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日出づる国、異世界に転移す  作者: ワイアード
第9章 侵攻編
138/161

第133話 為すべきことは…

遅くなり申し訳ありません。

誤字報告ありがとうございます!

ーーー

 2週間前 日本国


 東京都

ーーー

 東京都は生憎の雨。

 天高く連なるビル群の窓ガラス雨風が当たり、地上を行き交う車は道路端の水溜りを巻き上げ、人々は様々な色や形の傘を差している。


 標識や信号機、広告等は今では立体映像型へ変わり。赤青の光、広告の光、標識の光が雨粒に反射し、その周りを淡く照らしている。


 車も60㎞走行までなら目標地点まで自動走行することが通常化した時代。


 一般人を始め、身体に障害を抱える人や病人などには有難い機能ではあるが、発達したAI技術も万能ではない。


 こういった悪天候ではスリップ事故は少なからず発生する。まだ手動運転が当たり前だった時代と比べられば交通事故発生率は極端に減少出来たとしても、手動運転に固執する人は後を絶たず、故に自動運転機能付きの車であっても、手動で運転する者の方が比較的多いのだ。


 それらを含めて常時、都市町村の警備に当たる人型の無人機。それが……


 WALKER(ウォーカー)


 30年前より急速に進んだロボット工学技術により生み出されたWALKERは、今では第5世代型にまで向上化している。その柔軟な動きは人間との差は無いに等しく、その頑丈さとカーボン製人工筋肉、そして、高度AIシステムによる人工知能を駆使し、多くの用途に使われている。


 今現在、内地に配備されているWALKERは第3世代型と旧式ではあるが、十分過ぎる成果を発揮している。


 雨の東京都内を傘を差すわけもなく巡回警備にあたる1機のWALKER。深度に限界はあるが、水中でも問題なく作業可能なWALKERにとって雨は何の脅威にもならない。


 その1機は東京都郊外まで進み、田んぼや畑が広がる所まで出て来た。プログラムされている巡回区域からもうすぐに出てしまう為、機体は踵を返そうとした時……



「だ、だれか……助け、たす……」



 何処から音を感知したWALKERは直ぐに分析を開始。コンマ1秒も掛からずに、それが人の声でしかも心拍数の高い危機的状況であると判明。


 その声の先はプログラムされた区域外。


 しかし、WALKERは直ぐに自身が配備されている警察署本部へ緊急連絡を送り。非常事態につき区域外行動のプログラム変更の許可が本部より下る。その間、近くの消防署へも連絡を入れる。WALKERはプログラム変更が完了した時点で、目標地点へ向けて既に全力疾走を始めていた。


 人の限界膂力を軽く超えるWALKERであれば、あっという間に目的地へと到着する。


 辿り着いた場所は増水した川。


 その中にスリップしたであろう車が落ちていた。中にはまだ人が入っているらしく、必死にドアを叩いて出ようとしていた。しかし水圧によりドアは開かず、その間にも水がドンドン入っている。


 WALKERは川の真ん中に落ちている車に向かい勢いよく跳び移る。中の状況を確認、分析し問題ないと判断すると、その鋼鉄の拳を振るい車の窓ガラスを砕いた。



『ここは危険です』



 そう言うとWALKERは中に乗っていた女性を掴み上げ、車を蹴って陸地まで飛び移り戻った。


 幸いにも女性は軽症で大事なく、その後間も無く救急車や警察も到着した。


 これはあくまでもその一例に過ぎないが、今の日本にとってWALKERは切っても切れない必要不可欠な存在となっている。


 しかし、必ずしもWALKERが人々に愛されているというわけではない。


 まず前提としてWALKERは機械である。

 どんなに高度なAI機能を搭載していたとしても、機械はプログラムされた内容を実行しているに過ぎないのだ。


 良く言えば合理的。


 悪く言えば非情……心がない。


 それもそのはず。

 彼らは機械なのだから。


 人間は人に近い存在は作れても、人と同じ存在まで作る事は不可能なのだ。否、その技術は有っても心が未熟なのだ。


 さて、ここに1つの事例がある。


 某県某村にて大規模な土砂災害が発生した日があった。発生した場所は村から大分外れた山中だったが、そこには一件の民家が建っており、その民家が土砂に飲み込まれたのだ。


 民家には4人の家族が住んでいた。

 夫婦と子供が2人で、父親は仕事で街へ出掛けていた為助かったが、家に居た母親と子ども2人の連絡が付かない状態だった。


 直ぐに救助隊が現地へと向かうが台風による強い風と足場の悪い山の奥深くという事もあり、ヘリや人の足では到底到達するのは不可能だった。


 そこで現地の消防署は現在稼働可能な2機のWALKERを現場へ向かわせた。2機はいつ崩れるかも分からない山の中を問題なく進んでいく。


 ある時は土砂と一緒に流れ落ちた無数の岩石を避けながら。


 ある時は二足歩行では困難な、グジョグジョに泥濘んだ山の斜面を四つん這い……というよりも虫に近い四足歩行でぐんぐん進み。


 ある時は倒木の壁を跳躍し超えていく。


 WALKERの有用性をこれでもかと証明し続けた2機であったが、問題は現場到着で起きた。


 ほぼ完全に土砂に飲まれた一軒家。

 雨は急激に激しさを増し、その雨量に比例して更なる土砂災害の発生が高まる。

 生存は絶望的かと思われる惨劇だったが、屋内から女性の声が聞こえてきた。


 直ぐにWALKERは僅かな隙間と潜り岩や瓦礫を退かしていくと、そこには身体の半分土砂に埋まっていた女性が見つかった。


 周りや女性の容態に気を付けつつ、WALKERは救出作業へ取り掛かる。


 しかし、女性は喉が裂けるような声を上げながら訴えた。



「子どもが! 子どもが奥に居るんです! あの子を先に助けて!!」



 なんとその一軒家に住む夫婦の子どもが母親である女性の、その更にずっと奥で埋まっているというのだ。しかしー



『ここは危険です。直ぐに救助します』


「あの子を先にー」


『先ずは貴女からです』



 女性の願いも虚しく。

 WALKERは奥で完全に埋まっている子どもではなく、母親の救助を最優先させた。


 母親は必死に抵抗し、あの子を先に助けて、と何度も何度も訴えるが、黙々と救出作業へ取り掛かるWALKERの優先は助かる確率が高いその母親なのだ。


 無論、WALKERは子どもが埋まっている事も本部へ通達している。更に応援が来れば子ども救助も行われるだろう。


 しかし、母親が救出されると同時に、恐るべき事態が起きた。


 土砂の第2波が襲って来たのだ。


 直ぐさまWALKERは母親を抱えてその場を離れた。間一髪、土砂に飲まれる事は無かったが、まだ子どもが取り残されている民家は完全に飲み込まれ、更にガラガラと轟音を上げながら土砂と共に崩れ落ちていった。


 言葉にならない悲痛な叫び声を上げる母親。


 それから1週間後。

 土砂の中から変わり果てた子どもの遺体が見つかった。


 後日、母親は精神的におかしくなってしまい現在は精神病院へ入院。父親は消防署の判断と、WALKERのプログラムに誤りがあったとして提訴した。


 結果、消防署の判断とWALKERのプログラミングに異常はなく、あの判断は誤りでは無かったという判定が下された。


 痛ましい事故ではあるが、WALKERに誤りがあるわけではない。それがWALKER……機械なのだから。


 あの時、母親の助かる確率は70%、子どもは5%にも満たなかった。


 救助へ派遣されたWALKERはそのプログラム……トリアージシステムに従い生存率の高かった母親を優先させた。


 心ある人であればその選択に迷い、最悪2人とも亡くなるか救助へ向かった人たちも巻き込まれた可能性が高い。対して機械であるWALKERは情に流されずシステムに従い判断する事ができる。


 場合によっては情に流される人間。

 数値で物事を判断する機械。


 人々の生活に浸透しつつあるWALKERであるが、同時に様々な問題も出て来ている。








 ーーー

 日本国


 首相官邸 会議室

 ーーー

 雨風が外の景色を見せる壁ガラスに当たる会議室に、首相を始めとした各省庁大臣らが揃っていた。


 南原副総理はリモコンのスイッチを入れると、雨の東京都を移す壁ガラスが一瞬で真っ黒な壁へと変わり、雨風の音も聞こえなくなった。



「既に皆様方のお耳に届いているとは御座いますが、此方をご覧下さい」



 透明スクリーンに映し出され複数枚の衛星写真である。その写真には海の無い荒野には不自然な艦が写っていた。



「今映し出されている衛星写真は一帯が荒野で人工建築物は殆ど確認されていません。また、度々此処へ様々な形状の船が発見され、爆煙などが確認されている事からあの荒野一帯はレムリア帝国に於ける軍用兵器の実験場であると考えられます。まぁそんな場所に写し出されたモノなのですが、そこにある艦は今まで確認されたどの艦よりも明らかに大型である事が分かります」



 霧の壁が晴れて以降、日本政府は人工衛星による監視行動を率先して行ってきた。その過程で既にレムリア帝国には軍艦を空に浮かべて航行する技術と軍事文化を持つ国である事は把握していた。未だ不明な点は多いが、その種類は少なくとも4種はあると考えられている。駆逐艦、巡洋艦、戦艦、空母。中には戦艦と空母を足したような艦も見受けられた。


 また、陸軍らしきモノも多く発見されており、そこには戦車や輸送車、迫撃砲と思われるものも確認されている。


 では海軍はどうなのか……実はレムリア帝国の海軍らしき兵器類もとい海に浮かぶべき艦艇は全くと言って良いほど見つからなかったのだ。それらしき艦艇はあるには有ったが大した武装は無いに等しく、そのどれもが空中艦に於ける駆逐艦にも劣るサイズしか無い。


 そこで防衛省はある2つの説を説いた。


 1つはレムリアに海軍は存在しない。

 1つはレムリア海軍は海の中に存在する。


 前世界がどんなのかは不明だがこの世界には大海原が広かっている。シーレーンの確保の為、500年もこの世界にいれば海軍は必要になるはずだ。それに漁船らしき船は多く存在していた為、海の上に船を浮かべるという文化は少なくとも存在している筈。


 となれば後者である可能性が高く、あれ程の技術力を持つ国であれば潜水艦の類を持っていても不思議でない。


 故に防衛省では陸上も勿論だが、特に力を入れるべきは海上・航空自衛隊であると考えており、その為の行動も既に取り組んでいる。


 話は戻り、レムリア帝国の空中軍艦の中でも突出して高い火力と大きさを持つこの軍艦。恐らくこれはレムリアが創り出した新型艦の可能性がある。


 1人の大臣が口を開く。



「大きさは?」


「少なくとも700mは超えています。防衛省の見立てでは、戦艦類であるとの事です」


「700って……エゲツないな」



 その答えに周囲が騒つくが、本題はそこでは無いと南原は皆を諌め後に次の衛星写真を見せた。


 その瞬間、周りの空気が一気に張り詰める。


 その写真に映し出されていたのは、その巨大艦の艦首部から放たれた一本の巨大な紫の光柱だった。その後に映し出された数枚の写真には、光の柱に飲み込まれ次々と爆散する軍艦たちの姿があった。



「な、何ですか……あの紫色に光る柱は!」


「まるで、ビームではないか?」


「まさかビーム兵器か!?」


「そんなSFチックな兵器を!?」



 こんな反応が出るのも仕方ないだろう。


 巨大戦艦の艦首部から放たれる大きな光の柱。その柱は伸びるにつれ扇状に拡散、更に広範囲の目標物を飲み込み、撃沈させている。


 更に映し出される謎の兵器の爪痕の写真。

 それら全てを映し終えた後、防衛大臣の久瀬が顎に手を当てる。



「恐らくは最新兵器の実験。その標的とされた空中艦は……無人である事を願おう。更に富士山ほどの大きさを持つ巨山すら飲み込み、そして消滅させるあの威力。あの写真を見る限り有効射程は少なくても200㎞はあると見ていい。ったく、とんでもねぇモン作りやがって」



射程200㎞。

それは東京都を軽く超える射程に皆が息を飲む。ソレは自衛隊が持つ主要ミサイルとほぼ同射程を持っているというのだ。


 その言葉を皮切りに次々と各大臣から発言が飛び交う。



「野党からの反発は勿論あるでしょうが、やはりミサイルの性能向上化と軍拡は必須でしょう」


「アレがどんな物質で構成されているのか気になるな。それによっては放出後のエネルギー残滓が人体にどの程度悪影響を及ぼすのか……」


「他にも戦前を思わせる砲塔やらが見られました。大まかにですが技術レベルは50年代以上前と考えられますね」


「だがそれは飽くまで地球基準だ。安住さんの話によれば彼の国は魔導科学という未知の学術が発達していると聞いてる」


「それにレムリアは宗教による国連組織を創設している。言うなれば、もし彼の国と衝突するような事になれば最悪、第2世界の国全てを敵に回す事になるでしょう」


「此処はもっと情報を集める必要があるな。今現在、我が国で打ち上げている人工衛星の数は?」


「5基ですね。早期警戒機能付き偵察衛星『月光』、GPS衛星『八尺瓊』、DMSP衛星『森羅』、通信衛星『さくら18号』、監視衛星『千里』。現在、我が国と友好的国交を結んでいる国の各所に観測所、通信局を設置または建設中です」


「外務省と防衛省が何かと会議をしていたのはその為だったか。必要最低限の人工衛星を十二分に活用する為、計算された観測所の設置場所。その土地の国との国交を優先的にしていた狙いはそこでしたか」


「とはいっても、まだ不足と言っていい。少ない。近々新しい偵察衛星を2基打ち上げる予定にはなってるが、こりゃあもっと急ぐ必要ありだな」


「昔の衛星打ち上げ技術ではあり得ないペースですね」



 様々な意見や発言が出てくる中、総理大臣の広瀬が手を2回ほど叩いた。パンパンと室内に音が聞こえると、周りの声は一気にシンとする。


 側に立っていた南原に席に座るよう促してからやっと口を開いた。



「とにかく、あの国の脅威度が増した事は間違いない。色々と懸念する点はあるだろうが、テスタニア帝国やハルディーク皇国との連戦に、国民たちの考えも大分変わってきている。最早、野党の発言力や一部メディアの情報操作も意味を成さないに等しい。まぁ行き過ぎても困るが、今現在我が国が行っている防衛政策について今一度此処で纏めましょ!」



 そう言うと、広瀬は久瀬へ視線を送る。

 久瀬はハイハイと小声で呟き答えて。



・各種護衛艦の増設建造。

 現在の7護衛隊群を10にまで増やす予定。


・潜水艦の建造増加。潜水艦は現在35隻。

 シーレーン確保及び自国防衛を目的とする。


・原子力潜水艦の建造。

 現在2隻を建造中。


・WALKERを始めとした無人機の大量生産。

 ドム大陸を始めとした多くの国々に工場を建設。特にWALKERには遠隔操作型も並行して生産。



「第2世界に対する偵察及び監視強化で各所に無人機を派遣させるのは理解出来るが、流石に全てAIにってのはちょっと危険ではないか」



 官房長官の小清水が怪訝な顔を久瀬に向ける。

 久瀬は静かに頷いて答えた。



「自衛隊員とのチームを組んでの行動はこれまで通りです。無論、量産型といえど従来のサイバーテロ対策システムは抜かりありません」


「当たり前だ。現代社会の生活は勿論、軍事的な面でもアメリカを筆頭とした先進国にとってWALKERは無くてはならない存在だ。だが、その存在を悪用しようする輩は当然いたワケだ。20年前の第三次世界大戦の一歩手前まで起きかけたあの大事件を忘れたか? アレがきっかけで平和ボケ時代の日本もサイバーテロ対策に大掛かりな国家予算を投じる結果になったんだ。抜かりがあっちゃ困る。ワケのわからない異世界なら尚更だ」



 小清水の言う第三次大戦一歩手前と言うのは、まだドローンなどの無人機に対する規制案が十分ではなかった時代。無人機やAIが発展する中、中東を始め多くの国々でドローンによる爆弾テロが多発していた。軍用ドローンへの対抗策も殆ど無い当時にとって、ドローンを使ったテロは正に脅威そのものだった。


 某過激派テロ組織がアメリカ陸軍採用のドローンをハッキング。回収した後に爆弾を括り付けて某国の軍事基地複数箇所で自爆テロを実施した。その某国とアメリカは犬猿の仲で、イラン・イラク戦争以来の衝突がいつ起きても不思議ではなかった。


 そんな中で起きたドローン兵器による自爆テロ。使われたドローンがアメリカ軍の物だった事もあり、某国はアメリカによる先制攻撃と判断。アメリカ政府は否定するが、某国は他の反米国家と結託してアメリカと全面戦争への舵を切りだした。


 某国に大規模な油田施設を持つ2大国は「アメリカが世界のエネルギー資源を独占する為の自作自演だ」とアメリカを非難。秘密裏に某国へ武器輸出などの支援を行っていたと言う。


 第三次大戦が中東にて勃発しかけた時、NATOによる第三者介入と調査を開始。その結果、過激派テロ組織による犯行である事が判明。


 こうして第三次大戦ギリギリ手前で回避。某テロ組織完全撲滅へ進んでいく事となった。


 その後、世界規模による無人機の規制案が一気に進み、対サイバーテロシステムの開発と導入。さらに、個人がドローンを購入するには厳正な審査と登録証を持つことが義務化された。


 日本などの複数の国では「国家による監視社会だ」、「消費者としての権利が脅かされる」といった反対意見も少なくなく、某国の下位議員に至っては「ロボットに人権をー」と叫ぶ始末だった。しかし当然ながら、最悪世界が滅び掛けた問題を後回しにしたり、規制反対派の意見を素直に聞くはずも無く、世界には無人機に於ける規制原則が敷かれる事となった。


 犯罪やテロに使われるリスクもあるが、その分社会に大きく貢献しているのもまた事実。人類が新たな文明の利器を得たと同時にそれが自身に振るわれる事もある。


 コレは太古の昔から続く(ことわり)であり、未来永劫人間が背負うべき『業』でもあるのだ。


 『絶対』『完璧』という言葉は比喩であって現実には存在しない。だが、それに近づく事は出来る。


 WALKERも例外ではない。



「そのWALKER自体が無力化されたら目も当てられない事になる。本当ならAIを使わない世界が安心なのかもしれないが……」


「無理ですよ。車ほどではありませんが、自立型AIは多くの先進国にとって無くてはならない存在です。人口減少、少子高齢化、労働不足……自律型AIの存在は世界の真っ暗な地平線を照らす光そのもの。もう昔に戻る事は出来ませんよ」



 2000年代初頭から密かに噂されてきた先進国の深刻な『人口減少』、『労働者不足』、『少子化高齢化』。それを補う方法の1つで『移民の大量受け入れ』を実行した欧州の国々が存在した。しかし、その国々に齎されたモノは『犯罪』『テロ』『暴動』だけだった。文化も宗教も違う中東の移民を大量に受け入れれば誰もが解る結果である。だが、そうする以外の方法が当時は無かったのだ。


 日本も一時期は2020年代に移民の大量受け入れを本格的に考える程に、当時の地球人類が抱えていた問題は深刻だったのだ。


 様々な問題はあったが、今となってはWALKARは正に無くてはならない存在。2、30年前であれば「犯罪などのテロに使われる」、「ハッキングされて乗っ取られたら終わり」、「雇用が奪われる」などの批判があるだろう。


 だがそれは最早時代遅れ。


 人類は超高度機械化時代に突入したのだ。


 そして、前世界(地球)では禁忌とし厳格な国際規制法が締結されている行動を日本は行おうとしていた。



――自律型多目的戦略兵器群大量生産――



 日本は高度AIシステムによる多目的国家防衛力強化へと漕ぎ出したのだ。


 そんな日本の現状に小清水は腕を組み、大きなため息を吐く。



「……これも時代かねぇ」



 さらに同時並行で進めている『AOPアーセナル・オーシャン・プロジェクト』。これは日本近郊の海底部に建設中の|汎用型弾道ミサイルシステム《グングニル》のミサイル基地の事であり、現在進行で設置・建設を実施している。公式では20%程の完成率と公表しているが、実際は急ピッチで無人機やバルフォール海底国のサリヴァーン・オルカフ海王の協力の元で実際は70%にまで進んでいた。更に、これは日本近郊に限った計画ではなく、各亜人族国家やロイメル、アムディス、イールの沖合近郊でも進めている。


 日本はミサイルの射程範囲を第2世界を含め全世界に広げようと考えていた。


 それが正しい事なのか間違った事なのかは誰にも分からない。


 ただ一つ言える事は、地球産最新鋭技術で作られた兵器の牙が異世界に展開された、という事である。


 もう一度言おう。


 これが正しいか正しくないかは分からない。



「俺たちがやるべきは、実行するかどうか……だ。一つの躊躇いで多くの国民の血が流れる事になる」



 広瀬の決意の篭った言葉に、周りの大臣たちは自然と姿勢が伸び、真剣な表情で頷いた。





 そして、ほぼ同時刻。

 ある2カ国も同じような決断が下されていた。





 ーーー

 サヘナンティス帝国


 帝都インクヴァーラ 浮遊城内 会議室

 ーー

 飛行石による飛行技術が独自に発展したサヘナンティス帝国。ヴァルキア大帝国に次ぐ、この世界では逸脱した文明力を持つ大国の一つである。


 ゴウゴウと回る巨大なプロペラの回転音を響かせる帝都の浮遊城は見るものを圧倒させる迫力を有していた。そんな浮遊城内にある会議室にて、帝国の重鎮たちが集い深刻な面持ちで話し合いが行われていた。


その内容は言わずもがな第2世界、もといレムリア帝国への対応策についてである。



「……以上が此度のプレゼントバーズからの調査報告になります」



 外交長官のロラン・シェフトフが会議室で座している他の幹部たちに向け、不安げに報告書を読み上げた。


 若輩のシェフトフを除いた幹部の殆どが、ヒゲを蓄えるているか、頭髪が白に染まった年寄り連中ばかりである。妙に薄暗く人数の割には大して広くはない会議室には、煙草や葉巻などの煙が充満しており、加えて淀んだ空気でかなり息苦しい。比較的低い天井にひとつだけ付けられた電灯付きシーリングファンが精一杯回っている。


 そんな部屋の中にこの国のトップであるマティアス・グラバート皇帝も頬杖を付きながら、皆よりも少し豪華な椅子に座っていた。



「ハァ……参るなぁ」



 グラバート皇帝は大きな溜息を吐きながら呟いた。その言葉に答える代わりに他の幹部たちは腕を組みながら「うぅむ」と難しく考える動きを見せる。


 無論、まともに考えている者が少数だけなのだろう。シェフトフは年ばかり食った幹部連中に呆れ溜息をコッソリと吐いた。



「第2世界からジワジワと布教活動が進んでるらしいじゃないか。まだ此方側にその影響が及んでいないとは言っても流石に無視は出来ないね」



 ほとほと困り果てたとも言わんばかりの喋り口調に、周りの古参幹部たちももうひと唸り上げるだけで、何も答えない。グラバート皇帝の溜息はそんな彼らに向けてのものでもあるにも関わらず。



「なぁロラン、メルエラ教の影響はどこまで及んでるかもう一度教えてくれ」


「は、はい!」



 皇帝はこの中で唯一話し合いが出来そうな若輩幹部へと振る。



「現在、我が国の傘下国への影響は今のところそこまで大きくはありません。ですが、メルエラ教の教えは間接的にその話が広まりつつあり、極少数ではありますがメルエラ教へ改宗した者もいるとの事で……要は影響は出てはいませんが確実に布教の手は広がっております」



 シェフトフが淡々と報告する。


 第2世界からの布教活動は霧の壁が晴れてからゆっくりと、そして着々と進んでいた。初めは小国の低文明国家とコンタクトを取り、解りやすい高価な品々を提供する事で国内での布教活動を実施していた。初めは小さな町村だったが、今では都市部……ついにはその国の首都にまで布教活動が進みはじめていた。


 メルエラ教の影響を受けつつあり、あちこちで中小規模の反乱が多発している国の状況に、それを憂う一部幹部たちは国王及びその側近幹部達へ意見具申をしていた。が、見た事のない高価な品々の贈り物に心を奪われた彼らがそんな言葉に耳を貸すわけは無かった。


 結果、布教の影響は遂に高度文明国家にまで及びはじめている。


 それは即ち、列強国の傘下国へと手を伸ばしつつあるという事になる。サヘナンティスも例外ではない。



「そういったメルエラ教の影響を受けた連中の排除を各傘下国はしらみつぶしに取り組んではいるが、反抗する者も少なくない。排除は寧ろ、布教を仰ぐ形になるだろうな。信徒となった者達は第2世界の……レムリアを間違いなく支持するだろう。オマケにレムリアの軍事力は此方の何十倍もあるらしいという話じゃないか?」



 プレゼントバーズからの報告には、不十分ながらもレムリアの軍事力調査のモノもあった。


 その報告を聞いた時、皇帝は戦慄した。


 少なくとも彼の国は自国以上の軍事的技術力と圧倒的な兵力及び資源を有している事が判明したのだ。


 何より問題なのは軍事部の幹部連中がその点を重く受け止めていない事である。彼らは楽観的な意見ばかりを述べており、皇帝からの直言でも無ければマトモに取り合おうとしない。


 皇帝の言葉にシェフトフは項垂れる。



「ふん! 技術泥棒共め」


 そこでやっと幹部の1人が口を開いた。

 その幹部は咥えていたタバコを乱暴に灰皿へ押し消すと、不機嫌そうに話し始めた。



「全くもって不愉快極まりない。飛行石の精製方法と活用方法は先人達の血と汗と涙の結晶! それを奴らは霧の壁が出来る前に……全く許せん!」



 その言葉に皆の視線が下へ向いた。

 皇帝は視線をシーリングファンへ目を向けて呟いた。



「太古の昔……翼龍を操る国こそが強者となり、炎龍を退治する国は覇王となる。それが世の理となっていた時代……それこそ1000年近く昔の話だ。人族と亜人族が敵対以外の関わりがなかったほどに昔の話。我がサヘナンティス帝国は弱小国家だった」



 皇帝は話を続けた。


 かつてのサヘナンティス帝国は力を持たない弱小国家であった。


 周辺諸国は魔力を持つ人間が多数存在。さらには翼龍を操る術を有する国も多い中、何故かサヘナンティス帝国はそれが他国よりも抜きん出て遅れていたのだ。


 理由は定かではないが、サヘナンティス人は基本的に魔力を持つ人間が少なく、故に魔法の研究も出来ず、翼龍も操る事が困難だった。


 唯一の武器といえば銃や大砲、戦列艦を造る技術を持っていたという事のみ。それだけでは、翼龍だけで制空権を持つ事が出来る敵に立ち向かうには不十分だった。


 翼龍に乗れる者とそうでない者の差異については、一定の魔力量を有する者でなければならない事が分かっていたからだ。


 このまま他国から搾取され、植民地となるのも時間の問題となりつつある中で、彼らはそれらに代わる新しいチカラを得ようと考えた。当時はその動きに勘付く国も存在したが、無駄な努力と捉え特に危険視はしなかった。


 そして、それは誤りとなった。


 レムリアが転移する100年前。

 サヘナンティスはある人工魔鉱石の精製に成功した。



 『飛行石』ーー



 飛行石は高純度の魔鉱石を特殊な方法で加工する事で出来た人工資源であり、その力は正に素晴らしいの一言だった。30センチ程の塊を搭載するだけで戦列艦クラスの船を最大高度1000m近くも浮上させる事が出来たのだ。さらにプロペラ推力を同時期に開発し、高い機動力を有する事も可能となった事で翼龍と同等の力を得ることが出来たのだ。


 銃や大砲を持っているにも関わらず低文明国家にも劣ると言われていた国家は瞬く間に強国へと名を馳せたのだ。


 周辺諸国はその魔導技術をなんとしても手に入れようと躍起になったが、自分たちの常識や理論から大きく離れたソレを理解する事も出来ず、ただ彼の国が成り上がるのを指を咥えて見ているか、ヤケを起こして攻め込んだ挙句に返り討ちに遭うかしかなかった。


 正にサヘナンティス帝国救国の魔導技術とも言えるソレが盗まれる大事件が発生したのだ。


 それはレムリアがこの世界へ転移してから半月が経った頃……霧の壁発生の数日前のこと。国家機密級の研究施設に他国の侵入者が現れたのだ。迎撃に出た者が言うには、その者達は灰色の肌をした武装集団だったという。


 レムリアの軍事工作員である。


 工作員達は多数の科学者や技術者を連れ去り、そして見事に逃げ切ったのだ。


 連れ去られた者の中には、凄腕の技術者や新たな画期的発明力を持つ優秀な科学者もいたのだ。いや、寧ろそういった者達が狙われていた。その者達は突然現れた謎の転移国家へ対抗する為にその知識と腕を磨いてきた希少な人材ばかりだった。


 明らかに計画性をって狙われたものだったという。


 サヘナンティス帝国は国家存亡規模の大損失を何とか挽回しようと追跡隊を組織していた時に、霧の壁が発生した。


 そして、今に至る。



「……奴らが盗んだ魔導技術は見事にそれを独自に昇華させ発展した。我々も負けじとそうしたつもりだったが、どうやら奴さんの方が上手だったようだな」



 皇帝がそう自嘲気味に笑う。


 そして辺りを重い空気が包み込む中、シェフトフが意を決した様に口を開く。



「へ、陛下! どうか私からの意見を聞いていただけませんか?」



 驚いた皇帝と周りの幹部達は彼の話に耳を傾ける。


 そして、すぐさまそれを実行するべきと結論付けられた。



『ニホン国、ヴァルキア大帝国、サヘナンティス帝国を主軸とした世界連合軍の設立。そして、先の2カ国からの武器兵器の輸入及び技術供与』






 ーー

 ヴァルキア大帝国


 帝都ヴァルシア 皇城 皇帝室

 ーー

 北の大陸メガラニカ……それは異世界側の人間がそう呼んでいるだけであって、その大陸自体がヴァルキア大帝国である。


 大陸を囲う山脈が上陸困難な天然の要塞と化しており、他国の船が此処へ訪れる事は殆どない。


 そんなヴァルキア大帝国では今日も変わらず臣民達が賑わい豊さで溢れる中、皇城会議室にて帝国の未来を選択する大会議が……終えたところだった。


 その中心人物となった男。

 軍民党党首マート・レーリー。

 30年前この世界へ転移後、右往左往な帝政府をその実力主義で先導し瞬く間にこの世界の列強国へと成り上がらせた立役者と言っても過言ではない。


 その結果、この国のトップである皇帝は御飾りも同然であり、レーリー党首が側近兼相談役として皇帝を意のままに操っていると周りからは陰ながら言われている。


 国民もそう捉え、最早国は軍民党あってのヴァルキアとなっている。


 そのトップたる男が王城の廊下……皇室への道を歩いている。



(やれやれ。頭のお堅い軍務局のお偉いさんからも同意は得られたはいいが……はてさて、この先どうなることやらだな)



 この国の行く末を案じる中、皇室の扉前まで辿り着いた。レーリーは身嗜みを再度確認した後に3回ノックする。僅かに開いた扉から従者のメイドが現れた。



「私だ。皇帝陛下へ御目通りを」


「畏まりました。少々お待ち下さい」



 そう言うとメイドは扉の先にいる皇帝へ許可を確認した後、再び此方へ戻ってきた。



「レーリー党首、どうぞお入り下さい」


「あぁ、済まないね」



 礼を告げると彼はメイドの案内の元、皇室へと入る。そこには執務机にて書類作業に勤しむ皇帝陛下がいた。彼は此方へ目を向けると席を立った。



「おぉ、レーリーか! 済まないが、そこの応接間のソファで待っててくれ。あー、彼と2人きりで話がしたいのだ。キミは外してくれないか」



 皇帝は待機していたメイドに退室を命じる。

 メイドが出払ったのを見送った後、レーリーと同じ応接間へと移動する。


 部屋を後にしたメイドは偶々、交代に来たメイドと鉢合わせし今はレーリー党首が部屋に居て皇帝陛下から2人きりにして欲しいとの言葉があったと告げた。



「陛下からレーリー様と2人きりでお話がしたいとの希望があったから、少し待ちましょう」


「あら、またぁ? 本当に皇帝は優柔不断で頼りないわね。レーリー様が居ないと何にも出来ないのね」


「ちょっ!? 何言ってるの?」


「だって本当のことでしよ? みんなそう思ってるわよ。ヴァルキアの皇帝はレーリー氏でありユーセフソン皇帝ではないって……貴女もそう思ってるでしょ? もういっその事、皇位剥奪してほしいわ」



 メイド達がそんな話をしている中、皇室の応接間では2人のやりとりが続いていた。しかし、その光景はそのメイド2人が想像していたものとは180度違うものだった。


 皇帝のユーセフソンが応接間のソファに頬杖を付いてドカリと座り、その目の前に軍民党党首のレーリーが片膝を付いて頭を下げていた。



「毎度毎度苦労を掛けるな、レーリー党首」


「い、いえ、滅相もございません陛下。全ては陛下のご指示通りに動いたまでにございます!」



 冷汗をかきながらレーリーは口早に話し始める。皇帝はそんな彼を威厳溢れる雰囲気を出しながら見下ろしていた。


 これこそがこの国の真実。


この国の真の支配者は軍民党党首レーリーで皇帝は御飾り……と見せかけて、実は皇帝こそが真の支配者だったのだ。



「上手くやっているようだな、レーリー」


「はっ! 全ては陛下のおかげであります。陛下が自らの身を切り、軍部を主体とする軍民党の顔を前面に立てて下さったお陰で……上手くコントロール出来ております」



 30年前の転移後、この国は未曾有の大災害が起きたと捉え、右往左往する内府の中でも実力でその力を誇示しようとする軍部がクーデターを起こす寸前であった。そこで皇帝は自ら愚帝を演じ、転移前から影の腹心である軍民党党首のレーリーを使い、この国を引っ張る先導者としての役を任せてきた。


 軍部はクーデターを起こさずとも軍民党党首の彼が既に皇帝を丸めて抱き込んでいると捉え、クーデターは未遂に終わる。


 結果として皇帝は御飾りで真の指導者は軍民党党首のマート・レーリーとなったのだ。


 しかし、全ては皇帝の指示で支配者は変わらずユーセフソン皇帝なのだ。無論、彼だけではない。軍民党へと寝返った内府幹部連中も、実際は皇帝へ忠を尽くす国士揃いである。


 何もかもは暴走寸前の軍部を抑え込む為、そして力持つモノが先導する事で国民達もそれに忠順する為に国内の治安管理も成功している。


 現在まで皇帝が進めている軍拡政策はレーリーからの指示で各局長幹部はそれらを指示。軍部も自らが信頼するトップのレーリーには滅多に首を横に振ることはない。


 そこを上手く利用した軍部の管理。


 レイグラーフ・ユーセフソン皇帝の思うがままに国は動いているのだ。



「さて、お前がここへ来たという事は、会議は決まったのだな。事実上国の政策を決めるに等しい軍民党内会議は」


「ハイ。賛成多数で可決されました。後は公式の場で私が皇帝陛下へ案を提出し、受理されるのを待つのみであります」


「ふむ。我が国とニホン国、サヘナンティス帝国を主軸とした世界連合の設立。そして、国境警備隊の増強案」


「ハイ、これで多少なりとも第2世界と張り合えー」


「そんな訳がなかろう」


「るか、と……え?」



 皇帝は彼の言葉を遮り否定する。

 呆気に取られるレーリーに皇帝は静かに答えた。



「今我が国がレムリア……もとい聖国連軍と戦えば間違いなく負ける。軍事技術、火力、兵力、資源……何もかもがケタ違いだ。奴らとの力の差を埋めるには30年は短か過ぎた。連中には500年培ったチカラがある」



 衝撃の一言といえばそうなのだが、何故かレーリーはそこまで驚きはしなかった。彼自身も薄々はそんな予感がしていたからだ。


 彼とて軍部を把握する者の1人。

 ましてや厚い信頼を持つトップだ。彼の国いや、彼の世界の事はある程度情報を得ている。


 逆立ちしてもどうしようもない力の差を知っているのだ。


 軍事兵器開発……主に空中軍艦や戦車などには必要不可欠な主導力源である『浮動器官原動機(リヴェット)』。空中に浮かぶ巨大なタコに近い浮遊生物オルフィクトンの浮動器官という臓器を利用した機関である。


 言うなれば

 ーーバイオ機関。


 オルフィクトンは転移前の世界に存在する生物で前世界でも必要不可欠な生物資源でもあったのだが、その数は年々減少傾向にあり、このままではまともに兵器製造が出来なくなる危険があった。


 しかし、第2世界との隔たりがなくなった今、そう悠長な事は言っていられない事態となり、大幅な兵器製造が決まったのだ。


 それでもレムリアの軍事力には到底及ばず、良くても精々防衛に全て当てれば持ち堪えられるかもしれないと言うほどに。

 世界滅亡級の深刻な資源不足だった死に近い世界である前世界と比べればマシになったレベルではあるが、レムリアに呑み込まれればそれまでになる。


 故に必要なのは同盟なのだ。



「この危機を乗り越えるには世界は一度手を組まねばならない。だがその前に、その2カ国には我らが居た世界とレムリアとの因縁を語らねばなるまい」





 さらに1ヶ月後。

 浮遊島リトーピアにて列強国三ヶ国が集う、3大列強会談が開かれる事となる。


 それはレムリアが牙を向けてくるほんの僅か数日前の出来事だった。

仕事でミスが続き辛たんです。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 列強レイス王国の動向が気になる。おっぱいでかい女王が気になる。あと、バーク共和国のトップは、どうなったのかな。
[気になる点] そういえば、列強のレイス王国は、今どうしているんだ。
[一言] 面白くなってきました!
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