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日出づる国、異世界に転移す  作者: ワイアード
第3章 ウンベカントの動乱編
51/161

第47話 ロランと田中

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2025年→2045年


『WALKAR』の耐久性を12.7㎜機関銃に耐えられる。に変更します。


留置所では必死の消火活動の末、大きな被害が出る事なく鎮火する事が出来た。幸いにも、当直の当番がその時間帯は不在だった為日本側には死傷者は出なかったが、捕らえたダークエルフ族は15名全員死亡、原型など留めていなかった。



既に現場には多数の検査官などが現場検証をしていた。中には、現地から連れて来た『魔術師』の資格を持つ者も何人か連れて来て話を聞いていた。



真っ黒なビニールシーツに包まれて運ばれる爆散した死体……



「…ヒデェなこりゃ」



検査官の男が仏に手を合わせながら呟く。



「魔術師の方にも聞いたのですが…こんな事が出来る魔法は存在しないとの事です。」


「そうか……てことは、『道具』を使ってやった…って事か。」


「まぁこの破壊力を察すると…手榴弾の可能性が高いですね。」


「てか…ほぼそうだろ?」







ーー数時間後 中ノ鳥半島基地 とある一室


ベットにテーブル、椅子、水やお茶の入ったポッドが置かれた棚、トイレ…この部屋には必要最低限の物しか置かれていなかった。



そして、その部屋の隅でうずくまる1人の男性…ロラン・シェフトフ外交長官である。



「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜………。」



とても長く深いため息が部屋を埋め尽くす。


そのため息を気まずそうに聞いていたのが、頭に包帯を巻いたリオル二等飛行兵とその部下のモレッティである。



「も、申し訳ありません……私のせいで、この様な事に…」



リオルの言葉に反応したモレッティが答える。



「そんな…私が喋ったのが悪いんです…」



この2人の言葉を聞いたロランは、俯いたまま2人に話した。



「気にしないでください…あなた方は任務を遂行しようとしただけなのですから……。」


「…ですが…そのせいでー」


「えぇ…ニホンとの関係が最悪の形で始まったことになりましたけど…。」


「いや、初接触が領空侵犯の時点でかなりだったと思いますよ。何がしたかったのか…あの(皇帝)は、」



益々辺りに重苦しい空気が立ち込める。



「…それにしても…さっきの爆発音は何だったんでしょうか?」


「さぁな…知ったこっちゃない。」


「……リオルさん…テオドシウス参謀長官からの命令についてもう一度聞いても良いですか?…最初は間違い無くマティアス皇帝陛下からの命令で、『私の護衛』が任務だったんですね?」



「は、はい……最初は私やモレッティもそう聞いていたのですが…出発直前にテオドシウス参謀長官に呼び出されたんです。」


「それで彼は…」


「『皇帝陛下から言伝を頼まれた、任務変更だ。ロラン外交長官の護衛ではなくニホン国の軍事力について諜報せよ。』っと言われたんです。」


「間違いないんだな…?」


「ハイ…最初は我々もそんなデメリットが大きくて無謀な任務に反を唱えたんです…でも全然取り合ってもらえず…仕方なく。」



ロラン外交長官は疑問に思った。



(明らかに可笑しい…テオドシウス参謀長官ほど頭の切れる人がこんな馬鹿みたいな任務を与えるのか?……何か別の目的があってコレを?)



「それにしても変な任務を与えて来ましたよねぇ…こんなの素人にだって失敗するのは目に見えてますよ…まるで『こうなることを予想してた』みたいですねぇ。」



モレッティの言葉にロランはハッとする。



「『ニホン国との関係を妨害するのが目的』……だとすれば辻褄が合う…。ッ⁉︎まさかー」


「それが一番筋が通る…だが、接触するなら正規のルートからが良いな。イキナリ領空侵犯は、インパクトはあるがやり過ぎだ。」


「「ッ⁉︎」」



突如聞き覚えのない声が辺りに聞こえた。その声のする方へ目を向けると、ドアの前に帽子を深々と被った、汚れた格好をした1人の男性が立っていた。



「だ、誰ですか⁉︎」


「田中っとだけ……それ以上は聞かない方が良いかも。」


「……。」


「まず今回の件について…君達を受け入れた新堀外交官は『停職処分』された。…まぁ暫くは役人としての活動を停止させるって事かな」


「うぅ、彼には申し訳ない事をしました…。」


「気にすんな、あいつの言い分も分からない訳じゃあない…あんたは良い意味で真っ直ぐな男だと俺も思う。でも結果は結果だ。こんな事が起きたケジメは付けさせてもらう。」


「それで…タナカさん…貴方がここへ来た理由は?」



田中はゆっくりと彼らの元へと歩み寄りながら言葉をかける。



「その参謀長官さんの狙いが『両国の関係悪化』なら…今現在は正に狙い通りだ。だが…奴さんも詰めが甘いな…やるんなら徹底的にやらないとね?」


「???」


「あなた方を解放する。そして無事に国へ帰らせてやる。」


「えっ⁉︎…その…えっ…あの……えっ⁉︎」



ロラン達は困惑していた。普通、他国のスパイを捕らえたら情報を聞き出して、後は始末するのだが…この男は『解放』すると言った。



(な、なんでそんな事を⁉︎…甘いのはどっちだ!)



「多分あんたは、『甘いのはどっちだ』とか何とかって思ってるんだろうなぁ。」



(……超能力者かこの人は…)



「勿論ただ帰すわけじゃない。それなりに一役買ってもらうぞ。」


「ひ、一役?」


「その参謀長官に『ニホンとの会談は成功。友好的関係を結ぶ事が出来た』…と言えばいい。そうすれば何かしらの行動を起こすだろ?」


「…もし断ったら?」


「暫くは監視される生活が続くと思った方が良い。寝てる時だろうが、飯食ってる時だろうが、自慰の最中だろうが、クソ垂れてる時だろうが何だろうがだ。ずっと監視する。……頭がおかしくなるぞ?」



ロラン達はそんな生活がここでずっと続くと思うとゾッとした。



「…分かりました。協力しまー」


「それから…母国に戻れば安心って思わないことだな。『俺たち』はずっと見てるんだからな…。」


「は、はい…。」



普通ならこれはハッタリだと考えるだろう…しかしロラン達は、この男が言っていることが本当の様に感じた。



「さぁて…奴らに鎌掛けさせるぞ。」






ーー中ノ鳥半島基地 郊外



特に何かあるわけでも無い雑草が生えているこの場所、ここに地を這いながら進む男がいた。


彼はジウ。ダークエルフ族隠密部隊の1人である。あの爆発の直後、彼は『上級魔法用の魔鉱石』を使い、自身の体を一瞬だけ『鋼鉄』に変えて、何とかあの爆発に耐える事が出来たが、致命傷を負ってしまった。そして、『擬態魔法』を使いここまで逃げる事に成功した。しかし、生き残りは彼だけだった。


ジウは血だらけでボロボロの身体で、何とか基地から脱出した。



「…なんということだ…我々は、騙されていたッ!…奴等の狙いは……『ニホン国の情報』では無かったッ!……奴等の…狙いは……ッく‼︎……早くルナ戦士長に…族長様に知らせなくては……早くッ!」



久しぶりの登場田中一朗

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 15名死亡で報告されてるのに、何処から沸いとんねん❗ 逃げ出せる状況を書かんと無理があるで。 [一言] 面白いでー
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