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日出づる国、異世界に転移す  作者: ワイアード
第1章 接触編その1
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第8話 別班出動!

またもやSF道具の登場です。


こんなの普通無理やろ(爆笑)と思うところもあるとは思いますが、ご了承下さい(泣)。不可能を可能にするのが別班と…ん?だれか来たようだ?。


それでも構いませんと言う人はどうぞ!

――5日後 港町ロクサーヌ 深夜


 昼間はとても賑やかだったこの港町も、夜になれば1日の疲れを癒す為、殆どの人々が寝静まっている。酒場も閉まり、飲んだくれもいない。月と星々で美しく照らされた海面が反射し、それが薄暗い港町を幻想的にさせる。心地いいくらい静かで薄暗い港町を時折徘徊する夜警兵の目は半開きでウトウトしている。


(もう何年も港町の夜警をやっているが相変わらずここの夜に眠気を誘われてしまう。ハハ、まるで魔法じゃないか……)


 しかし、その港町近くの海面からうっすらと暗い影が忍び寄ってくる。やがて『それら』は静かに海から上がり、辺りを警戒しながら物音を立てずに進んでいく。そして月明かりにより『それら』の姿が少しずつ明らかになる。


『それら』はー

全てが『黒』だった。

――顔。服装。履物。そして、雰囲気や気配までもが『黒』だと感じた。


「隊長、各班それぞれ『一里塚』(第1チェックポイント)に到着しました。」


「よし、次に『唐松峠』(第2チェックポイント)へ向うと各班へ知らせろ。」


「鴉と合流……ですね。」


「いいな?……状況開始。」


 隊長の合図と共にそれぞれの位置で待機していた各班が一斉に動き出す。その動きには一切の無駄がなく素早い、例えるなら『足高蜘蛛』である。あの素早い蜚蠊も簡単に捕食する蜘蛛である。大変不気味な外見をしているが、害虫を捕食してくれる『益虫』。彼等も…『別班』も同じである…。


 第2チェックポイントへ移動を始めて約1時間、とある森林帯までたどり着いた。

 各班無事に到着している。すると、茂みの奥から誰かが現れた。人数は1人で音も無く近づいてくる。


「……だれか?」


 隊員の一人が小さくも低くドスの効いた声でその人物に問う。


「鴉です。」


「……一里塚、唐松峠の?」


「老鴉……」


 合言葉を聞くと隊長は他の隊員に対し手を下げて合図する。隊員達は、サプレッサー付きの拳銃を静かに下げる。すると隊長はその『鴉』の元へ静かに歩み寄る。


「どうも、『別班』の鈴木(仮)です。」


「御苦労さまです。私は宇津木と申します。あまり時間がありませんので、此方へ。」


『別班』達は、公式上陸上自衛隊 一等陸士の宇津木の誘導により、とある地帯に到着する。此処までの移動に約3時間、うっすらとだが空も明るくなりつつある。だが別班の隊員達は誰一人息の乱れたものはいなかった。


「此処がロイメル王国とアムディス王国の国境です。そしてこれが『例』の……」


 宇津木は持っていたマイクロチップを渡した。


「情報収集と誘導感謝します。……おい。」


「「ハッ」」


 数人の隊員が背負っていたカバンを降ろし、その中から幾つものパーツに分かれた電子機器と思われる部品が出てきた。それを組み立てると地面に設置し、モニターとタッチパネルで操作している。そして、先程のマイクロチップをその機械に挿入する。


「準備完了です。」


「よし、アムディス王国へモーニングコールをしろ……」





――数日前、ロイメル王国


 堀内外交官を港町で見送った政務官達は、馬車に乗り王都へと戻り、港町はいつもの風景に戻っていった。しかし、その賑やかな港町にフードを被った薄汚れた服装の人物がいた。この港町では特に珍しい訳でもないため町の人々は誰一人気にしていなかった。


 その人物は裏路地を通り、人気の少ない少し離れた森に入っていった。そして、辺りを警戒した後、被っていたフードを取った。


 その人物は、宇津木である。彼は堀内外交官を護衛していた自衛官の1人だった。しかし、小型船で帰るのを見計らいひとり静かに船から降りたのだ。密命の為に……。



 入手したドム大陸の地図(どうやったのかは秘密)を見て、アムディス王国との国境までのルートを確保する。ルートを確保し、特殊な機材を使ってアムディス王国の魔伝に送信を行うのである。因みに魔伝に使われる魔鉱石は既に入手、使い方は魔力を持ってない物でも扱う事が出来ることが分かった(以前ザハナスがチラリと言っていた)。来たばかりのこの国の仕組み、そして魔鉱石もどうやって入手し、どうやって解析したのか?


 宇津木は堀内外交官が会談で城内に入ったあと、密かに城内の探索をしていたのである。どうやって探索したのか、それを可能にさせたのはその時彼が身に付けていた服装である。


『ステルススーツ(光学迷彩)』

 2018年に発見されたネオメタマテリアルや特殊な素材を元に作られた科学技術の結晶である。


 彼はこのステルススーツを使うことで、支障なく探索が出来たのである。無論、臭いや熱を探知される恐れもあったが、それも無く無事に終える事が出来た。


 魔鉱石に至っては特殊な小型機械を使い分析を行った。魔伝に使われる魔鉱石は我々が使う通信機と意外にも多少原理は同じで、一定の周波数の電波を発信する事でその場所と連絡する事が出来るのである。


 宇津木はその電波を我々の扱う通信機でも使えるよう解析を続ける。多少難儀はしたが我々でも扱うことが出来る特殊電波を作成し、マイクロチップにインプットする事が出来た。ハッキリ言って宇津木自身殆ど自信が無かったが、無人偵察機『八咫烏』が『禁断の地』に行った際、僅かに電波の様な反応を傍受した。それを応用したからこそ何とか出来たのだ。



しかし、これは1回限りのチャンス、このデータはマイクロチップに入れるには負担(容量とは別の負担)が大きいかった。1度使うとマイクロチップが使いものにならなくなる、もっとちゃんとした機械で解析しなくてはならない。


「なんか思ったより上手くいったなぁ」


 宇津木は手こずりはしたが意外と予定通りに任務が遂行できたことに微妙な感じだった。




――午前5時頃 アムディス王国 城内



 政務官達が慌ただしく駆け回っている、その中には軍務関係の者もいる。もうすぐ戦争が始まる、ドム大陸統一のかかった大戦争が。


 その城内のはずれにあるとある一室、その部屋の前で腕を組んで静かに立っているバルトルア国王がいた。かれこれ30分も立っていたが、その部屋から2人の男が現れた。黒衣を纏う『魔導師』と白衣を纏った王族お抱えの『医者』である。その2人にバルトルア国王は詰め寄る。


「ど、どうなんだ⁉︎娘の容態は? 少しは回復に向かってるんだろ⁉︎そうなんだろ!?」


 バルトルアは懇願する様に2人に詰め寄る。しかし2人は目を閉じ、申し訳無さそうな顔で答える。


「残念ですが我々の力ではなんとも……気休め程度しか出来ません。姫様の容態は日に日に悪くなる一方です。一刻も早く、ハルディーク皇国から贈られると言われる『秘薬』が必要です!」


「しかし、その『秘薬』も本当にあるのか? 仮にあったとしても本当に効くのかどうかも分からんのだぞ!?」


「医者のお前に言われなくても分かっておる! 何年魔導師をやっていると思っているのだ!? そもそも――」


「ええい、分かっておるわ!」


「「ッ!?」」


 バルトルア国王の突然の怒鳴り声に2人は驚く。するとバルトルア国王は力なく腕をダランと下げ、うつむく姿勢で静かに話を続ける。


「わたしとて分かっておる……数年前、ハルディーク皇国からの『提案』が…このドム大陸を効率よく占領する為の『作略』と言うことは……」


「……」


「だが娘はもう時間がないのだ。藁にもすがる思いで私は少しでも娘が助かる可能性があるのならそれに賭けたい……」


「陛下」


「だがこれはアムディス王国をハルディーク皇国へ売り渡す事にもなる。私は自国を売ろうとしているのだ、娘を助けるため一国の王でありながら私事で国を売ろうと。お前たちはもうこの国を捨てても構わぬぞ」


「いえ、我らはこの身が滅びるまで国王陛下に仕えます!!」


「ッ!?」


 バルトルア国王は顔を上げず、肩を震わせていた。しかし、それでも国王は2人の姿が見えていた。2人は、自分に向かい廊下にて跪いていたからである。


 その会話をドア越しから聞いていた少女がいた。彼女はセティ・ラザロ。バルトルア国王の娘である。彼女は自分の所為で父を悲しませ・辛い思いをさせていると思い、10歳ながらも苦しく、そして悲しく受け止めていた。


「お父様ごめんなさい。私のせいでごめんなさい。ごめんなさい……」


 ポロポロと涙を流し泣いていると突然激しく咳き込み、床に倒れ込んでしまう。


その音を聞いたバルトルア達は部屋に入り、セティに駆け寄る。


「――ッ!? せ、セティ!」


 すぐさま魔導師が治療魔法で症状を落ち着かせようとする。すると少しずつ息を整えたセティがバルトルア達に声をかける。



「お、お父様……皆様。私のせいで国が……ごめんなさい」



「……」


 バルトルアはさっきの会話を聞かれた事に気付いた。


(ま、まさかさっきの会話を? しまった、何て事だ)「気にするな! お前は気にしなくていい」


 バルトルアは娘を優しく抱き締める。するとセティは静かに目を閉じて眠っていった。

 バルトルアはセティを近くのベッドへ寝かせる。そして、部屋を後にした後広間にいた上級政務官に高らかに告げる。


「謁見の間にて将軍達を集めよ。予定を早め今夜ロイメル王国への聖戦を行う!」


「し、しかし国王陛下。まだ軍備は整っておりませぬ!」


「それは聖戦の最中になんとかしろ! とにかく今夜だ!」


 上級政務官達は皆困り果てた表情でバルトルアに無言の訴えを送ったが、バルトルアの鋭い眼光に怯え、急いで持ち場へ駆けていき、また城内が慌ただしくなった。


(早く、早くハルディーク皇国からの『秘薬』を手に入れなければ!)


 すると情報局員のキルトが現れた。


「こ、国王陛下! 一大事です!」


「ん? どうした? まさかロイメル王国が先に攻め込んで来たのか!?」


「い、いえ。北東の新興国、ニホン国から魔伝が来ています」


「なっ!?」



――――アムディス王国 魔伝室


 魔伝に使われる加工された魔鉱石により淡く照らされている部屋。そこには多くの情報局員が日夜魔伝専用魔鉱石と向き合っていたが、その中の一つの魔鉱石にニホン国からの魔伝が来ていた。情報局員達は皆それぞれの業務を止めて、そこでの会話に釘付けだった。


『――こちら日本国である。アムディス王国の方よ聞こえますか? 聞こえたのなら答えて下さい』


(何故ニホン国の者が!? 何故!?)


 この部屋にいる者全員がそう思っていた。1人の情報局員がニホン国からの問いかけに応えようとした時、突如バルトルア国王が入ってきたのである。


 皆突然国王が来たことに驚き、膝まずこうとするがバルトルアはそれを不要と手で指示を出した。そして、情報局局長のゴメスが局員の代わりに答えた。


『――私はアムディス王国上級政務官のゴメス・メレディーレスである。日本国の者よ、聞こえておる。して、何用でこの国へ魔伝を?』


「ご返答いただき感謝します。我らは、貴国とロイメル王国との戦争を防ぐ為、一つの提案をしたいと思い連絡した所存です。魔伝越しで申しわけありませんが」


 ゴメスはバルトルアの方へ眼を向けるとバルトルアは構わぬと頷きゴメスに返した。


『いえ、我々としては別に構いませぬ。貴国からの話は私から国王陛下へ伝えますゆえ。して、戦争を防ぐと言ってもどの様な《降伏宣言》をなさるおつもりか?』


「……」


 バルトルアを始め、この部屋にいる者全員がニホン国が戦争に巻き込まれない為、そして自国が占領された時少しでも植民地国としての地位と我が国への信頼を得るため、魔伝で連絡して来たのだと考えていた。


(ふん!自国を守る為とはいえ何と小賢しい! そんな国を我らが信頼すると思っておるのか? まぁ早くドム大陸を統一する為にはこれ以上ない提案だな……」


 バルトルア国王は心の中でそう考えると魔伝からの日本の返事は


『我々は貴国が今何を望んでいるのか伺いたいのです。そして可能であれば貴国の望み通りのモノを提供したいと考えています』


(やっぱりか! 此奴らは自分達が助かる事しか考えとらん! そんな国は信用できん!)

 この部屋に者全員がそう思った。そして、ゴメスは少しほくそ笑みながら答えた。



『そうですねぇ……強いて言うならロイメル王国とニホン国でしょうかねぇ。あと、奴隷の数も足りていないのですよぉ』


 情報局員達は皆ニヤニヤと笑っていた。日本がこの後どのような情けない命乞いにも似た返事をするのか。


『金銭は如何でしょうか?』


(なにっ⁉︎金さえ払えば見逃してくれると思っているのか? バカが! そんなもの貴様らの国を占領した時に根こそぎ奪ってやるわ!)「いいえ、特に資金には困っておりません」


『食糧ですか?』


(呆れてモノも言えんな)「いえ、別に」


『そうですか……では』


(はぁ? まだ何か言うのか? これが詰まらない提案だったら無言で切ってやろうか)「はぁ…何でしょうか?」


『医療は如何でしょうか?』


「なッ!?」


 この場にいる者の殆どは呆れたような表情をしているが、ゴメスとバルトルア国王は驚愕した!アムディス王国が必要としているのはまさに『医療・医術』だからである。


 しかし、これが嘘あるいは罠の可能性もある。しかし、バルトルア国王は直ぐにその提案を詳しく聞けと言わんばかりにゴメスに無言で伝える。ゴメスはその時のバルトルア国王の訴えを受け止めて、日本の魔伝通信に答える。


『え、えぇ。その話は聞いてみてもいいでしょう』


 こうしてロイメル王国侵攻の聖戦は急な変更で何とか軍備を整えるも一時中止する事となった。

もしかしたら特戦群でも良かったかもしれね…。

でも別班出したかったんです…。あ、別班の主要任務よく分かりませんでした…。

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