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日出づる国、異世界に転移す  作者: ワイアード
第2章 テスタニア帝国編
24/161

第20話 海戦勃発‼︎

何とか戦闘シーンを皆様がイメージ出来るように頑張っているのですが中々上手くできません(泣)。


再び登場SF兵器!

護衛艦も登場しますが、「実際の装備と違うじゃん!」と思われると思いますが、そこは改造や新しく設置されたと思って下さい。

ーーガルカイドニア大陸から南側2500㎞地点 ジルグス沖




「清々しいまでの大船団だ…恐らく今後50年間は見ることはないだろう。」



テスタニア帝国ドム侵攻海軍の最高指揮官のギリガン・スウォルト将軍。齢65歳、『侯爵』の称号を持ち数々の死線をくぐり抜けてきた猛将である。


テスタニア帝国ドム大陸侵攻海軍、総兵力20万、軍船の数は4000隻を超える大船団は青く美しい海面が見えないほど、武装と多くの本土侵攻軍将兵を乗せて進む船で溢れている。


しかし、彼は今回の戦争に対してはあまり気が乗らなかった。それは、彼の元部下であるカーネギー公の言葉を2日前に聞いたからである。





ーー2日前 テスタニア帝国 王城内





「ギリガン侯!少し宜しいでしょうか?」


「ん?おぉ、カーネギー公では無いか!如何致した?」


「貴方様が此度のドム大陸侵攻軍を率いるとお聞きしました。」


「おう。だが、それがどうかしたのか?」


「実は…ニホン国の技術力についてなのだがー」



カーネギー公は日本の技術力の高さと危険性について話した。



「……ふむ、確かにお主の言う通りニホン国は『危険』な国やも知れぬ…。だが、何故それを私だけに?先程の軍務会議に話せば良かろう?今からでも将軍達をもう一度集めようか?」


「…彼らにも伝えました。しかし、彼らは聞く耳を持たなかったのです。」


「そうか…」


「ギリガン侯!今からでも遅くはないと思います!皇帝陛下に此度の指揮権の変更を願えばー」


「カーネギー公。私は1度指揮を執ると決めれば指揮をとる男だ!私を信じついて来てくれる者もいるのに今更やめることなど…。」


「ギリガン侯…」


「ありがとうな!機会があれば、一杯奢ろう!」




ーー





「カーネギー公…お主の言う通り日本が5大列強国に匹敵する力を持っていたら、この程度の大船団では心許ないな。」



ボソリと呟くギリガン、すると見張り台にいた水夫から謎の飛行物体が確認できたとの報告が届いた。



「謎の飛行物体が接近しております!」


「総員迎撃準備‼︎‼︎何時でも攻撃できる体制を取れ‼︎」



ギリガン将軍の命令により甲板にいる兵達が弓矢やカロバリスタを構える。すると、海の向こうから現れたのは彼等からしたら摩訶不思議な物体だった。


無人偵察機『八咫烏やたがらす』が水平線の向こうからやって来たのである。


八咫烏やたがらす』は大船団から300m近く離れた場所で停滞しながらスピーカーを通して声が聞こえた。




『此方はニホン国海上自衛隊です。これより先は日本国(中ノ鳥半島)領海です。直ちに引き返しなさい。繰り返します。ここから先は日本です、直ちに引き返しなさい。』



テスタニア帝国兵達は、突然猛スピードで現れ、音声拡張魔法具の倍以上の音量で此方に警告してくる物体に驚愕していた。


しかし、1人の兵がそれに向かい矢を放つとそれに吊られて他の軍船からも大量の矢とカロバリスタの大矢が放たれた。



「ば、馬鹿者‼︎‼︎誰が放てと命令した‼︎打ち方止め!打ち方…やめんか馬鹿が‼︎」



すぐにギリガン将軍や将兵達が兵達を叩きながら止めさせる。



すると『八咫烏やたがらす』は、旋回して再び猛スピードで水平線へと消えていった。



「な、何だったんだ今のは…⁉︎」



謎の飛行物体に驚愕するギリガン将軍。しかし、甲板にいる兵達は敵機を追い返した事に歓喜の声をあげていた。



「(何を浮かれておる!アレは恐らくニホン国の翼龍!そしてアレは我々に対し『引き返せ』と言ってきた。もしかしたら、アレが最後の機会だったのかもしれん!『全員が無事に帰れる』機会は…。)」



ギリガン将軍がそう呟くとー



ドォンッ!



何かが爆発した様な大きな音が聞こえた。それは、先程の『翼龍と思われる物』がやって来たほうから聞こえてきた。


ギリガン将軍達が何事かと辺りを見わたそうとしたその時、突然前方を走っていた軍船の直ぐ目の前で大きな水柱が上がった。



「ッ⁉︎な、何事だ⁉︎」


前方にいた軍船にいる兵達は皆パニックになっていた。すると見張り台にいた兵から敵船と思われる船3隻が接近中との報告が出た。



全員が前方に目を向けると、水平線から途轍もなく大きな船がやって来た。



「な、何だ…あの船は…いや、アレは船なのか?」


海上自衛隊の護衛艦3隻が現れたのだ。


するとその船から煙が上がると同時に再び前方にいた軍船の目の前で大きな水柱が上がり、その後から破裂音が響いて来る。



「〜〜〜ッ⁉︎さっきの音はアレからだったのか⁉︎」



すると護衛艦からスピーカーを通じて声が発せられる。



『テスタニア帝国の皆さん、これが最後の警告です。直ちに引き返しなさい。』



兵達の顔からは恐怖が見られ、全員がギリガン将軍を見る。皆んなが彼を頼っていた、しかし、ギリガンも同じく怖かったのだ。今まで出会ったことの無い未知の力を持った強大な敵、しかし、ギリガンはその恐怖を押さえ込もうとする。


「お、臆するな‼︎偉大なるテスタニア帝国の兵達よ‼︎我がテスタニア帝国は神に選ばれた国‼︎あのようなまやかしにひるむ様な我らではない事を敵の目に焼きつかせてやろうぞ‼︎」


ギリガンの言葉に再び兵達に『勇気』と『士気』が戻った。大船団から発せられる兵達の雄叫びは、音声拡張魔法具よりも大きく迫力があった。


「(そうだ!我らが戦ってきた相手は皆『初対決』!…初めての敵と戦う事は…初めてではない‼︎)」



再び活気溢れる大船団。しかし、そんな大船団の中で一隻だけ他の軍船とは違う行動を取っていた。


「ん?…ギリガン将軍‼︎‼︎最前線を航行していた軍船『ラハト』が…『講和を求める』旗を掲げました‼︎‼︎」



「なっ⁉︎」



ギリガン将軍が望遠鏡を使って前方に目をやると確かに『講和を求める』事を意味する。紺色の旗を掲げていた。



「な、何を考えておるのだ⁉︎まさか…裏切るつもりか⁉︎」



他の軍船からはその船に対し罵詈雑言の言葉を投げかけていた。



海上自衛隊の護衛艦もその旗の意味をアムディス王国から聞いていた為、一隻がその船に少しずつ近づく。


そして、護衛艦と軍船『ラハト』との距離が200mをきった次の瞬間ー



「放てェーーー‼︎‼︎」



軍船『ラハト』から一斉に火矢と大矢が雨の様に護衛艦に降り注いだ。


放たれた火矢と大矢は護衛艦の艦首部分に数本が当たっただけで済んだ。その後、護衛艦は全速後退で後ろに下がった。



軍船『ラハト』からは、沈める事は出来なかったが、敵船を追い返した事に歓喜の声が溢れていた。



他の軍船からもさっきまでの罵詈雑言から一変、「良くやった!」と褒め称える声が一斉に聞こえた。しかし、ギリガン将軍は後退する護衛艦を見て冷や汗をかいていた。



「(後退できる船など聞いたことがないぞ⁉︎それも明らかに風向きによるものではなく『自力』で動いておる!かなりのスピードだ…。)」



すると見張り台にいた兵から再び声が聞こえる。



「て、敵船のバリスタと思われる物に動きが見られます‼︎真っ直ぐ此方に向いてきています‼︎」


「なに⁉︎…ま、まさか‼︎」


ギリガン将軍は先程の大きな水柱を思い出した。彼の背筋がゾッとする。


『そ、総員攻撃に備えろ‼︎『ラハト』は早急に引き返せ‼︎早くしろ‼︎‼︎』


ギリガン将軍は魔伝室に入り、音声拡張魔法具を使い、全ての軍船に対し警告する。



ドォンッ‼︎


あの破裂音が辺りに響くと同時に軍船『ラハト』は大爆発を起こし、あっという間に沈んでしまう。



ーー

『62口径5インチ単装砲』

射程距離は30㎞

毎分40発の射撃が可能。

対空、対艦、場合によっては対地攻撃にも優れており、砲弾はより重く強力となった。

ーー



大船団の兵達は皆んな目の前で起きた事が信じられない様な表情で見ていた。


誰も声をあげない。いや、驚きのあまり声を出せないでいた。『ラハト』がいた場所には粉々に砕け散った船の部品、死体と身体の一部と思われる物が海面を漂っていた。



「な……何だ…アレは……あんな兵器見たことも聞いた事もないぞ…」



すると護衛艦から再び破裂音が聞こえてきた。


(1…2………5回!最低でも5隻は沈められる!)


しかし、ギリガン将軍が想像していた以上の破壊力を有したその攻撃により20隻の軍船を沈めた。一回の攻撃で複数の軍船を吹き飛ばす日本国の攻撃に兵達は完全に動揺していた。


「たった数分間で20隻もっ!大した数で無いにしろたった数分でコレだけの被害…ヤバイ‼︎」


「伝令兵‼︎各『龍船』に伝達!、直ちにニホン国の軍船に向けて飛び立ち上空から攻撃せよ‼︎その間、一気に敵船の懐まで近づき乗り込む‼︎」


ーー

『龍船』

全長50m、全幅15m

他の軍船よりも二周近く大きく、一隻につき10匹の翼龍を乗せる事が出来る軍船である。

ーー


龍船の甲板が開かれてそこから滑車を巻くとことで翼龍を乗せた台が甲板に出てくる。外に出た翼龍騎士団は大空に羽ばたいた。50隻の龍船から一斉に飛び立つ翼龍騎士団、その数は500機。



護衛艦からはなおも破裂音が聞こえてくる。

今度は3隻全てから放たれた。恐らく1隻につき、15回は聞こえたであろう破裂音は60隻の軍船を沈めた。


「頼む‼︎間に合ってくれ!」



ーーテスタニア帝国 翼龍騎士団


「おのれェ…よくも戦友たちを…この野蛮人どもが‼︎」


翼龍騎士の1人が声を荒げる。

そして沈められた自国の軍船の残骸の上を通る。辺りは船の部品や死体で溢れていた。



(リグルゥ…無事なんだろ?、ロッジ…どうした?またいつもの馬鹿デカイ笑い声を聞かせてくれよ、マルコ…お前この前サニーと結婚したばかりだろうが!こんなとこで死ぬな!)


彼の想いとは裏腹に出てくるは死体ばかり、望みは絶望に変わり、悲しみは怒りへと変わった。


「みんな…みんないい奴だったのにッ!ニホン軍めぇ…この人殺しの蛮族がぁ‼︎‼︎」


彼の怒気に他の翼龍騎士達も共感し一斉に護衛艦に向けて突っ切る。



護衛艦の『CIWS』はグルリと角度を変え、コンピューターが翼龍騎士団の方へ向け…捉える。


ーー

『高性能20㎜機関砲/CIWSシウス

自動に飛来する対艦ミサイルを迎撃する最後の砦で、毎分3000発というスピードで砲弾を吐き出す。脅威が近づくとコンピューターにより標的を判断し、より脅威となる標的を優先的に迎撃するシステムになっている。

ーー


護衛艦までの距離が3000mを切った途端ー


ヴゥゥゥゥゥーーーーーッ‼︎



地響きのような轟音と護衛艦から煙が上がると同時に、翼龍騎士団が次々とバラバラに粉砕され羽虫の如く撃ち落とされる。


「なっ⁉︎」


前方を飛んでいた仲間が突然空中でバラバラにされて落ちてく。その様子を見ていた他の翼龍騎士達は何が起きたのかサッパリ分からなかった、分からないからこそ恐怖が沸き起こる。しかし、誰一人として突撃を止める者はいなかった、恐怖よりも仲間を殺された怒りが勝ったからである。



しかし、それでもなお撃ち落とされる翼龍騎士達。遂には残りはあと5機…4機……2機…1機だけとなった。



「なんだよ…これ…ふざけんなよ…。」


残った翼龍騎士は自分だけとなった。周りには誰もいない、ニホン軍の船までは1000m以上ある。それでも彼は突撃をやめなかった、仲間の仇を討つために。


「このぉぉぉぉ化け物がぁぁ‼︎‼︎」


恐怖を打ち消す為の絶叫にも近い怒気の篭った声を上げながら突っ込む。翼龍の口には魔力を練って火炎弾を撃ち出そうとしている。


しかし、翼龍が撃ち出す前にバラバラとなって撃ち落とされてしまった。



その様子を望遠鏡を使って見ていたギリガン将軍は、もはや声も出ない。翼龍騎士団は全滅、敵に一矢報いる事すら出来ずに…。


他の将兵や兵達も絶望していた。兵の中には頭を抱えて踞りながらガタガタと震えている者も少なくなかった。


まだ船団は護衛艦までには到達していない。残りはあと7000mはあるであろうか、こうしている間にも敵の攻撃が次々と撃ち出される。距離が縮まるにつれ、攻撃が強くなり、貫通力も増していく。


ドォンッ!


遂にはたった1回の攻撃で3隻も吹き飛ばし、沈めてしまう。


翼龍騎士団が飛び立ってから全滅するまでに250隻以上、現時点までで400隻以上も沈んだ。


「まだだ…まだ戦える‼︎」


ギリガン将軍は自分にそう言い聞かせ、船団を進めさせる。すると、急にさっきまでの破裂音が消えた。



「何だ?…まさか大矢が尽きたか?……チャンスだ‼︎‼︎全船突っ込め‼︎‼︎敵は大矢が尽きた‼︎‼︎仲間の仇だ‼︎今までのお礼をしてやれ‼︎」



ギリガン将軍の言葉に崩壊しかけた士気が再び戻ってきた。可動橋を甲板に出し、兵達も武器を持っていつでも敵船に乗り込める準備をする。


全員が殺気に溢れている。


ギリガン将軍の目にも希望の光が見えた。


「よし!良いぞ…行け…行け!」


そう船に言い聞かせながら自身も愛用の武器を準備する。すると、見張り台にいた兵からの報告が聞こえた。



「敵船に新たな動きあり‼︎さっきのバリスタではありません‼︎……ッ⁉︎敵の甲板から何かが出てきました‼︎さっきのバリスタと同じ様な形をしていますが、明らかに大きさが違います!さっきのより大きいです」



「なにっ⁉︎」



ギリガン将軍は望遠鏡を持って護衛艦を見る。すると護衛艦の甲板にはさっきのバリスタよりも少し大きく、形も少し違うバリスタが出てきた。


それは此方に向くと長く突き出た2本の棒の様な物に電気が帯びているのが見える。


「な、なんだ?何をする気だ⁉︎」


するとそれは一瞬小さな閃光を放つと同時に左側を航行していた船団が最前線から最後尾にいた軍船を大爆発と共に粉々に吹き飛んだ。さっきまでの攻撃とは比べ物にならない破壊力だった。1度の攻撃で100隻もの軍船を沈めた。


「…………は?」



ーー

『レールガン』

電磁誘導によって特殊な砲弾をマッハ7上回る速度で撃ち出す。射程距離は160㎞。

まだ完全では無いが、少しづつ全護衛艦に設置されている。

ーー


再び電気を帯び始めるバリスタと思われる物が今度は右側の船団に方向を向ける。


右側にいた船団からは悲鳴と絶叫が聞こえるが、再び撃ち出された『何か』が彼らを襲う。


また100隻以上の軍船が沈められる。彼らの声が聞こえなくなり、代わりに軍船だった物が燃え盛る音が聞こえる。


「………。」


もうどうやっても敵う相手ではない。とギリガン将軍は思った。


「し、将軍!どうしますか⁉︎」


「……だ。」


「え?」


「撤退だ…全軍撤退。魔伝で残っている船に伝えろ。」


「ま、まだ軍船は残っております!それに、そんな事をすれば⁉︎」


「わかっておる…十中八九私は殺される。だが、『私だけだ』。お前達は助かるから安心しろ。」


「将軍……。」


「(はは…すまんなカーネギー公、約束は守れそうに無い。)」




ーー護衛艦 『くらま』


「敵船団撤退を開始しました。」


「ふぅ…やっとか。私とてこれ以上無闇な戦いはしたくなかったよ。よし!全艦へ告ぐ!敵の生存者を救出せよ!」




こうしてドム大陸ジルグス沖でのテスタニア帝国海軍との戦いは、ニホン国の勝利に終わった。後方で控えていたアムディス王国とロイメル王国海軍に海戦が終わった事を告げるも中々信じて貰えなかったが、敵の負傷兵が次々と中ノ鳥半島基地の医療施設へ運ばれる様子を見たことでやっと信用してもらえた。



テスタニア帝国の将軍達は救われませんねぇ…。

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― 新着の感想 ―
[一言] レールガンに関してですが、現在米軍が地上試験を完了させたとのことで、2040年代であれば十分艦船に積まれている可能性がありそうですね。 SF感と現実感のバランスが良い兵器の選択だと思います。…
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