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日出づる国、異世界に転移す  作者: ワイアード
第2章 テスタニア帝国編
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第33話 陰謀

年内には最低でもテスタニア帝国編を終わらせるよう頑張ります。

ーー翌日 テスタニア帝国


『日ロア国家との会談前にカーネギー公爵失踪⁉︎置き手紙も何もなし‼︎』



帝都内はこの号外内容で持ちきりだった。国民からの多大な期待を寄せていたカーネギー公が突然消えてしまった事に国民は不安でしかなかった。この国の命運は一体どうなるのかと…。



「オイオイ、これから帝国の命運が決するって時にどうすんだよ⁉︎」


「ちゃんと実力のある人じゃないとこの帝国は終わりだぞ!」


「いやいや!それじゃあ会談には誰が代表として行くんだよ⁉︎」


「立候補で出たのはカーネギー公だけだ…後の奴らは責任が怖くて縮こまってるって話さ。」


「会談の日程はこの代表者が決まるまで日ロア国家は待つそうだぞ。」


「誰でもいいから俺たち国民を奴隷にだけはさせないでくれよ〜‼︎」



帝都内…いや、帝国内には一つも明るいニュースなど無かった。今では全ての重労働を奴隷に任せていた為、その奴隷達が居なくなった事により帝国は深刻な労働力不足の危機に立たされていた。因みに、奴隷達は一時的に帝国の東側辺境地方を占領したロイメル王国の元に集まっていた。本来は日本が行うべき事だと他国からの言葉が聞かれたが、法律上この様な行為は行えないことを伝え、代わりにロイメル王国がこの役割を買って出た。






ーー王城内 ロスキーニョ侯の執務室



椅子に座って窓から外を覗いていたロスキーニョ侯。その周りには


リマーベル・サナル伯爵

クリフトフ・ビュース伯爵

ベーデル・ビョルリンゲル子爵がいた。



「ろ、ロスキーニョ侯…次は…どの様に?」



「ふむ…連中はまだ兄上を探している…まぁ兄上は優秀な男だったからな…今回の戦のケジメを何としてでも兄上に押し付けたいのだろう。『カーネギー公なら何とかしてくれる』…そう信じてな。」



「あと3日以内にカーネギー公が見つからなければ、法に基づき代表者選定会議が改めて開かれるでしょう…その時は無論…」



「あぁ…私が名乗りを上げるつもりだ。」



「しかし…仮に代表者が決定したとしても日ロア国家との会談はどうするつもりですか?」



「……会談の日には3カ国の代表者達がやって来る…そこを狙う!」



「狙う?…まさか⁉︎」



「あぁ…『捕らえる』。そして人質にする。」



「そんなことをすればニホン国を始めとする3カ国は間違いなく激怒しますよ。」



「…話によれば…ニホン国はカナリのお人好し国家だそうじゃあないか?行き場の無い亜人族を匿ったり、武力で簡単に片付く相手に対し血を流さない方法で終結させようとしたり…連中は間違いなく人質を守る為にわれわれの要求に従うはず!ニホン国が従う意思を示せば他の2カ国も自然と従ってくる。」



「…何を要求するつもりで?」



「無論、『雌エルフ』…フレイヤの身柄引き渡しだ…。」



「…成る程、そう言うことですか…『赤門』を開けるのですね?」



「あの能力ちからを利用する…そして…ニホン国…ロイメル王国…アムディス王国を滅ぼす。3カ国には抵抗すれば人質を惨殺すると伝える。」



「…連中が大人しく従うとは思えませんが…それにニホン国の軍事力を見ましたでしょ?アレに到底敵うはずが…。」



「だろうなぁ…だが、『雌エルフ』さえ手に入れれば、後の要求を呑もうがどうしようが構わない。いくらニホン国の軍事力が高くともあの能力ちからを手に入れた時点で…我が国の勝利だ‼︎」



「しかし、『赤門』は奴等の手中にありますよ。どうやって開けるんですか?」



「フフフフ…私は『黒門』『赤門』の管理責任者だ。万が一を考えて門は『2つ』ずつ作ってあるんだ。」



「『赤門』が2つも…。」



「だがこれでようやく、門の中にいる……3体の『炎龍』を操り、その力を奴等に思い知らせる事が出来る…。」



「この世界の歴史上、『炎龍』を戦争の道具として利用できた国は存在しない…『炎龍』を倒す事は高度文明国家…いや5大列強国でも不可能と言われている。」



「他の『龍』も『雌エルフ』がいれば全てを軍事力に加えることが出来る…と言うわけでもありますな!」



「『ヘトヴィヒ』、『シュナーベル』、『ツェプター』…この3体の炎龍を自在操ることが出来るのはその『雌エルフ』の能力ちからのみ…。ですが、『雌エルフ』が素直に言う事を聞くかどうか…。」



「その為の手はもう打ってある。『ヌル』をアルフヘイム神聖国へ忍び込ませた…これでヤツの父親…ウェンドゥイル聖王を人質にとる。父のため、国のために危険を冒してまで1人で助けを求めに行くようなヤツだ、必ず我らに従うだろう。ふふ…既に戦勝気分の奴等だ…今こそが好機!」



「やはり…この国を統べるのは、貴方様しか居ません…ロスキーニョ侯!」



ロスキーニョ侯は机に置いてあった葉巻を取ると、それに火を付けて深々と吸い…煙を吐いた。



「フゥ〜〜……私はあの皇帝バカとは違う、常に帝国の為に好機を逃さずに徹底的にやらせて貰う。」





ーー日本国から北西約30000㎞地点 海上



黒煙を上げながら海の上を進む一隻の蒸気船があった。


ハルディーク皇国の貴族専用輸送船『カルマ』

全長約110m

全幅約25m(中腹部は約35m)

両側面には大砲が2列備わっている。


黒煙を上げる3本の大きな煙突と4本のマスト、船体中腹部の両側には大きなパドル(外車)が回転していた。船体中腹部は少し広めに膨れた円形をしており、そこでは龍車が離着陸を行っている。



「あと数日で本国へ到着ですね、シリウス副長。」


「あぁそうだな…いやぁ長い旅だった。」


「ところで…本当に観戦武官も引き揚げさせても宜しかったのですか?ニホン国の力を見るチャンスでしたのに…。」



シリウスは紅茶の匂いを楽しみながら答えた。



「ふふ…別に構わん。ニホンの力は大体分かった。まぁ私個人の意見だが…。」



「えっ⁉︎本当ですか?で、ではシリウス副長はどう分析を…?」



「あぁ…恐らくニホン国は高度文明国家レベルの力を有しておるだろう。」



「あ、あんな田舎地方に高度文明国家レベルの国がいるとは到底と思えませんが…。」



「テスタニア帝国の大船団をほんの数時間で、大打撃を与えたという話は聞いているな?」



「えぇ、ですがアレはその時の指揮官が自身の作戦ミスを揉み消すための戯言だったと…。」



「アレは本当だろう。無駄にプライドの高いテスタニア帝国が己の面子を守るためにな。あれ程の大船団に大打撃を与える程だ、高い機動力と戦力を有している軍船を使ったのだろう。」



「ではニホン国は蒸気機関を作れるレベルの国だと⁉︎」



「そこまでの文明力かどうかまでは分からん。だが、隠密組織の質はかなり高い、でなければテスタニア帝国の反乱を引き起こす事は出来なかっただろう。」



「…。」



「翼龍も存在しないという情報も怪しいな。実際は低文明国家では対処できない程の高品質の翼龍が居て、ニホンはそれをあまり国外へ飛行させないだけかも知れん。」



「ま、まさか『闘龍』が⁉︎」



「可能性はある…。」



「……そんな事が…。」



「だが、我が国を含む『5大列強国』には敵わないだろう。仮にそれ程の文明力・軍事力を有しているのならまどろっこしい事などせずにその力でテスタニア帝国を叩き潰せば簡単だ。だがニホン国はわざわざ隠密組織を使って反乱を誘発させたところ彼の国は文明力は高いかもしれぬが、テスタニア帝国程度の国を徹底的に叩き潰す程の『物量』『兵力』を有しておらぬのだろう。それでも脅威的な存在である事に変わりは無いがな。」



「ですが、テスタニア帝国の兵力だけは高度文明国家に通ずる所はあります。」



「大した練度も質もないただ馬鹿みたいに数を揃えた兵など何の脅威でもない…兵器は数で何とでもなるが兵士は数ではなく一人ひとりの『質』が重要なのだ。」



「な、成る程…。」



「このニホン国については1週間後に開かれる『例の国際会議』の議題にも上がるだろう…。その時まで我々はニホン国に関する情報の収集と資料作成に取り掛かるぞ。」


またチラリとハルディーク皇国の人達が出てきました。

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