第36話 『平和』への会談
テスタニア帝国編はこれで終了となる予定です。
本日は2話分投稿させていただきます!
そして相変わらずの最低な文章力と表現力…
ーー日本国 東京 首相官邸 会議室
「えーっと…先ずは皆さんお疲れ様でした。色々とありましたが、テスタニア帝国との戦争は当初の目標通り短期間で終わらせる事が出来ました。無論こちらの犠牲者は0です。」
大臣達は取り敢えずホッとした。ヘタに犠牲者を出せばそれこそ国民に大きな不安を与える事になる。何よりも、それをネタに野党が何をやらかすか分かったものではなかった。
「今回の戦争主犯格であるベルマード・サルゥ・ミルガンド皇帝は…手渡された資料に記載されている通り、逃げ込んだ龍舎で翼龍達に食べられ死亡。続いて、ロスキーニョ・ルガー侯爵は、本国へ移送したのち然るべき刑罰を与える…筈なんですが。」
「ん?どうした南原?何かあったのか?」
「この方は精神的に非常に問題のある方です。つまり…責任能力が無いということで…」
「無罪って事になんのかよ?」
「その可能性が高いですね。まぁ当初の計画も結局未遂に終わったんですが…。」
「そいつのお仲間さんも捕らえたんだろ?コッチの犠牲者が出てないのは確かだが、『戦争』をふっかけてきたケジメはつけさせねぇと。」
「実はその事で、現テスタニア帝国最高責任者のカーネギー公爵からの提案で『今回の責任はロスキーニョ侯爵の分も含め私に任せて欲しい』との事でした。」
「うーむ…流石にカーネギー公を法廷に出すんわけにはいかんめぇ…。そんな事すりゃ益々戦後の収拾がつかなくなる。」
「ほいじゃあ、ロスキーニョ侯はどうなる?」
「彼の始末に関しては、カーネギー侯がなんとかするそうだ。」
「……殺すのか?」
「いや、リノーロ大監獄へ収容するそうだ、共犯の仲間達と一緒に。」
「なるほどね。」
「それじゃあ予定通り、戦後会談は行うんだな?それでコッチ側の代表者は……まさか…安住が向かってるのか?」
「え、えぇ。そうですけど…何か?」
「………変に誤解されなきゃ良いけどよ。」
小清水の言葉に全員が「あぁ〜…」と声を揃えて出した。彼の容姿がおっかない事は国内外で有名だったからである。実際日本が転移する前に、ロシアのコワルスキー外交官と会談に出向いた際、終始彼がタジタジとしていた程である。
ーーテスタニア帝国 会議室
◇日本国
外務大臣 安住 宏
外交官 戸田 雅人
外交官 加藤 寿輝
◇ロイメル王国
外務局局長 ホムルス・マトゥ
外務局員 オスカル・オシオ
外務局員 バリー・ロモン
◇アムディス王国
外務局局長 ゴメス・メレディーレス
外務局員 ゲルティ・シュタウピッツ
外務局員 ベルハルト・マグヌソン
◇テスタニア帝国
最高責任者 カーネギー・ルガー公爵
補佐官 ギリガン・スウォルト侯爵
補佐官 ハンス・フンボルト侯爵
今この場では、戦後のテスタニア帝国に対する賠償について会談を行っていた。テスタニア帝国の面々は皆が緊張した様子でこれから起きるであろう無慈悲な条件を聞かされなければならないのだから…。しかし、今それよりも気になることが…
「どうも、私は日本国外務大臣の安住宏と申します。本日はよろしくお願いします。」
「「……。」」
「?…あのぅ…何か?」
「「ッ⁉︎な、何でもないです‼︎」」
(驚いた‼︎まさかニホン国の外務大臣が、あの寝物語に聞くオーク族だったとは…)
(人族だけと思っていたが…流石ニホン国、我らの予想を超えた国だ。)
(他種族なのに国の重役を担うとは…)
「(あれ?もしかして…)誤解されない内に伝えておきますが、私は人間ですので。」
「「エッ⁉︎……あっ!いや、そのぉ…も、申し訳ありません…。」」
「いえ、慣れっこですので。」
安住にとっては別に珍しいことでは無かったが、彼らからしたら「や、やってしまった〜…」と思っていた。よりによってこの様な会談の時に…。
「…ご、ゴホンッ!では本題に入りましょうか?先ず…今回の戦争に敗戦した貴国に対する我らが提案する賠償はこちらになります。」
ーー
・テスタニア帝国は日本国、ロイメル王国、アムディス王国に対し10億レクル(テスタニア帝国の通貨)支払うこと。(賠償金に関しては特定地帯の採掘権の明渡しにより軽減を可能とする。)
・ゴバン鉱山、ヌゥモス鉱山、リナガス鉱山の採掘権及び土地を譲渡すること。(これに関しては強制ではないが、譲渡する事で賠償金を軽減することが出来る。)
・テスタニア帝国は今までの占領地域の解放・独立を認めること。
・今後テスタニア帝国の軍事組織を解体し、治安維持を目的とした『保安隊』を組織すること。また、国外組織に対する武力行為は専守防衛以外は認めない事とする。
・今後ともテスタニア帝国は日本国、ロイメル王国、アムディス王国と国々と友好的かつ協力的関係を築いていくこと。
ーー
「ー以上になります。」
テスタニア帝国側は全員が驚いていた。
10億レクル…とてもじゃないが国中の金を集めてもそんな額にはならない。
ーー
テスタニア帝国の貨幣は3種類存在する。
『レクル』は金貨で1レクル=10万円
『ラクル』は銀貨で1ラクル=8千円
『ムル』は銅貨で1ムル=500円
ーー
「申し訳ないが、そんな大金を支払う事は不可能です。なので…」
「鉱山地帯の譲渡で補う…と言うことですね?」
「はい…」
「お、お待ち下さい!カーネギー公!もう一度考え直して下さい!あの鉱山地帯は我が国の資金源の6割を占めています!それを売るとなるとー」
「ではお主は国民たちに大きな負担を与えるつもりか?」
「そ、そういう訳では…」
「国を立て直すと言っても国民に多大な負担を与えるのは逆効果だ。暫くは豊かとは無縁の国になってしまうが、決してそれは永遠ではない…また新たな資金源となるモノを皆で一緒に考えよう。」
「は、はい…。」
「では次にーー」
ーー2時間後
「ー以上になりますね。改めて今回の貴方がたの勇気に感謝します。」
「あっ!チョット宜しいですか⁉︎」
「はい?」
「先日貴国へ送った…」
「あの書類の件ですね。あれに書かれていた案件は我々にとってもとても素晴らしい内容でした。この…『奴隷禁止制度』と『帝国制度を廃止し民主制度を取り入れる』と言う内容…今の帝国とは180°変わりますね…でもその道のりは過酷なものでしょう…大丈夫ですか?」
「乗り越えてみせます。帝国は…いやこの国は必ず…良い方向へと生まれ変わってみせます。その時は…改めて貴国達と会談を行いたい…もちろん戦争などでは無い、平和への歩みについて…。」
安住達はカーネギー公の発言に強い意志を感じた、確かに容易ではないがこの男なら必ずやってのける事が出来る…そう思えた。
「それから…ホムルス殿…。」
「はい?何でしょうか?」
「我が国は、過去に貴国の友人である…ゾハン公国に対し…」
「カーネギー殿…」
「え?」
「確かに…貴国が過去に行ってきた事は許させる事ではないでしょうが、それはあの皇帝が始めた事…貴方には関係のない事だ。それに…もうアンディ大公は帰ってきません。」
「……ですから…恨んでも構いません…何百年、何千年でも…」
「ホホホッ!『恨み』はまた新たな『恨み』を生むだけですよ。他国に対して強い『恨み』を抱くとそれは益々増幅し、ついには己が抱いた『恨み』によって崩壊する。そんなので滅ぶ国程惨めなモノはありません。ならばどうするか…『許す』しかないのです。『恨み』の連鎖を断ち切る事が一番なのです…無論それは簡単な事ではない…しかし、それしかない。」
「ホムルス殿…」
「ですから…どうか平和を重んじる良い国へと導いて下さい…アンディ大公もそれを望むはずです。っと我が国の国王陛下がここにいればそう仰るでしょう。」
「必ず…必ず。」
こうして会談は無事終わる事となった。その時のロイメル王国との関わりは、後のテスタニア帝国始まって以来の歴史的内容だったと語り継がれるのはまた別の話。
番外編とかも作っている人も見ますけど作った方が面白いですかね?