
ーー星空の間
「…あの国の方々は…どう出ると思いますか?中村さん。」
護衛自衛官の中村は窓から王都を眺めながら、宇津木の問いに答える。
「多分…『同盟を結んでほしい』っと言ってくるかと思います…」
「それは…困りましたね。」
「まぁ…あのPRを見た後です…自国の事を思えば、我が国の助力を求めたくなるのは何とかなく分かってますから…」
「このイール王国へ残させる為の会談だったとは言え…チョット面倒くさい事になりますね。」
「えぇ…どうしたものでしょうか…今、堀内さんが国へ連絡を入れてる最中ですから、国がどう決断するか…」
「…中村さん的にはどうなって欲しいですか?」
「私個人としては…『助けてあげたい』…しかし、そうなると間違いなく…戦争へ歩む事になります。」
すると奥の部屋から堀内が出てきた。その顔はあまり良いものでは無かった。
「どうでしたか?」
堀内は少し沈黙した後、テーブルのコップに入っていた水を飲み、質問に答える。
「国は…現時点でクアドラード連邦国家との同盟は認めないと決断しました。」
ーーグワヴァン帝国領内 とある場所
グワヴァン帝国内にある薄暗い森林地帯…ここには総勢70000を超えるハルディーク皇国軍が陣を張っていた。そして、その大軍を指揮するのはー
「いいよぉ〜〜君は本当に可愛いなぁ〜…あっはぁぁ〜〜…本当に最高だよぉ…堪らないよぉ〜…ゲヒッ!ゲッゲッゲッ‼︎」
『猛獣』ベネット・サジタリュウスである。彼は自身の愛銃に頬擦りしながら甘い声を出してブツブツと呟いていた。そんな光景をずっと側で見ている側近達からしたらたまったものではない。
「(気持ち悪りぃなぁ…)」
「(はぁ…何でこんな夜中にこんなモノ見なきゃいけねぇんだ…)」
「(最悪…)」
しかしベネットは、そんな風に思っていた部下の事など気にも留めずにひたすら銃を愛でながら手入れをしていた。
そこへ1人の兵が入って来て、ベネット将軍に報告をする。
「ベネット将軍…『敗残兵』が来ました。」
「…数は?」
「52人です。」
「52人ッ⁉︎…あはっ♡」
「いかがいたしますか?」
「ヨォーーシ‼︎今行く‼︎」
「わかりました。」
ベネットは多数のホルスターが付けられたベルトを両腕、胴体、腰、大腿部、脛部など身体の至る所に巻きつける。ホルスターにある銃には、1つひとつに名前が彫られていた。そしてベネットは、軽快な足取りで鼻唄を歌いながらその場を後にする。
ーーハルディーク皇国軍 本陣 第4野営地
ハルディーク皇国軍本陣から少し離れた数千人の兵士達がテントを張っている第4野営地。その中にある少し開けた場所に人集りが出来ていた。
「此方です…ここにいる人達が…」
「ゲッゲッ‼︎ど〜したのぉ?なぁ〜んで戻って来たのぉ?グワヴァン帝国の兵士さん達…」
多くのハルディーク皇国軍に囲まれ、ベネット将軍のゾッとする声にビクビクと怯えているグワヴァン帝国兵達がいた。全員がボロボロの傷だらけで、無事な者は一人も居なかった。
「も、も、申し訳ありません……我が国本軍は…クアドラード連邦国家軍を前に全滅…」
「フーーーン…っで?敵は何人殺したの?」
「え?」
「何人敵を殺したのかって聞いてんだけどぉ〜?」
「そのぉ…大体100?…200くらいでしょうかー」
ダァーンッ!
突如ベネット将軍は、ホルスターから銃を引き抜き、話していたグワヴァン帝国兵の眉間に向けて発砲した。撃たれた兵士は、ドロリとした脳髄と血を撒き散らしながらボロ人形の様に倒れていった。
「ヒィッ⁉︎」
「ウヒャァァッ⁉︎」
「何て事をッ⁉︎」
突然仲間を目の前で殺された事に恐怖混じりの悲鳴と罵声の声が聞こえてくる。
「ゲーッゲッゲッ‼︎本軍を使ってもたった100〜200人だけとかありえねぇよ、バーーーカッ‼︎」
「こ、こんな酷い事をしなくてもッ‼︎」
「あぁ?…」
ベネット将軍に対し口を開いた敗残兵の1人がこの様に発言すると、ベネット将軍はさっきまでの無邪気な狂笑とは違った真顔でその敗残兵に詰め寄る。
「大した事も出来ねぇ『カス』1人殺したところで、な〜んも変わらなねぇよ‼︎そもそも…オメェらハルディーク皇国の傘下に入った時点で命運は決まったようなもんだろう?だから…やるしかねぇんだよ?お前らはよぉ〜…ゲッゲッゲ‼︎」
唖然…最早自分たちの命運は、ハルディーク皇国の傘下に入った時から決まっていた…絶望しかなかった。
「まっ!そういう事だからさ♡……遠慮せず死ねや。」
ベネット将軍が手をバッと上げた瞬間、周囲にいたハルディーク皇国の兵達が、敗残兵たちへ向けて一斉に射撃を開始した。
ダダダダーーーーンッ……
辺りは火薬の煙で数秒見えなかったが、直ぐにその地獄の様な光景が見えてきた。
「ゲッゲッゲッゲッゲッ‼︎ゲーーッゲッゲッ‼︎恨むんなら、弱い国に生まれた自分達の悲運を恨むんだなぁ⁉︎ゲーッゲッゲッ‼︎…ん?」
すると死体の山の中から蠢く数人の敗残兵の姿があった。彼らは間一髪の所で伏せて助かったのだ。しかし、生き残ったからといっても、彼らの命運は尽きていた。
パチパチパチパチッ‼︎
ベネット将軍はそんな彼らに対し突然拍手を送った。
「ゲヘ〜…素晴らしい‼︎…素晴らしい幸運を持ってるよ君達‼︎…えーっと…3人か。良し‼︎君達にある任務を与えよー‼︎」
「な、何ですか?」
「今から駆け足で、グワヴァン帝国軍が敗退したと後方にいるタウラス将軍の部隊へ伝えろ!それが出来たら…そのまま逃がしやる。」
「ほ、ほ、本当…ですか?」
「はい‼︎…駆け足急げ‼︎」
3人は死に物狂いでその場を走り去って行った…そしてその後、ベネットは2丁の銃を手に取った。
「さぁ…待たせたねぇ『ダミアン』…『スカーレット』…出番だよ。」
「あれ?ベネット将軍…何を?」
「なぁ?スコミムス大尉…後方部隊へ連絡する時は何人いれば十分だ?ゲッゲッ!」
「えーっと…『1人』ですね。」
「その通り!ゲヒッ♡」
その後、森の中から2発の銃声が鳴り響いた。




