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日出づる国、異世界に転移す  作者: ワイアード
第5章 ハルディーク皇国編
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第95話 狼狽

まだまだ行きます!

ーー数日後 アルフヘイム神聖国



「森の神スアールの加護が我らを救った!」


「我らエルフ族はいかなる種族からの支配など受けない!これまでも…これからもッ!」


「アルフヘイム神聖国に栄光を!!!」


「アルフヘイム神聖国に希望あれ!!!」



王都はお祭り騒ぎ。中央に設置された大きなかがり火は天にも届くほどの火柱を上げ、火の粉がまるで星屑のように輝きながら舞っていく。人々は、王樹ユグドラシルの小枝を次々とその篝火へくべていく。これはエルフ族における死者の弔いの儀式でもあった。笛や太鼓、ハープの音色が死者たちを森の神スアールの元へと導き、新たな命が森の一部として芽生えることを信じて、人びとは舞い続ける。





ーー謁見の間


ハルディーク皇国との戦争は、なんとも不思議な形ではあったが、辛勝する事が出来たアルフヘイムの民達は、皆が喜びに満ち溢れていた。しかし、王樹ユグドラシルにいる政務官や聖王ウェンドゥイル達は戦勝気分に浸る暇も無く、戦後の処理に追われていた。中でも特に厄介であったのが、裏切り者ジーギスの後始末である。


謁見の間の中央には、鎖で雁字搦めにされているジーギスが跪いた。彼の衣服は既にボロボロとなっていたが、その目は死んではいなかった。おおよそ抵抗する様には見えなかったが、衛兵達が無理やり彼を抑えるようにしている。


ウェンドゥイルは玉座に座りながら、そんな彼の姿を見ていた。



「……ジーギス。」



ウェンドゥイルは彼を見た時、怒りで我らを忘れるのでは無いかと思っていたが、不思議とそんな感情は湧き上がらなかった。ただ感じるのは、深い哀れみである。彼がなぜ裏切ったのか?…なぜこのような行動をとったのか?初めのうちは全く理解出来なかったが、ハルディーク皇国が今までに他国で行ってきた行為や彼の娘の事を考えれば…大方予想がついた。



「…お前の裏切り行為により、我が国と民に甚大な被害をもたらした事は断じて許し難い。レイス王国とニホン国が動いてくれなければどうなっていたことか……。」


「……陛下、私はー」



ジーギスが口を開け、声を出した瞬間衛兵の1人が声を上げた。



「口を慎めッ!!!」



衛兵は彼を殴りつけた。ジーギスは口から血を流してはいたが、決して動揺はせず、ただウェンドゥイルに視線を向けていた。


ウェンドゥイルは彼の目を見て話し始める。



「……ジーギスよ。この悲惨な戦争の後、直ぐに他の外務局員がニホン国と連絡を取り、今回の件を極秘裏に行ったことを知った。彼の国には彼の国の『法』が存在する。我々には到底理解出来ないような『法』だ。だがなヒロセ王は、同盟国である我が国になにかあったのではと危惧し、隠密部隊を派遣し、サヘナンティス帝国を介してレイス王国に助力を求めたのだ。」


「……はい。」


「場合によってはヒロセ王もかなり危なかったと言うのに、本当に恐れ入った。後々復興支援団体を派遣すると約束してくれた。……私の娘も暫くは彼の国で保護する事となったよ。……お前の娘もな。」


「本当に良かったです。何も言い訳はしません。」



ウェンドゥイルは彼に今一度問い掛ける。



「なぁジーギスよ。本当にああするしか無かったのか?……娘の病もニホン国に頼み込めば……違うか?」



ジーギスは暫くの沈黙の後に再び口を開いた。



「……数ヶ月も前から…私は皇国に目をつけられていました。『大人しく協力すれば、娘の命は助ける』と。その時は国を裏切る事など出来なかった。無論、ニホンの医術に頼ろうとも考えていた…ですが…皇国は私にこう言ったのです。『ニホン国と関わろうものなら娘の命は無い…この事を誰かに言うのも厳禁だ。』と。」


「そうか…そうだったな。すまない…。」



この時、ウェンドゥイルは何故ジーギスがニホン国に頼ろうとしなかった理由が分かった。ウェンドゥイルは深くショックを受けていた。余所者を受け入れる事を是としないこの国の在り方が…この様な悲劇を生んだ事に…そして、盟友の苦しみを気付けなかった自分自身に…。



「…だからと言ってこの行動が正当化される事は無い。」



すると衛兵の1人がウェンドゥイルの元へと駆け寄り、耳打ちをする。この時の言葉を聞いた彼は、目を閉じて小さく溜息を吐いた。



「…たった今、判決が決まった。……死罪だ。」


「……覚悟の上です。」


「この結果を覆すことは叶わん。だが、聖王の名の下に、1つだけ…可能な願いを聞き入れよう。何かあるか?」



ジーギスは震える声で答える。



「娘が…元気になった姿を見たい。その姿を見るまで……刑は待って下さりませんか?」



ウェンドゥイルは目に涙を溜め、彼の強い要望に対しコクリと頷いた。ジーギスは満足した様に微笑みで返した。そして彼は衛兵に連れられ、その日が来るまで地下牢に幽閉される事となった。




ーーアルフヘイム神聖国 王都



王都のお祭り騒ぎは未だ続いている。大きな焚き火が綺麗な火柱と火の粉によって生み出す光景は衰える事はなかった。そんな賑やかな王都の人気が少ない薄暗い場所で、1人座っているエルフの男性がいた。彼は周りの人たちとは違い、真剣な顔で俯きながら考え事をしていた。



「やはり……伝えるべきか?…だが…言うなと。」



そこへ1人のダークエルフの女性が彼の前にやって来た。



「あらぁ?こんな所で何やってるのお兄さん?折角の喜びを皆んなで分かち合いましょうよぉ〜?」


「うるさいな!ほっといてくれ!今真剣な事を……あれ?な、なんでダークエルフがここにッ⁉︎…ここは俺たちハイエルフの場所だ!穢れし種族が居ていい場所では無い!!!衛兵を呼ぶぞ!!!」



彼の激昂した言葉を聞いたダークエルフの女性は冷めたような目で空を見つめた後、静かに口を開く。



「そう……こんなことがあってもあなた達は……ありがとう、お陰でハッキリしたわ。やっぱりあなた達と分かち合う事など出来ないってね。」


「な、何を言ってる⁉︎」



彼女は目を後ろ方へ向けて合図を送った。


すると彼の背中から何かがドンッとぶつかって来た。彼は後ろを振り向くと、黒いフードを被った男が、ナイフを深々と背中に突き刺していた。



「なッ⁉︎」



すると先ほどの女性が懐からナイフを取り出し、彼の心臓へ向け、捻りこむように射し込んだ。



「ガッ!…は…あぁッ」



後ろの男から猿轡をはめられ、声を出せない。彼は何故自分がこんな事に合っているのか理解出来ないまま、絶命した。



「良し……後は事故に見せかければ終わりね。これで良かったかしら?カスヤさん。」



建物の影から現れた1人の男…別班の粕谷が出て来た。



「あぁ…上出来だ。それにしてもなんの躊躇いもないな。寧ろ、今までの恨みをぶつけるかの如き勢いだったぞ。」



血が滴るナイフを持ちながら、彼女は答える。



「当たり前でしょ?……こいつらハイエルフどもにどれだけ苦しめられてきたか…。そんな事よりも今はあなた達と組んでた方がよっぽど魅力的よ。長老さまも珍しくニホン国を贔屓してるし。」


「お互い利益の為……それ以上もそれ以下も無い。」


「ふふふ、そうね。ところでさぁ…コイツは外務局員よ。なんで殺す必要あるの?」


「他言無用だ。」


「はいはい…ふふふ。」







ーーハルディーク皇国 情報局


ユートピアによって造られた最新式の無線機が幾つも並ぶこの部屋では、日夜局員達が溢れる様に流れてくる情報を整理し、責任者であるトニー・ジェミニェスへと報告している。


しかし、この日届いたアルフヘイム侵攻軍からの報告を聞いた局員は絶句した。



「こ、コレは……なんと…ッ⁉︎」



周りで作業していた他の局員達も、彼の様子を見てざわつき始める。数人の局員が詰め寄り、どんな報告内容だったのか聴こうとした。



「お、おい…大丈夫か?」


「何が…?」



そこへトニーがドアを開けて来た。



「騒がしいですよ。何があったのですか?」


「と、トニー様。あ、アルフヘイム侵攻軍からの伝令で……」





ーーハルディーク皇国 皇城 皇帝の部屋



「な、い、今なんと…申した。」



ワナワナと震える皇帝の前には、側近のトニーが立っていた。そして、先ほどの情報局から届いた報告をもう一度彼に伝える。



「はい。モガモスカ中将率いるアルフヘイム侵攻軍はレイス王国の奇襲により壊滅致しました。」


「〜〜〜ッ⁉︎⁉︎」



もはや怒りを通り過ぎて何を言えば良いか分からないほど狼狽えていた。最も重要な作戦が悉く、失敗した事に酷く焦りが見える。



「マズイッ…これはかなりッ!おのれぇ!レイス王国め!アルフヘイムとニホン国の次にあの国を攻め滅してやるッ!」


「まぁ致し方無いでしょう。とにかく今は次をー」


「次だと⁉︎ガルム帝国の使者に『例のモノ』を渡した所までは良かったが…アルフヘイム神聖国の件は絶対に成功させねばならぬ!クワンドゥア氏はまだ来賓の間におられるのだ!今か今かとフライヤを連れて来るのを待っているのだ!!!」



唾を飛ばしながら怒鳴り声を上げる皇帝にトニーは焦ることなく、涼しげな表情をしていた。



「そうは仰いましても…事実は事実です。」



そんな彼の様子が彼の逆鱗に触れる。オリオン皇帝は更に苛立ちを見せる。



「クソォ!!!イール王国ではニホン国に…アルフヘイムではレイス王国かッ⁉︎…‥トニー!占領下の低文明諸国連合から幾ら兵力を引き出せる⁉︎」



トニーは持っていた資料をパラパラとめくりながら答える。



「そうですね…すぐに戦力として活用できる兵でしたら…ざっと10万かと。」


「10万か……良しッ!直ぐにアルフヘイム神聖国へ侵攻を開始せよ!」


「ですが…移動させる為の船が足りません。イール王国とアルフヘイム神聖国で大半を失いましたのでー」


「だったら、低文明諸国連合の木造船を使え、それに我が国の砲艦が牽引する形で行けば良いのだ!!!クックックッ!まだ傷の癒えない内に攻め込めば…今度こそ必ずッ!」



もはや戦略のカケラも無い力押しの命令にトニーは呆れていた。そこへ1人の衛兵が慌てた様子で入って来た。その顔は真っ青である。



「し、失礼します!大変です!先日占領下に加えた低文明諸国連合が突然の大反乱をッ!」


「ッ⁉︎」


「それと…低文明諸国連合に助力している国が…」


「ど、どこの国だ⁉︎」


「さ、サヘナンティス帝国です!」


「ま、またッ!列強国の一角が⁉︎」



オリオン皇帝の目は完全に正気を失い、血走った目をトニーに向け、拳を振り下ろす。今までの鬱憤をすべて彼にぶつけるかの如く。



「貴様が役立たずだからこうなったのだ!!!貴様の責任だ!」



殴られたトニーは後ろに倒れ込んでしまい、血を拭った後ゆっくりと立ち上がる。しかし、彼は反論しなかった。相変わらずの無表情で殴られた事など気にも留めていない様子だった。



「申し訳ありません。…ですが、ここはどうか落ち着いて、次の手を考える事が先決です。我が国が連敗し、大半の戦力を失ったことがこのマグネイド大陸中に知れ渡れば…」



圧倒的軍事力で抑え付けていた傘下国が、その支配国の力が弱まった事を知れば……テスタニア帝国の二の舞となる。オリオン皇帝は滝の様に冷や汗をかいた。あの時、テスタニア帝国を嘲笑した自分が、今度は逆に同じ立場に立たされている事に…彼は最悪のシナリオが頭をよぎった。



「こ、こうなれば全兵力をもってして徹底的に奴らを叩き潰す!一気に挽回してみせるぞ!!!」



血走った目で誰に向かって言っているのかすら分からない、挙動不審な様子で声を張り上げた。最早なんの根拠も無い皇帝の言葉に誰も期待を抱く者はおらず、小さな溜息が聞こえて来る。



「トニー!!!クアドラードのアギロンにも伝えよ!」


「…ハッ。」



トニーは頭を下げると皇室から出ていった。

部屋を出るとそこにはソニーが立っていた。彼は目で何かを問おうとすると、トニーは首を横に振った。



「……ダメでしたか?」


「えぇ、ダメでした。アレはもう正気では無い。まるで周りが見えてませんでしたよ。」


「そうですか……しかし、そんな事よりも意外だったのは、アルフヘイムの件ですよ。」


「えぇ。私もあの報告を聞いた時は、動揺しました。レイス王国が関わっていたらしいですが……本当にそれだけかと疑問がありますね。」


「全くです。……まさかニホン国?」


「可能性はありますね。ニホン国と言えば……例の戦利品は?」



例の戦利品とはイール王国から手に入れた『A・W』の残骸である。今まさに地下のユートピアにて調査の最中であった。



「それなんですが……解析不能で…魔力の類は一切検知されず、装甲類も未知のモノばかり……殆どお手上げです。」


「そうですか……しかし、分かるところでも良いので、何としても解明を続けるのですよ。少しでもレムリアに貢献するのです!」


「言わずもがな…。」



2人は軽く頭を下げ、それぞれの持ち場に戻った。


トニーは先ほど殴られた箇所を触りながらある事を思い出していた。それは日本国と言う名前である。彼は日本国を聞いた時からあることを考えていた。



「ニホン……ニホン国……何処かで聞いたような。……確か…オワリ国の…」




ーーハルディーク皇国 『ユートピア』最深部



『ユートピア』の地下深い最深部では、『A・W』に対し電流を流し込むと言う実験がはじまろうとしていた。


実験用の台の上で横になる『A・W』の周りには、多数の技工士や魔法技術士達が緊張した面持ちで立っていた。ガラスの壁に隔たれた先には他の作業員達と王族護衛のレオとカプリコスも居た。



「レオ、お前はここに居て良いのか?王族護衛だろう?」



カプリコスの言葉を聞いたレオは苦笑いで答える。



「いやぁ……なんか最近のオリオン様がおっかなくてよぉ…。特に今はマズイって気がするんだ。」


「ふむ…そうか。確かに最近の皇帝陛下は怒りっぽくていかぬ。まぁそれも仕方なしか……イール王国での大敗があってはな。」



すると、2人の間から軍務局局長のリブラ・グリエントがやって来た。



「どうだ?これからか?」


「おやおや…リブラ・グリエント殿。軍務局の方は良いので?」


「……アルフヘイム侵攻作戦は失敗した。」


「なにっ⁉︎」



リブラの言葉を聞いた2人は驚愕した。弓と矢、そして飛行戦力を有していない亜人族国家に20万もの大軍隊が敗北した事に狼狽する。周りの作業員達からもざわめきが聞こえて来る。



「私も驚いた…だが事実だ。ベネットとは音信不通…恐らくは戦死だろう。アクアス提督にも伝えてある。案の定驚いてたよ。」


「皇帝陛下は…な、何と?」


「ヒドイものさ……敗戦報告を聞いた後、側にいたトニー殿に手を上げたらしい。」



この言葉を聞いたレオはホッとした顔をする。リブラは話を続けた。



「多少地の利を生かしていたと言うことがあったとしても敗北は普通はあり得ない…『普通』はな。だが…戦場では『普通』では無い事態が起きたようだ……全ての原因はレイス王国の鷹翼騎士団による奇襲攻撃だった。」


「れ、レイス王国だと⁉︎」



周りのざわめきがより一層大きくなる。まさか同じ列強国が自分たちの国に攻撃を仕掛けてくるとはだれも思っていなかったからである。リブラは、ざわつく周りの事など気にせずに冷静に分析しながら話し続ける。



「確かに地上戦力だけなら、レイス王国の鷹翼騎士団では分が悪いのは分かる。しかし、此方にも飛行戦力は確かにあった。」


「ま、まさかその飛行戦力をもってしても敵わなかったとッ⁉︎」



狼狽えながら聞いて来るカプリコスにリブラは答える。



「それは無いだろう……確かにグリフォンは耐久力こそ翼龍や闘龍に劣るが、戦闘能力は闘龍と五分以上、機動力に至っては闘龍や翼龍よりも高い。しかし、我が国のレシプロ戦闘機はそんな飛行戦力にも互角以上に渡り合える程の戦力を有してある。ならば何故か……恐らくは『ミスリル地帯』があったのだろう。」



カプリコスは納得したように顎を押さえながら考える。



「確かに……『ミスリル地帯』であれば納得だな。」


「だが、アルフヘイムの内陸部のみだ。その周囲なら問題無く飛行できた。それだけでも十分に対応は可能だった筈だ。…それにどうしても納得のいかない点もあるのだ。」


「そ、それは何ですか?」



リブラの表情がより一層険しくなる。



「何故……レイス王国は我が国に攻撃を?幾ら同じ列強国でもそのチカラは我が国に遠く及ばない筈……あの国もバカでは無い。何か勝算があっての事に違いない。サヘナンティス帝国か?…いや、それだけとは考え難い…一体何が……。」


「それってぇ…に、ニホン国じゃあないか?」



突如、会話に入ってい来たレオの言葉にカプリコスは呆れたような顔で話した。



「レオ……ニホン国から軍艦が出たと言う話は無いしニホン国の軍を見たという報告もない。そうでしょうリブラ殿?」


「ん?あ、あぁ。」


「何故ニホン国が関係する?ニホン国はイール王国で手一杯の筈だ。アクアス提督の『ヘカトンケイル』に蹂躙されるのも時間の問題…ありえない。」



リブラは再び考え込んだ後、ある憶測を考えた。



「……だがあり得なくもない。」


「はい?」


「後々から入って来る情報でもわかる事だとは思うが…もし、ニホン国がその飛行戦力を破壊していたとしたら?…もしニホン国がサヘナンティス帝国と通じていて、レイス王国もそれを知っていたとしたら……。」


「は、ハハッ……まさかそんなのッ…あり得ません!サヘナンティス帝国にも『スキアーズ』から、彼の国とニホン国が繋がっていると言う報告はありません。何よりも、ニホン国がそんな力の有る国のワケがない!あんな蛮族国家が我が国以上のチカラを有しているなど…あってはならない事だ!テスタニア帝国は油断し過ぎていたから敗けただけだ!リブラ殿もそう認識していたではないですか⁉︎」



興奮しながら話すカプリコスの方へ顔を向け、冷静な顔ではあったが、内心はかなり動揺しているのが読み取れる表情をリブラはしていた。そして、ゆっくりと口を開け答える。



「カプリコス殿……テスタニア帝国を負かしたと言えど取るに足らない低文明国…蛮族国家…負けるわけが無い……その認識自体が間違っている可能性が高い。シリウス外務局長から聞いたニホン国の話を…我々は深刻に…真剣に受け止めるべきだったのやも知れぬ。『ユートピア』の力を持ってしても…だ。」


「は、はぁ?」


「此度の戦……恐らく…我が国はまー」



バチバチバチバチバチッ!!!ギギギッ!


ガガガーーッ!!!バチバチバチ!!!




リブラの言葉を隔てるように大きな音が閃光と共に辺りを包み込む。特殊な魔鉱石を用いての電流を『A・W』に流し始めたのだ。


なぜ外務局員のエルフは殺されなきゃいけなかったのか…

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