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日出づる国、異世界に転移す  作者: ワイアード
第3章 ウンベカントの動乱編
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第48話 新たな展開

早速挿絵を描いたのですが、下手過ぎるのである程度上達してから投稿しようと思います。

ーー中ノ鳥半島基地


明かりも少なく、人通りもない薄暗い通路を歩くロラン達。彼らは『田中』と呼ばれる人物に渡された地図を元に歩いていた。この地図の通りに行けば誰とも接触せずに通れるからだと…そして、『ロズウェル』がある格納庫には彼の協力者がいる。その協力者の元、ロラン達は無事に飛び立ち、本国へ帰れる…そう聞いていた。



「本当に誰とも会いませんね……」


「この地図の通りに行けば大丈夫と聞いたが…まさか本当だったとはな…」


「で、でもあの人、ニホン国政府の人間ですよね?だったらこんな面倒くさいことしないで堂々と連れて行ってくれれば良いのにって思いません?」


「私達はスパイ扱いされているのです。それもつい先日までね。多分この事を知っているのは政府のごく一部のみでは?」


「でも俺たちが居なくなったことにそれを知らないニホン軍が驚くのでは?」


「…そこは俺たちの知ったこっちゃあねぇよ。多分バレる頃には、とっくに話は付いてんじゃあないか?」


「…ん?出口ですね。」



3人は基地の裏手から出て来た。そこは他と比べると警備も薄く、ライトも少ない。



彼らは地図の通りの道順で、『ロズウェル』のある格納庫へと急いだ。途中見つかりそうな時が何回かあったが、地図の通りに動いたら本当にバレなかった。この地図が無ければ間違いなく見つかっていたといっていいだろう。



「あとはここにその『協力者』がいると聞いたんですが……ん?」



ロランは薄暗い格納庫の奥に誰かがいることに気付いた。ロランがその人に声をかけるよりも相手側の方が先に声をかけてきた。



「お?来たなぁ。」



そこに居たのは、上下真っ黒なジャージを来た男がいた。その男の顔を見ようとしたが、顔も真っ黒い覆面を被っていた為、素顔は分からなかった。


リオルはその男を見ると一瞬ギョッとしたが、彼がトイレで出くわした『アレ』と違う事は雰囲気で何となく分かった。



「あ、貴方が…タナカさんの言っていた…?」


「はい。協力者の勅使河原てしがわらです。んじゃまぁ…やりますか。ご心配なく、飛んでってもウチの戦闘機が追い掛ける事は無いので。」


「は、はい。」


「緊張してます?大丈夫、上手く行きますよ。」


男の声は年配の感じがするが、その声からは生き生きとしたマイペースな感じが伝わり、3人の緊張感が馬鹿らしく思えてきてしまうほどだった。



(だ、誰なんだ…この人…何となく皇帝陛下に似ていて…『安心感』が…。)



「それじゃあその『飛行機』を出来るだけ人目の付かない所へ移動させましょうか。?4人なら何とか移動出来そうですし。」



こうして4人は、『ロズウェル』を勅使河原の誘導の元移動を始めた。



「あ、あの、本当にバレないんですかね?」


「大丈夫。あの格納庫も殆ど使ってない倉庫みたいなものですし見回りも今は少ない。これから行く滑走路は『俺が』即席で造りました。」


「えっ⁉︎即席で滑走路を⁉︎…しかも一人で…。」


「安全は保障しますよ。これまでだって大丈夫だったでしょ?ちゃんと監視の隙間を見つけて、あの地図作ってきたんだから問題なし…本当はもう少し早く作りたかったんですけど。年は取りたくないですね。」



3人はこの男が何者なのか気になり始めたが、今は時間が殆どない為急いで『ロズウェル』をその即席滑走路まで移動させる。


『ロズウェル』は確かに4人で動かせることが出来た。勅使河原は一緒に押し運びながら話し始める。



「素晴らしいですね。」


「え?」


「この飛行機です。1つのエンジンだけで3人も運ぶ事が出来る…それも時速400㎞以上でさぁ。あんたらの国の技術者は、なかなかいい腕してるよ。」


「ニホンの軍用機の方が何十倍も凄かったですけどね。ははは…でも、そう言われると悪い気はしませんね。」


「本当のことですから。あ、見えてきましたよ。」



押し運び出してから30分くらいたっただろうか?…基地から少し離れた平原にポツリと作られた滑走路があった。すぐ隣には大きな海原がひろがっている。


そして、確かに即席で造っただけあってあまり広くは無いが、それでも立派なものだった。



「ほ、本当に滑走路だ。」


「でも私達の国の滑走路よりもずっと精錬されてる……これで即席?」



3人はその即席で造られた滑走路のクオリティの高さに驚愕していた。しかし、勅使河原はそんな3人の事は御構い無しに作業を黙々と進めていた。





ーー数分後



3人は『ロズウェル』に搭乗し、何事もなく無事にサヘナンティス帝国へと飛び立った。


彼らが飛び立って数秒後に勅使河原は左腕に付けていたパネル画面を指で操作し始めた。



ピピッ…ピ……



すると即席滑走路の4隅からバシュッと4つの小さなフリスビーの様なものが飛び出し『ロズウェル』へと向かう。小型フリスビーの様なものが4つ、『ロズウェル』の機体に張り付いた。


『ロズウェル』は暗い彼方へと飛び立っていった。



「………終わったな。」



再び勅使河原は左腕のパネル画面を操作すると、即席滑走路が動き出し始めた。


殆ど音を出さず、折り畳むように自動で動き出したのだ。そして数分で滑走路は、少し厚ぼったい6つの黒い長方形の物体となった。


さらに勅使河原はパネル画面を操作すると別方向から複数のドローンがやって来た。ドローンは機体からワイヤーが垂れ下がる。勅使河原は折畳式即席滑走路に付けられていたホックにワイヤーの先を引っ掛けると、ドローンはゆっくりとした飛行で超低空で海原へと飛んで行った。



「…後は『沖にいる』奴らに任せるか。」



勅使河原がその場を去ろうとした時、彼は草叢の方へ顔を向けて喋りだした。



「覗きが趣味か?田中。」



するとその草叢に隠れていた田中がスッと立ち上がった。



「フフフッ…覗きって…私達はそれが仕事みたいなものじゃあないですか?」


「あ、そうだった♡」



田中はやれやれと言った表情で笑って返した。すると勅使河原は帽子を取って喋り始めた。…その顔はちょうど月明かりが雲で隠れてしまい見えなかった。



「…お前がここにいるってことは、そっちは済んだんだな?」


「えぇ…かなり困惑してましたが何とか誤魔化せましたよ。そりゃあ管制塔を一時的にマヒさせてしまったんですから、当然でしょ。」


「御苦労さん。そろそろ南原達もコレを知らされた頃だろうな。あいつには苦労ばっかり掛けさせて……本当に悪い事したなぁ。」


「南原副総理はもう慣れっこでは?」


「そうかな?んじゃあ帰るか。いやぁ〜ヤッパリ身体を動かすのは良いなぁ…久しぶりに昔を思い出したよぉ…へへへへ。」



田中は勅使河原の言葉を聞いて溜息を吐いた。



「ハァー…貴方が自分から『やりたい』と仰ったんでしょう?」


「まぁそんな事言うなよ〜あんまり年寄り苛めんじゃねぇよ。」



勅使河原はそう言い捨てると、スタスタと歩いていった。田中は少しうつむきながら思った。



(…完全に気配は殺してた筈だったんだけどなぁ……『年寄りを苛めるな』だって?…冗談じゃない…私はあなたの事を今でも『本物』と見ていますよ。)



「あのーー」



田中が首を上げて勅使河原の方へ目を向けると、其処には既に勅使河原の姿は無かった。



「ククク…やっぱり『本物』だ。」



海原が見える基地の外れの平原。月夜に照らされ、夜風に吹かれながら田中は何処かへと消えていった。






ーー数十分後 基地内にて



ロラン達がいた部屋に誰も居なくなっていたことに驚く見回りの自衛官達。



「た、大変だ……」


「直ぐに連絡をー」



見回りの自衛官の1人が小型無線機を手に取ろうとしたその時、無線機を取ろうとした手を摑んで止める別の手が現れた。



「ッ‼︎」



そこに居たの防衛副大臣の巌城大作だった。彼は自衛官の手首を掴みながら睨み付ける様に口を開く。



「気にしなくて良いですよ。もう全て済みました。例の爆発もガス漏れが原因という事で話は付いてます、マスコミにもそう伝えてます。はぁ…管理云々言われますね。」


「い、巌城副大臣⁉︎し、しかしー」


「もう終わりました。良いですね?」


「は、ハイ…。」



自衛官達が部屋を後にした後、続けて久瀬大臣が入ってきた。自衛官達は敬礼した後、久瀬が外へ出るよう顎を向けた為、部屋前の廊下を逃げるようにスタスタと歩いて行った。



「ハハッ…聞いたな?」


「ハイ……それにしても広瀬総理は、私たちをからかっておいでで?非公表という件であの爆発で亡くなったダークエルフ達の存在も一部を除いて無かったことにすると?……簡単に言いますよね、本当。」


「はははははっ!それがあの人だよ‼︎」


「久瀬さんは慣れ過ぎですよ…。」



「巌城…お前『あの情報』聴いたか?」


「ハイ。例のダークエルフ族…最初の13人は本物ですが…後から捕まえた2人は全くの無関係って事は分かりました。ですがー」


「手榴弾の様な物で自害。最初は秘密を守る為の玉砕かと思ったが少し違かった…最初の13人は首に魔鉱石のアクセサリーを着けていたが、あの2人にはなかった。あのアクセサリーは…ダークエルフ族の精鋭戦士のみに与えられる貴重な物、ってのが別班からの情報だ。それにあの魔石は、あの大爆発が起こったにも関わらず傷一つ付いてなかった。」


「そして…その爆散した死体の中から見つかったのは12個……」


「おうよ…だから余計に混乱したが、『AアサシンWウォーカー』からの映像にはちゃんと13人全員にアクセサリーがあった……って事はー」


「1人はその魔鉱石のアクセサリーを使って命辛々逃げ出す事が出来た…ってことですね。」


「まとめると…最初捕まえた13人は本物だったが、後の2人は関係が無かった。しかし、その2人のうちの1人がまた別の存在で、恐らく何かしらの情報を漏らさない為に、13人と接触後に自らの命と共に玉砕した。たが、1人だけ逃げ出す事に成功した…恐らく『擬態魔法』というやつだ。」


「っとなれば、今私達がやるべき事はその逃げた1人と捕まっていなかった残りの2人を見つけて捕らえること…ですか?」


「あと、玉砕したヤツについてもだが…そいつについては今『別班』を使って調べさせている。つまり…今やるべき事はその3人の『捕獲』だ。」


「昨日警戒令を解いたばかりですが…また発令したほうが?」


「いや、解除のままでいい。そうした方が向こうも警戒が緩くなるだろうよ。」


「別班ですか?」


「あぁ。今回の件…あいつらにはもう一働きしてもらわなきゃな。」



何を企むか巌城…

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