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日出づる国、異世界に転移す  作者: ワイアード
第3章 ウンベカントの動乱編
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第37話 5大列強国会談

早速2話目を投稿します。


うーん…相変わらず頭の中のイメージを文書に表すのは難しいです(泣)。

ーー ギルバトア大陸 浮遊島『リトーピア』



広大で緑豊かな大地と山々が連なる美しい大陸…『ギルバトア』。そのギルバトア大陸の中央には巨大な湖がある。大きさは北海道の倍にもなる、この世界で2番目に大きい湖『リピア海』。



そのリピア海の上空には、少し大きめの島が浮いていた。その島には美しい鳥達が羽ばたく楽園の様な所だった。そして、この島の中央に建てられた1つの大きな建物があった。



それはローマ帝国時代の建築物『パンテオン』を倍くらいに大きくさせたような建物だった。



入り口へと続く道には大理石で出来た石畳が綺麗に連なっており、その両脇にはズラリと並んだ礼服を身に纏った者たちがいた。



そして入り口から1人の初老の男性が現れた。その男性は空を見上げると静かに呟いた。



「6年ぶりだな……さて、今回の会談で世界はどうなるのか…おや?」



快晴な空の向こうからやって来る5つの大きな黒い影。それらは真っ直ぐこのリトーピアへと向かって来ていた。



「おぉ……世界を統べる5つの国の代表者達だ…。」


「アレが『神の乗り物』…本当に人を乗せているのか⁉︎」


「デカイなぁ〜…」


「あんなの人間が作れるわけがない!やっぱり5大列強国は神に愛された国なんだ…。」






ーー会談場内部 会議ホール


煌びやかな装飾と大きな丸テーブル、そしてそのテーブルを囲うように座る5人。



◇バーク共和国

外務卿 エステル・スウィントン



◇レイス王国

外務局局長 リオネロ・ネリス



◇ハルディーク皇国

外務局局長 ネイハム・エアドレッド



◇サヘナンティス帝国

外交長官 ロラン・シェフトフ



◇ヴァルキア大帝国

外務大臣 オルネラ・ヴェルガゾーラ



「ゴホンッ…それでは第66回『5大列強国会談』を始めます。私は、今回の会談で議長を務めさせて頂く、モイセス・ペレスと申します。お久しぶりの方はお久しぶり、初めましての方は初めまして。」


「6年ぶりですね…モイセスさん。年を取りましたね、白髪が増えてます。」


「生きとし生けるものなら当然の運命さだめです。ロラン殿も大きくなられましたなぁ…今は…29歳ですかな?」


「えぇ…あと少しで三十路ですよ。」



モイセスとロランのやり取りに周りも釣られるように微かに笑い声が聞こえる。しかし、その中で1人表情一つ変えない女性がいた。



「ロラン殿にモイセス殿…久方ぶりの再会を喜ぶのは結構ですが、今は会談中ですよ。」



優しく綺麗な声で注意をする長い銀髪の女性、彼女はオルネラ・ヴェルガゾーラ。ヴァルキア大帝国の外務大臣である。



「こ、これは申し訳ありませんでしたオルネラ殿。」



彼はサヘナンティス帝国の外交長官ロラン・シェフトフ。少し傾いた眼鏡をかけた男性である。


彼は申し訳なさそうにオルネラに対しペコリと頭を軽く下げると、それに応えるように彼女はニコリと笑い掛けてる。



「我々がここに集ったのは仲良しごっこの為でしたかな?オルネラ殿。」



バーク共和国外務卿エステル・スウィントン。彼はこの中で一番血気盛んな男であり、この世界を統治する5大列強国の内の一国である自国に誇りを持っている。



「いいえ、違いますわエステル殿。」


「ならば良いのだ。こう見えて儂は忙しい、早く終わらせようぞ。」



エステルのこの発言に苛立ちを見せる1人の男がいた。ネイハム・エアドレッド…ハルディーク皇国の外務局局長である。



「エステル殿……この会談を安く見ているのですかな?今のは聞き捨てなりませんぞ。」


「…申し訳ない…少し言い過ぎだった。」


「いえいえ…お気になさらずに。」



今までのやり取りを見ていたレイス王国 外務局局長のリオネロ・ネリスはクスクスの笑っていた。赤色の短髪が特徴的な女性である。



「えー話が脱線してしまいましたな…では会談へ戻しましょう。本日の議題は3つです。1つは『クドゥベキスタン王国に対する食料支援について』、1つは『セイデリア連邦の食用龍の乱獲対策について』、そして最後は…ここから南東に存在する『新興国ニホンについて』です。」



ニホン国という単語に誰よりも反応したのはハルディーク皇国のネイハムだった。


(ニホン国…とうとうこの会談の議題に上るほどに…。)




「ではまずは…クドゥベキスタン王国についてです。この国の食料自給率は元々低く、各地で大飢餓が起きています。そのため、5大列強国の皆様を始め多くの高度文明国家による無償での食料支援に食料自給率向上に向けた援助金を送っていますが、未だに大きな成果は見られません。」


「…本当に援助金を食料自給率向上のために使っているのか?官僚たちが自分達の財布に入れてんじゃあないのか?」


「実は…調査団を極秘裏に調査へ送ったところ正にその通りの事が起きていました。官僚たちが住まう地域は益々発展していますが、その他の場所では相変わらずの飢餓状態です。これが…その証拠資料です。」



代表者達は全員がその資料に目を通す。支援金の無駄遣い、横領、支援金使用記録の改ざん、また定期審査団へ賄賂を送り支援金無駄遣いについて口外させないようにしていた。



難しい顔をする者、溜息を吐く者、怒りのあまり血管が浮き出る者、嘆き悲しむ者、何とも思わずに資料を眺める者。



「さて、いかが致しー」


「支援金は停止…派遣している調査団を即時撤退させよ。皆様もそれで良いですね?」


「エステル殿の意見に賛成です。」


「「以下同意。」」


「分かりました。では至急その様に手筈します。」


「では次はー」



ーー30分後


「ーーではセイデリア連邦に関しましては、経済制裁を加える事で宜しいですかな?」



モイセスの言葉に全員が頷く。



「では次に…『南東の新興国ニホンについて』ですが、今現在彼の国に対し『どう対処』するか決めていきたいと思います。」



するとハルディーク皇国のネイハムがスッと手を挙げる。


「我が国の者が集めた情報を提供していきたいと思います。先ず、彼の国は少し前までテスタニア帝国と戦争をしていました。」



「ほう…あのテスタニア帝国と…。兵力だけは突出して高いあの国と戦争をするなど、余程の怖いもの知らずの国らしいな。」


「フフフフ…私としてはニホン国を応援したいです。あの国の異常さは常軌を逸しています。」


「我がバーク共和国としては、テスタニア帝国に1票ですな。確かにイカれていますが、そこを利用すれば良い手駒になりそうだ。」


「……可哀想な国」


「や、ヤバイよそれぇ…。」



その場にいる全員がテスタニア帝国の勝利を確信し、その国と戦ったニホン国を哀れんでいた。



「…その戦争の結果は…実はニホン国が勝利した様です。」


「「ッ⁉︎」」



ネイハム以外の全員が驚いていた。低文明国家が高度文明途上国家に勝利するなど信じられなかったからである。



「それはまた…驚きだな。」


「フフ…なら良いんだけど…でも本当に驚きましたわ。」



何故?どうやって勝ったのか?皆がその戦争の内容についてネイハムから聞き出す。そして、その全てを聞いた後、ヴァルキア大帝国のオルネラが呟いた。



「…本当に低文明国家なのでしょうか?」



この言葉に一瞬その場の空気が固まる。



確かに、高度文明国家レベルであればテスタニア帝国に勝ててもおかしくは無かった。



「実は我がハルディーク皇国も同じ様な意見です。ニホン国は高度文明国家レベルの国ではないかと…。」



するとレイス王国のリオネロが口を開いた。



「フフフフ…でも、テスタニア帝国と真正面から戦いを挑むほどの『力』はないんでしょう?だから、わざわざ反乱を引き起こした…違う?」



バーク共和国のエステルもリオネロに続く。



「ブワッハハハッ!左様‼︎正面からぶっ潰せばそれで済むというのに何故そんなまわりくどい事を?…答えは簡単だ!正面から戦えば『敗ける』からだ‼︎」



クスクスと笑いながらハルディーク皇国のネイハムも口を開く。



「クスクス…いやぁ…実は我が国も同じ考えなのですよ。それでも多少厄介な国である事は間違いありません…どうでしょうこうしませんか?まだ大した『文明力』のない内に『手なづける』というのは?必ずや我ら5大列強国の手足となる有益な国となるでしょう。」



「レイス王国は賛成です。我が国最強の闘龍騎士団『ドラグラー』を出撃させますか?彼らは戦に飢えている…丁度良いです。」


「バーク共和国も賛成だ!それではどうやる⁉︎我が国最強の戦列艦『タイタン』と炎龍部隊『ザ・ハーク』をニホン国本土まで出撃させるか?だったら任せろ‼︎3ヶ月後には必ずこの場に勝利報告とニホン国の王の首を土産に持って来てやろう‼︎」



ハルディーク皇国、レイス王国、バーク共和国はニホン国を屈服させる為直ぐにでも軍を出撃させるつもりだった。しかしー



「サヘナンティス帝国は反対です。何故何でもかんでも『軍事力』で解決しようとするのか理解に苦しみます。もっと平和的に解決できる筈です。」



この言葉にリオネロは冷たい目線を向けながら口を開く。



「ロラン殿…何を臆しているのですか?」


「『臆している』…私がですか?」


「平和的に解決…それもいいでしょうね…でもお忘れかしら?…私達は5大列強国。この地位を維持する為には世界にその力を誇示する必要があるのですよ。『力』を使う事に怯えてしまえば…守れるものも守れなくなりますよ?まぁ…貴方はまだ若い…恐らく現実というモノがよくわかっていないのでしょうね…。」


「……暴力は新たな暴力を生むだけです。とにかくサヘナンティス帝国は反対です。」



ハルディーク皇国のネイハムは眉間にしわを寄せて、一滴の汗を流す。


(やはりか…何となく予想はしていたがサヘナンティス帝国は反対か。)



「ヴァルキア大帝国は如何ですかな?」



ヴァルキア大帝国のオルネラは薄く目を開けながら答えた。



「……ヴァルキア大帝国は…傍観の立場を取らせて頂きます。」


「そ、それはつまり…?」


「あーゴホンっ!…『どっちとも言えない』というわけですよ、ネイハム殿。」


「そうでしたか…(『今回』はそう来たか…)」



オルネラは話を続けた。


「…あなた方の意見が分からないわけではありません。しかし、そう事を急ぐのはあまり賢明ではありません…。もう少し彼の国を見守るのはどうですか?…愛おしい我が子の成長を見守る様に…。」



ネイハムはこの言葉に若干の違和感を覚えたが、取り敢えず笑顔で答える。



「…ご助言ありがとうございます、オルネラ殿…。」



「し、しかしだ!賛成3に反対1で我々の提案は可決!…で宜しいのでしょう?モイセス殿?」


「勿論…反対を示すサヘナンティス帝国が『何かしらの対抗措置を取る意思』がなければ可決ですが…宜しいですかな?」


「少なくとも…サヘナンティス帝国は3カ国に武力行為を働く事はありません。しかし、我が国は断固として反対の立場である事はお忘れなく…。」


「そうですか…では可決と致します。」


エステルとリオネロは自身が提案した内容が可決された事に喜びの表情を出していたが、ネイハムはあまり喜ばしくない表情だった。



(ヴァルキア大帝国も動かんとは…元々彼の国は強大な軍事国家なのに、軍国主義なのか平和主義なのかサッパリ分からない国だからなぁ…。)



ネイハムはふとエステルとリオネロの方へ目を向ける。



(取り敢えずこの2カ国だけでもコッチ側になっただけで良しとするか…だが、ニホン国は絶対に渡さんぞ!彼の国は必ず我がハルディーク皇国の傘下に加えさせる!…まぁ2人も同じ事を企んでいるのだろうがな。)



「…会談はコレにて終了と致します。皆様お疲れ様でした。」



5人は席を立ち、互いに労をねぎらいながら握手を交わす。しかし、今に始まった事ではないでは無いが、特に慣れ合うような素振りも無く足早にその場を後にするオルネラ。彼女は終始感情を表に出さなかった。



(やれやれ…相変わらず読めない女だ。しかし、ヴァルキア大帝国が反対声明を出さなかった事に正直ホッとした。)



実はヴァルキア大帝国以外の5大列強国には『暗黙の了解』があった。



ー『ヴァルキア大帝国だけは絶対に敵に回してはいけない』ー



この世界の列強国は30年前までは、7ヶ国存在する7大列強国だった。しかし、その内の2カ国がヴァルキア大帝国と敵対しており、遂には2カ国が同盟を組んでヴァルキア大帝国に対し宣戦布告してきたのだった。



結果はヴァルキア大帝国の大勝利。



2カ国は、ヴァルキア大帝国に一矢報いることも無いまま大敗を喫し、戦争期間は僅か1週間だった。



それでもヴァルキア大帝国は覇を唱えること無く他の列強国と同等の立場で現在まで存在し続けていた。




オルネラは会議ホールから外へ出ると迎えの従者と共にその場を後にした。そして、振り返ると微笑みながら静かに呟く。



「そう……まだ早いのです…まだね。」


日本国は異世界では人気者ですね(笑)

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― 新着の感想 ―
[一言] 大帝国に2国の敵対列強国が挑んだけど1週間で終わったと。 例えるならアメリカVSイタリアフランス連合で、アメリカとイタリアフランスが地続きとかだったらそうなんのかな(笑)
[良い点] モイセス議長登場。この方面白いので好きです。 [気になる点] えーこの会議でバーク、レイス、ハルディーク3国が日本への軍の派兵を決定したんですよね?ハルディークはともかく他2国は何もしてな…
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