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日出づる国、異世界に転移す  作者: ワイアード
第1章 接触編その1
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第7話 会談後の各国の動き

交渉とかものすごい難しいです。

あと日本の都市伝説組織が出ます。

 ――ロイメル王国 王都ロクサーヌ内 大通



 堀内は窓から見える王都の景色に目を奪われる。多種族が賑やかに暮らし、街並みはまるで中世ヨーロッパより少し昔風で所々、絵本に出てくるアンバランスな家も見られる。一言で言えば正に「メルヘン」である。



「これはこれは、また」



 開いた口がふさがらない、多分後ろの馬車に乗っている自衛官達も同じ気持ちだろう。


 その様子を見ていたホムルスは少し誇らしげな顔で王都の説明をしていた。


 そして、暫くすると一際大きな建物が見えてきた。どうやらあれがロイメル王国の王城らしい。大きな正門をくぐりぬけると沢山の近衛兵やメイド、執事が出迎えてきた。


 堀内は自分が日本の命運を握っていると言っても過言ではないこの状況をかみしめて、会談の場へと進んでいった。




 ――同日 同時刻 日本国 首相官邸内


 首相官邸内の廊下を広瀬と安住が歩きながら話していた。



「はぁ、堀内は今頃異世界で見たこと無い色んなもの見てんだろうなぁ。俺も行きたかったなぁ」


「広瀬総理、堀内は観光に行ったのではないのですよ? 日本の命運は彼に掛かってると言っても過言ではないのですから」


「冗談だよ冗談。まぁ彼が優秀なのは分かってるから大丈夫だと思うけどさ」


「だと良いのですが」


「それより安住、お前昼メシまだだろ? これからどうだ?」


「私は構いませんが……」


「よっしゃ、それじゃあ出前頼むか。◯◯食堂の鯖の味噌煮定食はオススメだぞ! いや、今日は別のにするかなぁ」


「あ、自分は鯖の味噌煮定食で。(この人は本当に緊張感があるのか無いのかわらない人だな……)」



 日本の命運が決まるという時に広瀬は昼食を何にするかを真剣に考えながら安住と共に廊下を歩いていった。




――午後9時頃 ロイメル王国 城内 来客室


「ホリウチ殿、何かありましたらこちらのベルを鳴らして下さい。メイドがすぐに来てくれますので。本日はお疲れ様でした」



 ザハナスが部屋から出ると、ホリウチ含め自衛官たちはソファに座りひと息ついた。


 何とか会談は無事に終了したことに安堵した堀内達だが、ロイメル王国が日本と国交を結んでくれるかどうかはまだ分からなかった。



「お疲れ様でした、堀内さん」



 そう言って水を差し出したのは、陸上自衛隊 一等陸尉の近藤勇巳である。



「ありがとうございます、近藤さん。ハァー、何とか会談は終わりましたが果たしてどうなるか……」


「国交を結ぶための互いの条件はともかく、日本がどういう国なのかは上手く伝わっている筈ですよ。あの時はプロジェクターやノートパソコンを出しだけでもどよめきの声が凄かったですから」


「だと良いのですが……」



 そして堀内外交官による日本のアピールと国交を結ぶにあたり締結したい条件を2日間に渡り行うのだった。





 ――同時刻 アムディス王国 王城


 バルトルア国王は玉座に座らながら、情報局からの報告を受けていた。



「ニホン? ふむ、聞いたことのない国だな」


「何でも北東に現れた新興国だそうです。今ロイメル王国はこの国と国交を結ぶか否かで悩んでいるそうで……」


「して、そのニホン国はどのような国なのだ?」



 バルトルア国王はニホン国について今現在分かっている事をあらかた聞いた。転移国家である事、見たこともない乗り物で来た事、そして国教が無く宗教の自由がある事。



「そうか……だがロイメル王国と国交を結ぼうとはな。可哀想だが、ニホン国もロイメル王国と共に我が国の植民地になってもらおう」


「では国王陛下、遂に軍をロイメル王国へッ!?」


「ふむ、このドム大陸の脅威はもはやロイメル王国だけとなった。クドゥム藩王国は日和見なところがあるから捨て置いてもロイメル王国を落とせば自然と無血開城するだろう」


「ハッ、では名目は異教徒征伐の『聖戦』でよろしいでしょうか?」


「うむ。では頼んだぞ!」


「ハッ!」



 情報局員が部屋を後にし、国王は静かに呟いた。



「やっとだ……やっと、もう直ぐだからなセティ」





 ――数日後 ロイメル王国 会議室


 グラディス国王を始めとする上級政務官が揃って難しい顔をしている。北東の新興国ニホン、その技術力・国力・文明力は我々のとは次元が違い過ぎるほど高い。何故このような国が存在した事に今まで気付かなかったのか、やはり転移国家と言うのは本当なのか。


 沈黙の会議室に突如大声を出したのは、第一王子のフェンディス・ルファーである。



「直ぐにでも国交を結ぶべきだ、あの国の文明力を見たであろう! あの国と国交を結ぶだけで我が国は豊かになるどころかアムディス王国の脅威も無くなる!」


「フェンディス、落ち着きなさい。私とて彼の国の文明力の高さには驚きと期待でいっぱいなのだ。だからこそ慎重にならねばならぬ」


「そ、そうですね父上。申し訳ありませんでした」



 ホムルスは髭をなぞりながら呟く。



「ニホン国が我が国との国交結ぶ為に出してきて条件か」



ーー

 日本国は以下の事を提案してきた。

 ・貴国と平等かつ友好な関係で国交を結びたい。


 ・食糧年間約3000万tを我が国へ輸出して頂きたい(調整可能)。


 ・貴国の我が国に対する食糧輸出の負担を減らす為、『禁断の地』を我が国の領土と認めて頂きたい。


 ・貴国が我が国へ食糧輸出をして頂けるのであれば、その為のインフラ整備と我が国の特産物を輸出します。


 ・『禁断の地』を日本国領土と認めて頂けるのであれば、我が国の医療技術・知識を貴国へ伝えます。



 日本国は『禁断の地』がどの国にも属していない未開拓の地であると分かるとその地を貿易とインフラ整備支援の活動拠点と日本の食糧事情の解決の為、農作物の栽培に活用したいと考えていた。



「確かにあの技術力の高さだ。医療や作物の栽培技術が我らよりも進んでいてもおかしくは無い。魅力的ではあるが……」



 グラディス国王は考えながら、一先ず整理していく。



「食糧3000万tか……だがこれは我が国が食っていける分も考慮して調整できる。それに『禁断の地』を譲渡し(公式上ロイメル王国の領土では無いが)、ニホンがそこで農地開拓を行えば、食糧輸出を大幅に軽減出来る、場合によっては我が国のメリットの方が高くなる」


「『禁断の地』 は譲渡しても良いでしょう。開拓調査団再建の目処が立っていないですし、そもそもあの薄気味悪い土地を手放せるのなら好都合なのでは?」


「確かにそうですな」


「しかし食糧輸出量がなぁ」


「うぅむ」



 その後も日本と国交結ぶか否か議論していったが、結果的に日本と国交を結ぶべきであると決定しかけた時、軍務局局長のドルメルが声を荒げて反論した。



「国王陛下、やはり私は反対です。見ましたでしょうあの『ぷろじぇくたー』と呼ばれるもので映し出されたニホンの軍事組織『ジエイタイ』。あれはとてつもない脅威です! 直ぐにでも考え直すべきかとッ!」


「落ち着けドルメル。お前の気持ちは分からんでもない。だがニホン国のジエイタイは防衛を是とする組織だそうじゃないか。我らの考える様な軍隊では無い。それに、アムディスのような覇権国家でも無い、平和を愛し重んじる国だ」


「さよう、それにニホンにはアムディス王国の様な国教が無い。信仰しようがしまいが自由、どんな神がいても良いではないかと考える国だ。私はニホン国ともっと関わりを持てばロイメル王国は間違いなく発展すると思われるが」



 ホムルスの発言に対しドルメルは「お前は何も分かっとらん!」と怒鳴り散らし、また、国王に訴えた。



「国王陛下、それは今だけでございます!もしニホン国の食糧問題が解決したらどうなりますか。手のひらを返し、我が国へ侵略行為を働く可能性もあります! 何も断交せよと言っているのではありません、せめてニホン国についてもっと情報を得てから国交を得るべきだと言っているのです!」


「確かに、お前の言い分はよく分かる。だが……」



 バターーン‼︎‼︎



 突然伝令兵が蒼白した顔で扉を勢いよく開けて入ってきた。



「か、会議中失礼します。一大事です! 密偵からの報告で、アムディス王国内にて大規模な軍が動き出しつつあります!」


「「ーーーーッ‼︎‼︎?」」


「国王陛下!」


「アムディス王国め…遂に我が国まで侵略の手を伸ばしてきたかッ!」


「不味いですな……我が国の兵力は5万弱、アムディス王国の兵力は確か約20万。いや、奴隷兵も含めればもっとか。多勢に無勢ですな」


「クドゥム藩王国と同盟軍を組織しても8万。どうしたものか……」


「そもそもクドゥム藩王国は日和見外交な国だ。素直に我が国と手を組むとは思えません!」



 会議室は混乱状態だった。覇権主義のアムディス王国が攻めて来ると皆の顔は国王含め動揺していた。するとグラディス国王はある事を思いついた。



「ニホン国……そうだ、ニホン国がいるではないか!」


「しかし国王陛下。ニホンとは正式に国交を結んでおりません! それに、ニホン国は憲法により戦争行為は禁じられています!」


「分かっておる! だが自国を守るための戦なら問題ないのであろう? それにニホンの食糧事情を考えると一刻の猶予もないはず。そこを利用しない手はないであろう? 自国の生命線である我が国との国交が出来なくなればニホン国民は飢餓に苦しむのだからな!」


「おお!」


「なるほど……」


「ニホン国には悪い気もするが仕方のない事。ある意味これはニホンを守る為でもある!」


「しかし、ニホンが請け負ってくれるかどうか……」



 こうして会議はアムディス王国の侵略から守る為、クドゥム藩王国とニホン国に軍事同盟を締結を要請する事に至った。無論、ニホンがこれを簡単に受け入れるとは思っていないが、もしニホンが軍事同盟に参加し、アムディスの脅威から守ってくれるのであれば貴国の条件を呑むという事で一致した。





 ーー翌日 王城 謁見の間にて


「……以上が我が国が貴国へ求める国交を結ぶ為の条件です」



 堀内はその内容を聞いて驚いた。



「(うーん、これは参ったなぁ)……私個人では決められません。一度本国と相談してみないことには何とも」


「御足労させてしまい申し訳ない。我らの期待に沿う返答が来る事を祈っております」



 こうして堀内たちは、急遽日本へ一時帰国し事の状況を報告するのだった。




 ――日本国 首相官邸 会議室


「猶予は12日。奴さんがロイメル王国に侵攻するまでの時間だ」



 小清水官房長官は周りにいる大臣達に伝えた。堀内たちが日本へ帰国してから3日が過ぎていた。アムディス王国は日に日に国内で兵をまとめ上げ12日前後にはロイメル王国との国境付近まで移動する可能性が高い。殆ど猶予は無い、早急な決断が求められていた。



「やはり日本存続の危機を考えれば今回の同盟に賛同したいところですが、日本は平和主義国家、いくら憲法改正出来たとしてもこの様なケースは極めて難しいです。むやみやたらと参戦することは出来ませんよ」


「だがな安住、ロイメル王国は日本が唯一この世界で、友好的に関わる可能性が高い国だ。その国を見捨てたとなると、他国の日本に対するイメージは極めて悪くなる。そうなれば、また大きな問題に繋がる」


「日本が『腰抜け国家』と言う印象をアムディス王国が得てしまえば、間違いなく日本に攻め込んで来るな」


「だが敵は中世レベルの軍隊で魔法も我らが思ってるよりずっと効率と燃費が悪いものなんだろう? とても脅威にはならんが……」


「そう言う問題じゃ無いんだよ」


「やはりここは超法規的措置で」


「それが簡単にできたら苦労しねぇよ」



 会議室に大臣達の溜息が重なり大きくなる。

 アムディス王国については堀内から聞いてはいたが、まさかこんなに早い段階で侵攻してくるとはだれも思わなかったのである。南原副総理は広瀬に聞いた。



「広瀬総理は如何お考えですか?」



 広瀬は腕を組みながら気難しそうな顔で答えた。



「ロイメル王国は明らかに日本の現状につけこんで要求してきてるねぇ。まぁ実際そうなんだけどさ、しかし参ったねぇ……どうも与野党で議論する時間もないしさぁ。いやぁ、参ったよ」



 完全に広瀬総理もお手上げと言った感じだった。しかし、南原は見逃さなかった、広瀬の顔が少しほくそ笑んでんでいる事に。



(広瀬さん、また何か企んでるなぁ)



 結局のところ、今会議では『支援はできる限り行っていくが、軍事的支援は極力回避する。』と言った事になった。詳しい内容までは決まってないが、できる限り日本は戦争に関わらない様にするに至ったわけである。



 公式上は。





 ――数時間後 首相官邸


 夜も更けた頃、廊下には広瀬総理と防衛大臣の久瀬がいた。



「やっぱり、久瀬もそう思うのかい?」


「はい、つい数年前まで自国の国教の教えを守り、鎖国国家として栄えていたアムディス王国が突然の近隣諸国に対する侵略行為……それも連戦に続く連戦、兵を休める暇も無い、これは明らかに奴さんは『かなり焦っている』のが分かります」


「高度文明圏国家との繋がりもある。金か権力か……とにかくその国から何かを約束されていると考えられるんじゃねぇか?」


「……広瀬総理、ここはひとつ『彼ら』に任せてあげてもよろしいでしょうか?」


「言うと思ったよ。まぁ『あいつら』なら戦争を防ぐ事は出来るかもな。お前に任せるよ久瀬」



 これにより広瀬と久瀬は日本の『秘密情報部隊』を極秘裏に動かすことを決定した。




「まさか、ここに来て『別班』を使うことになるとはなぁ……」














文書考えるのスゴく難しいです…

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