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日出づる国、異世界に転移す  作者: ワイアード
第7章 オワリノ国編
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第110話 思惑

 ーー 第2世界 エ・フォルセ都市国家


 第2世界には無数の都市国家が存在するが、その大半が強大な国の属国、つまりは庇護下に入る事でその自治権を保持している。しかし、中には例外も存在する。


 その内の1つがこのエ・フォルセ都市国家だ。


 エ・フォルセの周囲には無数の強国が存在するが、それら国々の軍事的・経済的圧力を掛けられる事なく、平和な暮らしを送っている。


 それはエ・フォルセがこの第2世界において、屈指の貿易都市だからである。普通の国には置いていない様々な珍しい商品が売られている。そして地理的な意味合いもあって、多くの国々との交易の場でもあった。


 地を見れば、多くの商品、交易商品が積まれた荷車を巨大な蜥蜴が引いており、場所によっては線路が敷かれ、モクモクと黒煙を立ち昇らせる特殊加工魔導機関車も、エ・フォルセに出入りしている。


 空を見れば、輸送用の飛空艇が飛んでおり、中にはグリフォンが細かな荷物を乗せていた。


 海を見れば、大小様々な帆船や艦船が港へ行き交っている。


 しかし、エ・フォルセが他国に下に付かずに独立を維持している理由は別にある。それはー



「さぁさぁ! 寄ってらっしゃい見てらっしゃい! 今日の掘り出し物は……な、な、なーんと! あの大人気商品『エルフ族』だ!」


「「おぉぉぉぉぉ!」」



『奴隷売買』である。

 様々な露天商が店を開いている大通りのとある片隅のこじんまりとした場所の地下深くで、それは行われていた。


 大きな檻の中から無理やり連れ出された美しい顔立ちのエルフ族の女性。両手足には鎖で繋がれた枷が付けられ、身を包むのはボロボロに汚れた薄い布一枚だけであった。


 エルフの女性が壇上へ上がると、周りの人々から全身の舐めずっているかのような目つきで品定めをされる。中には「コレは上物だ!」と機嫌良さげに話す者もいれば、「期待外れだ」と不快感を口に出す者がいるが、競りはそんな事など関係なしにた進んで行く。


 この第2世界において奴隷売買は基本的には違法である。もしそのような行為を行なっている事がバレたら経済制裁……最悪、軍事的制裁が実施される。しかし、それは『加盟国』にだけ適応される事であって、『非加盟国』には何の問題にもならないのだ。


 エ・フォルセは自国へ定期的に入ってくる『奴隷』をその国々へ極秘裏に輸出していた。その方法は様々で、『非加盟国』のモノを利用して間接的に購入した奴隷を送るなどがある。


『奴隷』という様々な欲望のはけ口を受け取る事で、加盟国である大国に取り込まれずにやって来たのだ。


 表と裏で繁盛しているエ・フォルセ都市国家。


 異世界といえど、繁栄の裏には何かしらの黒い何かがうごめている事は、どの世界でも同じだった。



 ーー

 ー

 エ・フォルセ都市国家 都市長の館


 エ・フォルセの中で一番大きく立派な建物。その館こそが都市長エンデルグ・ガンナ・ターレンの館である。


 その館の両隣には、大きさこそは都市長の館ほどは無いが、その気品溢れる立派な造りは負けずとも劣らず。その2つの建物は貴賓館で、王家の人間やそれに近しい地位の人間、上級貴族が来た場合のみに使われる館である。


 しかし、今回使われているのはこの2つの貴賓館では無かった。



「何だと……もう一度言ってみろ!」


「く、クワンドゥア様、どうか落ち着いて下さい!」



 都市長の館、その一室にある応接室。応接室はいくつもあるがその中でも一番豪華な部屋から大きな声が聞こえて来た。それは怒号にも近い声で、部屋の隅に立っていたメイド達が怯えていた。


 その部屋には第2世界、ガルマ帝国の外征長官、オルバ・ラルゥ・クワドゥアであった。よほど勢いよく立ち上がったのだろう、彼がさっきまで座っていたと思わる椅子は倒れていた。


 拳を固め、顔を真っ赤にして怒りを露わにしている彼を、同じガルマ帝国の外征官が鎮めようとしている。


 そんな彼らと対となる形で机を挟み、向かいの席に座っている者が3名いた。その中の1人、3人の中で一番豪華な服装に身を包んだ男……彼の名はバルプルフ・ランデール。


 第2世界の中でも屈指の大国である『エル・ドラヴィル王国』の外交長官である。


 バルプルフは怒りを露わにするクワンドゥアに対し、フッと鼻で軽く笑った後に口を開いた。



「おやおや、聞こえなかったのですか? あなた方は役立たずだと申したつもりでしたが」



 クワンドゥアから歯ぎしりする音が聞こえてくる。



「……あまり調子に乗っては困りますなぁ、ランデール殿。我々は最も重要であり主目的である『賢王石』の入手に成功したのです! つまり、我々は賞賛に値する功績を残したのですぞ⁉︎」


「しかしだ……実験場であるハルディーク皇国が落ちた今となっては、我々の計画は頓挫してしまったではないか。あの国はあと4年、いや5年は存在しなければならない国だったのですぞ。その責任はどう取るおつもりですか?」



 ランデールの言葉にクワンドゥアは、ぐうの音も出なかった。そして部下になだめられた彼は、なんとか冷静さを取り戻し、待機していたメイドが急いで椅子を立てた。



「まぁ良いでしょう……計画は一時ストップしてしまいますが、賢王石の入手が出来たことは不幸中の幸い。あの方も一応は了承を得て下さいましたし。それで、賢王石は今はどこに?」


「既にレムリア共和国に贈り届けてあります。無論、極秘裏に。足跡は付けてはいません」



 まだ苛立ちを色を隠していないクワンドゥアの発言を聴いて、ランデールは満足げに頷いた。



「そうですか。であれば安心ですね」


「……あぁ」



 場の空気が少しだけ落ち着きを取り戻した。彼らの前にテーブルに置いてあるマグカップに飲み物がすでに入っていない事に気付いたメイド達が、急いでポットを取り出し、再び暖かいお茶を注いだ。


 お茶が注がれると、クワンドゥアたちはカップを持つと、それを口へ運び、ゆっくりと飲み干した。



「はぁ……落ち着く」


「都市長の話だと、霧の向こう側にある国から取れる最高級の茶葉だそうだ。まぁそれも全てがハルディーク皇国経由があったからこそであり、暫くは超高価な貴重品となるでしょうね」


「しかし、このお茶は相応の値を付けるに足る美味さです。先ほどまでの苛立ちが何処かへ行ってしまいました」



 両国共に穏やかな笑いと空気が包み込まれた。そして、軽い雑談を終えた後、ランデールから再び今後のことについての話が始まった。



「それで……今後のことについてどうしましょうか?」


「次の『聖連議会』までに、候補を絞りたい所ですが……最早こちら側で実験が行える場所を探すとなるとかなり難しいでしょうな」


「実験場、と申しますと、確か200年近く昔のレムリアでは霧の壁の向こうで、例の賢王石の一欠片を使っての実験を行なっておりましたな」



 ランデールの言葉を聞いたクワンドゥアは少し考え込みながら語り始めた。



「確か……その時のレムリアは『帝国』でしたね。こちら側で偶然発見した、あの巨大な魔鉱石……規格外の大きさもさることながら、なによりも驚いたのは、その中に秘めたる膨大や魔力……アレはまさに世界を呑み込む程の力を有したエネルギー。それを超高密度に凝縮して出来た結晶!」


「とある高名な魔導士が言っておりました。『その魔鉱石は大いなる繁栄をもたらすと同時に、大いなる災いも招く』と」


 200年前に採掘された巨大な魔鉱石は『賢王石』と呼ばれるようになった。


 最初はコレほどの無限の可能性を秘めた魔鉱石のどこに『災い』があるのかと疑問を抱いていた。賢王石さえあれば、御伽話や夢物語の世界でしか存在しなかった、あらゆるモノを生み出すことが可能となるのに、と。


 しかしそれが愚かな考えであったと、後の偉人たちは語った。


 賢王石を掘り起こしてから2年後、当時『帝国』として名を馳せていたレムリアが、ある実験を試みた。


 賢王石を兵器として応用する実験である。


 流石に賢王石そのままを実験に使いはせず、その賢王石から削り取った、怖く僅かなカケラで実験を行った。当初は、賢王石の力の片鱗を少しだけ観察し、データに取るという至ってシンプルな内容である。


 場所は霧の壁の向こう側、とある国の半島で、その実験は行われた。様々な意味合いもあって、まだ未開拓の土地が最適だと考えられた。


 早速、魔法科学者、魔導士などを含めたレムリア帝国の特殊魔道調査隊を現地へ派遣。霧の壁の問題もあった為、少数のみでの任務となった。


 当時の隊員達は、それなりの破壊力を有している事が分かれば良い程度の認識であったが、直ぐにその認識が間違っていた事を身をもって知った。


 早速、実験を行った特殊部隊は、僅か2名を残し死亡。更にこれは後々に分かった事であったが、現地の国の開拓者達が偶々近くを通っていたという情報もあり、彼らも亡くなったと考えられる。


 一体何が起きたのか。命からがら別の場所で待機していた同じ特殊部隊が生き残りを保護し、本国へ帰還した際に、2人は同じ内容を供述した。



  ーーアレは悪魔の遺物だーー



「強大な大爆発を起こし周囲を一瞬で消し飛ばした……何とも想像し難い報告でしたが」


「現にその2名を除く全員が帰還せず。話が本当であれば捜索も困難だろう」


「だがしかし、レムリア共わ……帝国は、最初こそは眉唾ものと受け止めていたが、段々と現実味を帯び始めた頃には、その実験結果を『素晴らしい』と再評価したそうですぞ」



 ランデールはお茶の入ったカップを少し啜り、一息ついた後に苦笑いを見せた。



「確かその後でしたな……レムリア帝国の文明レベルが爆発的に上がったのは」


「あぁ……あの賢王石が如何に強力かが分かった途端、本格的な調査および開発が進んだのでしたな。そして、その強大な力を」


「いやはや非常に厄介だ」



 2人は揃って大きな溜息を吐いた。



「しかし、恐ろしい……あれ程の賢王石を有していても尚、まだ力を欲すると言うのですからな」


「また……起きるのだろうか?」



 ランデールは両の手の指を絡めながらソワソワした動きを見せた。その額には数滴の冷や汗がつたっている。



「霧の壁に包まれてから約500年……その間に一体幾つの……世界規模の戦争が起きた?」


「……4回です。そしてその全ての発端が」


「……レムリア。異なる世界より現れた国……あの国のおかげで得た繁栄は大きいが、それ以上に混乱と犠牲が多い」



 暫くの沈黙の後、ランデールが口を開いた。



「そ、それで……如何致しましょう?」


「ん?あ、あぁ、話がだいぶ逸れてしまったな。まぁこの世界で候補が無い事はないのだが……取り敢えずは御方に相談をするべきであろう。ハルディーク皇国の件については、粗方説明を受けている筈だ」


「うむ、そうだな。そうするべきだな」







 ーーレムリア共和国 首都ティル・ラ・ノーグ



 首都は常に騒がしいまでに活気で満ち溢れていた。行き交う者達の目は全員生き生きとしており、希望や夢に満ちていた。様々な物資が道を行き来しており、輸送用のトラックや一般的な自動車、公的車両、中には馬の代わりに大きな蜥蜴に似た生き物が荷車を引いている様子も見られる。その為、インフラ整備も隅々まで行き届いており、民家などの一般的な建物は現代的ではあるものの、どこか歴史を感じさせる風情を持った造りであり、それがより一層首都の雰囲気を良くしていた。


 所々、巨大なビルの様な建物が建てられており、絢爛たるその光景からは、相当の建築技術を有していると受け止められる。


 何よりも大きな特徴……というより、日本などの地球では先ず見ることなど無いと言っても過言では無いモノがあちこちで見られる。


 ーー飛空艇である。


 艇や翼と思われる箇所には、ローターエンジンが備えられており、それはジェットエンジンとは違い、蒼白い光を発していた。中にはローターエンジンのみの飛空艇もあれば、プロペラが複数備えられた飛空艇も存在していた。そして、民間用から軍事用である飛空戦艦が、王者の如きゆったりとした動きで、首都の空を優雅に飛んでいる。


 レムリア共和国は第2世界中央部よりもやや東よりに位置する、地球でいうところのイギリスほどの面積を持つ島国である。その首都であるティル・ラ・ノーグは、第103代大統領リグリーゼ・アル・ルデグネスの次男にして、首相を務めているバークリッド・エンラ・ルデグネスのもと、平和な日々を送っていた。


 首都の中央部には、建国時に建てられたとされる大きな居城を置き、その城は現在では歴代大統領の住まいにして、国会議事堂の役目を果たしている。その城が置かれた大きな四角形の敷地にある4箇所の隅には、大きな塔が建てられていた。塔には、きめ細かい様々な装飾が彫り込まれており、もはや芸術と言って良いほど見事な造りをしていた。その塔のてっぺんに伸びる鋭利な針のような長いアンテナからは、白い光が常時輝いており、光は一本の柱……雷の様に空へ伸びていた。その4つの光の柱全てが一定の高さまで伸びており、そこから光は敷地内を覆うドーム型へ広がっていた。


 つまりは結界、シールドである。


 そのうっすらと白くボヤけるドーム型のシールドは、太陽の光に反射して、僅かな波紋が見える。


 このシールドは城だけではない。首都の中では一際目立つ巨大な塔の建物である元老院、更には国家直轄の魔導学院、魔導化学研究院、軍務省院などなど各種行政機関といった重要施設にシールドは置かれていた。



「ふぅ……今日も良い天気だ。これも全て、唯一絶対の神で仰せられる聖神メルエラの祝福があるからこそ」



 巨城の一角にある小さなテラスに、少し地味ではあるが品性のある整った衣服を纏った1人の老人が立っていた。彼こそが、レムリア共和国の第103代大統領リグリーゼ・アル・ルデグネス本人である。



「父上……ここは高所です。風当たりが強すぎるとお身体に障りますよ」



 次いで、顔立ちの整った男性が1人、テラスへ現れた。衣服はリグリーゼと似てはいるが、様々な煌びやかな装飾が施されていた。この男性こそ、この国の首相でありリグリーゼの御子息、バークリッド・エンラ・ルデグネスである。



「息子よ。所詮私は儀礼的な立場でしかない身よ。今この国に必要なのは、お前のように、この国の未来を見据えた才ある優れた者である。もう老人である私は、サッサと隠居したいものだ」


「お戯れを」


「完全に政から離れた暁には、この巨城の完全把握に挑戦しても良いかもしれんな」


「ハァ……我が国は今日までに、王国、帝国、共和国、帝国、そして共和国へと様々な形に変えてきましたが、この城は改修工事を除けば当時のままです。しかし未だにケタ違いに大きな城の全容を把握した者は数える程度しかおりません。あまりにも大き過ぎて、全てを見てまわるには丸一日近い時間が掛かりますぞ。魔導人形オートマを使って掃除は任せていますがー」


「むぅ……お前は年寄りの夢を壊すのか?」


「現実的な話を言っただけです。城を探索するうちに疲労で動けなくなり、神の元へ召されたとあれば、笑い者ですよ」



 2人はテラスから首都を一望しながら、他愛ない話を続けた。しかし、その微笑ましい話は、バークリッドの言葉で切られてしまった。



「ところで父上。例の件、お考えになられたでしょうか?」


「ダメだ。そればかりは認める事は出来ん」


「しかし父上、この国が更なる高みへと昇る為にアレは必要な事なのです! どうかお考え直し下さい。これも神の御意志です!」



 バークリッドの言葉に父親であるリグリーゼは鋭い目を向けた。



「息子よ……国を愛するその心は素晴らしい。だがそれだけは認める事は出来ない! あのロクでもない老人どもに何を吹き込まれたのかは知らぬがー」


「父上! 元老院は関係ありません!」


「バークリッド、聖神メルエラの名において嘘偽り無く話せ。関係ないワケが無かろう? 裏は取れておる。お前が元老院議長のバカ息子とコソコソと会っている事はな」



 この言葉にバークリッドの背筋に冷たい何かが走る。リグリーゼは話を続けた。



「少なくとも賄賂の類は渡してはいない為、罪になる事は無い。だが、これ以上は危険だ。もうやめろ……あの連中の心を蕩かす言葉に耳を貸すな。引くに引けない所までいるのであれば、後始末はワシに任せろ。良いな?」



 バークリッドは俯いたまま、何も発しなかった。そんな彼の姿を見て、何かを思ったリグリーゼは先ほどの鋭い目から一転、優しげな子を思う1人の父親の目をしていた。



「我が愛しき息子よ……帝国時代の様々な産物が未だに色濃く残るこの国を、老いぼれの私に代わり良く頑張ってくれておる。ワシはそんなお前を誇りに思うぞ。だが、今お前が求めているモノはあまりにもキケンだ」


「父上……」


「これ以上この国に力を求めて何をするつもりだ? またかつての様に、世界を巻き込む大戦を……得たものよりも失ったものが遥かに多いあの大戦を……5度目の大戦を引き起こすつもりか?」


「……私はー」


「今までの歴史書を見れば、お前でも気付くだろう? あの忌まわしき大戦は全て忘れかけた頃に起きていた事を。戦を求めるのはいつの世も戦によって齎される悲劇を知らぬ者だけだ」


「しかし父上ー」


「とにかく、この話は終わりだ。その考えを受け入れることは出来ない。これ以上強欲に生きても良い事は1つもない」



 そう言い残すとリグリーゼはテラスを後にした。その後姿を一人無言で、バークリッドは送った。そして、彼の姿が見えなくなると、小さな溜息を吐いた。



「全く……頭の固い人だ。父上のような存在を味方につければ、私の計画は安全かつ確実に進むのですが……致し方ありませんね。このような手は打ちたくは無かったのですが、救いの手を払い除けた貴方が悪いのですよ?」



 バークリッドはそう言い残すと、懐から無線機のようなモノを取り出した。そして、その向こうにいる人物へ連絡を取る。



「私だ……あぁ、やはりダメだった。父上は協力してくれそうにない。まぁ予想通りではあったが、出来れば父上と手を取り合いたかったのが本音だ。それじゃあ、計画通りに進めてくれ。あぁそうだ、聖連議会前にだ」



 バークリッドは一度無線を切ると、今度は別の方へかけ始めた。



「私だ。そっちはどうだ? そうか。では、そろそろ本腰を入れろと天獄に伝えてくれ。ハルディーク皇国が使えなくなった今、お前が優先的だ。いや、直接的な支援はするな。あくまで足跡が残らないように、指示と監視だけをやればいい」



 バークリッドが再び無線を切ろうとしたその時、向こう側から聞こえてきたある言葉に眉を顰めた。



「なに? ニホン国の者がココへ? 場所は……恵奠と……オワリノ国だと⁉︎」

暑い……かなり暑い。

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