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日出づる国、異世界に転移す  作者: ワイアード
第2章 テスタニア帝国編
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第29話 黒門

新たな兵器も登場しますが、これについては実際にこうなるかも…と噂されています。


投稿ペースが少し遅れてますが、頑張ります。

ーーテスタニア帝国 西側 正門



「か、開門せよーー!」



門番の声により開かれる正門。自衛隊は正門が開く様子を2〜3㎞離れた所から双眼鏡を使って見ていた。



音声拡張魔法具を使って話しかけてくる声は少し震えていた。あんなに敵意剥き出しだった国がいきなり降伏するかの様にアッサリと敵を帝都内へ招き入れる事に、谷藤一佐を始めとする指揮官達はある事に気付いた。



(あー……十中八九『罠』だな。)



「谷藤一佐、どうしましょうか?」


「まず上空からの偵察だな。『OH-1』を数機帝都上空へ向かわせろ。護衛として『八咫烏やたがらす』も発進。他の東南北の正門にいる姉帯あねたい二佐、泉久保いずみくぼ二佐、平野ひらの二佐にも伝えろ。」


「ハイッ!」


「そして、安全が確認出来たら上空からの監視・援護のもと、帝都へ入る!」



ーーテスタニア帝国 帝都ロドム 離れ丘



この離れ丘には無造作に捨てられた木材が散乱していた。その中の大きな瓦礫が突然大きな音と共に崩れていく。すると、その瓦礫があった所に大人1人がギリギリ通れそうな洞穴がポッカリと空いていた。そして、そこから1人の男が出てきた。彼の名は鈴木…『別班』の隊長である。



「……よし、出てこい。」



鈴木が周辺の安全を確認すると、彼の部下3人が続けて洞穴から出てくる。



「フゥ〜〜…息が詰まりそうでしたよ。」


「文句を言うな。カーネギー殿が教えて下さった、監視の目が届かない場所に通じる洞穴なんだ。」


「へいへい。」


ここから帝都が一望できた。辺りは黒い煙と炎、悲鳴と怒声が響いている。テスタニア帝国兵は何とか奴隷達を抑え込もうとしている。しかし、自衛隊が帝都まで現れた事でテスタニア帝国兵の勢いが減退していた。



「…これでは逆にブルゴス達にテスタニア帝国兵は抑えこまれるな。」


「どうやら……民達の犠牲者はかなり少ない様ですね。彼らはちゃんと約束を守ってくれてます。」


「…俺たちの任務はこれにて終了…だな。」



鈴木達がその場を後にしようとした時だった。部下の1人が鈴木に対しある質問をした。



「鈴木隊長。1つ宜しいでしょうか?」


「なんだ。」


「鈴木隊長が参加していたのは…あのコロシアムですよね。」


「あぁそうだ。」


「では…あのコロシアムから少し離れたところにある『もう1つ』のコロシアム…みたいなアレは何なんですか?なんか形はあのコロシアムと同じですが…窓一つないドームみたいな建物ですね。」


「ん?…あぁ、アレは剣奴達を猛獣や魔獣と戦わせる為に造られたコロシアムだ。とは言っても俺が参加していたコロシアムと違って、あっちは数ヶ月に一度しか行わないらしい。なんでも、『猛獣や魔獣は貴重だから』だそうだ。」


「…俺的にはそっちの方が胸熱な展開が期待できると思うのですが…。」


「おい…不謹慎だぞ。」


「ハッ!申し訳ありません!」


「だが…興味はあるのは事実だ。俺は一回あのコロシアムの周りを見に行ったことはあったが、窓や覗き穴みたいなのが1つも無いだけじゃなく、天井も堅牢な造りになってた。」


「なんか…『何か閉じ込めてる』みたいですね。」


「ここからじゃ見えないが、あのコロシアム唯一の出入り口がある。それは異様にデカイ鉄製の『真っ黒な』門だった…。」




ーーテスタニア帝国 西側正門 付近



「……谷藤一佐。『OH-1』からの伝令で、帝都内に不審なモノは見られないとのことです。また、剣奴達の方も帝都内のテスタニア兵をほぼ制圧したとのです。彼等は我々が来た事に気付いており、何時でも合流に来ても良いとのです。」



「よし!では帝都へ入る!油断するな、フンドシ締め直して進めよ‼︎」


「「ハッ!」」



各正門前で待機していた自衛隊は『16式機動戦闘車』、『96式装輪装甲車』、『軽装甲機動車』を筆頭にそれぞれの普通科部隊を前進させる。隊員たちは自身の身を守る『20式小銃』を握り締める。



ーー

『20式小銃』

89式小銃の後継主力小銃。

『FN SCAR』と89式小銃を足して2で割った様なデザイン。


使用弾薬は5.56㎜、6.8㎜NATO弾を使用している。


装弾数20/30発。20㎜レイルによってあらゆるダットサイト、CQBバレル、照準器の装着可能。


ロングバレル、高倍率スコープを装着すれば狙撃銃仕様にもできる。

ーー



帝都内は奴隷達の暴動によってかなり荒れていたが、帝都の人達は比較的無事だった。殆どの人達が家の窓から怯えた様な目で自衛隊の隊列を見ていた。


所々に都民やテスタニア兵を捕らえた奴隷達がちらほら見えた。彼らは自衛隊を見るなり笑顔で手を振って挨拶をしてくれた。


自衛隊は一定距離まで進んだら一度停止、上空から安全が確認できてら再び前進するの繰り返しで何とか大広場にいたブルゴス率いる剣奴と奴隷達に合流できた。



「貴方が…ブルゴスさんですね?」


「あぁ…」


「私は日本国陸上自衛隊所属の川尻かわじり二等陸尉です。今回の作戦にご協力して下さりありがとうございます。」


「いや、礼を言いたいのはコッチさ。おかけで…自分を含めた多くの奴隷達が『自由』になれたんだからな。」


「人質達はアルフヘイム神聖国へ避難しています。皆さん無事でしたよ。」



この言葉を聞いた奴隷達は皆が歓喜と安堵の表情が見られた。この反乱を起こしている最中もずっと家族のことを思っていたのだろう。



「貴方達には…感謝しかない。」


「まだ、喜ぶのは早いです。後は…ベルマード皇帝を捕らえていないのですから…。」


「あぁ…分かってるさ。」





ーーテスタニア帝国 王城内



とある部屋の一室の窓から望遠鏡を使って帝都内の自衛隊とブルゴス達の様子を見ているベルマード皇帝と側近達がいた。



「やはり…奴隷達の反乱はニホン国が絡んでいたか…。」


「おのれ‼︎未開なゴブリン共め‼︎」


「あ、『アレ』を使ったら我々の命も危ういのでは…?」


「『アレ』を使ったら我々は帝都外へ逃げれば良い!既に馬車の用意は出来ておる。」


「ん?…おい!ヤツら此方へ向かってくるぞ⁉︎」


「ほ、本当に上手くいくのでしょうか?」



ベルマード皇帝は側近達の言葉など耳に入っていなかった。それよりも彼の頭の中は、自衛隊と奴隷達が恐怖と絶望によって泣き叫ぶ姿を想像してニヤついていた。



(フフフフ…愚か者め、ノコノコと帝都内へ入りおって…あの『空飛ぶ甲蟲』の様なモノはかなり気になる所ではあるが…『赤門』と『黒門』を開けば問題では無い!)



「陛下、如何致します?さっそく両方とも『開き』ますか?」


「…いや、先ずは『黒門』だ。最悪の場合のみ『赤門』を開こう…出来ることなら『アレ』は使わないで済む事に越したことはない。」


「わかりました。では『ヌル』に伝令を…。」


「頼むぞロスキーニョ侯。…フフフ、楽しみだ。」





ーー帝都ロドム コロシアム前



人っ子一人いないコロシアム前の広場に数人の『ヌル』達がいた。彼らはロスキーニョ侯からの魔伝で受けた指示…『黒門』を開くよう命令されたのだ。



「このコロシアムは…出来ることならば開きたくはなかったが…。」


「さっそく開けますか?」


「あぁ。」



ガチャッ!…ガコン!ゴゴ…ゴゴゴゴゴッ!



暫く開けていなかった重く大きい門を開ける。そして、『ヌル』達はコロシアムの中へと入っていく。


中は所々ホコリやゴミが散乱しており、カビの臭いが充満していた。壁には鋭い爪痕が至る所についていた。



「か、頭…本当に大丈夫なんですかい?」


「…あぁ、『まだ』大丈夫だ。『ヤツら』はもっと地下深くに幽閉されてる。」



ヌル』達は地下へと続く長い階段を降る。すると、目の前にさっきの入り口の門と同じく真っ黒な『門』があった。



グルルルルルゥ…



「ッ⁉︎」


唸り声…それを聞いただけで『ヌル』達は冷や汗をかいた。今この門を開けたら、間違いなく真っ先に喰われるのは俺たちだッ!と、全員が思った。


「頭ぁ…」


「わ、分かってる!…1匹や2匹じゃあない、何十匹も入る。…良し、開けるぞ。」


「ヒィッ!」



ガコンッ!…ガララララララッ!…ガコッ!



(あ、開いた……。)



門の先には先程の唸り声の主はいなかった。

しかし気配はする、獰猛な気配が。



「き、気を付けろよ。このままゆっくり上へ戻るんだ。」


「りょ、了解。」


「か、頭?…スミフスの奴が見当たりません。」


「なに⁉︎」


彼の部下の1人であるスミフスが居なくなっていた。彼等は辺りを見渡すが、彼の姿は見えなかった。その代わりに、彼がいた場所には小さな血だまりがあった。


「「ッ⁉︎」」


この時、全員の本能が「逃げろ」と命令してきた。そして全員がその場を急いで離れようと引き返す。しかし、全員が『何か』に捕まれ門の向こうへと引きづられてしまう。



「「ぎゃあああああああーー‼︎…」」



そして、『ヌル』達の代わりに門の向こうから現れたのは、『単眼の怪人:サイクロプス』、『二足歩行の大きなトカゲ:リザードマン』、『巨大な牙を持つ大狼:グリム』、『巨大な人喰い蜘蛛:イビー』などの魔獣達がゾロゾロと出てくる。怪物達は地上へと続く階段を少しずつ上がっていた。



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