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二十八話「イリス・ヒルフェ」

いつもお読みいただきありがとうございます。。

この度100万PV突破しました。皆様ありがとうございます。


「イリス・ヒルフェ、お前の買い手が見つかったぞ」

「・・・まさか買い手が女性とはな。まだ運はあるようだ」


 イレーヌさんとクロエさんを一瞥してイリスさんが少し安心したような声を出す。


「いや、買い手は彼女達ではないぞ」

「・・・なんだ、使いの者か」


 その言葉で表情を一変させ、落胆の顔となる。


「それも違うな・・・。お前を買ったのはこちらの少年だ」

「どうも、イリスさんですね?これからよろしくお願いします」

「・・・奴隷に対してそんな丁寧な言葉を使うものではないぞ、こいつの主人はお前だ。示しがつかんぞ」

「性分なもので、なかなか急には無理ですね。まぁおいおい考えていきます」


 イリスさんはどう反応していいのかわからないようで固まっている。

 まぁそうだよね。こんな小さい子に買われたらこの先どうなっていくかなんて想像できないよね。


「失礼を。貴方様は貴族なのでしょうか?」

「いえ、冒険者です。まだEランクですけど。あと先ほどまでの口調で結構ですよ。畏まって話しかけられるの苦手なので」

「・・・すまない、私も敬語は苦手でな。それでなぜ私を買われた?」

「単純に戦力強化です。イリスさんにはこれから僕たちと同じパーティに加わってもらいます」

「それだけでいいのか?」

「まぁ基本的には。あっそうだ、剣術のスキルを持っているようなので稽古とかもつけてほしいかな」

「本当にそれだけなのか・・・。しかし私は高かっただろう?Eランク冒険者にはだいぶ厳しい金額だったと思うが」

「まぁほとんど全財産使いました」

「そうか・・・。では当たり前だがその金額に見合う働きをしてみせよう。私の全ては貴方の物だ。貴方の為ならば喜んで命まで差し出すことを誓う。これからよろしくお願いする」

「こちらこそよろしくお願いします」

「しかし、私のご主人様は変わったお方だな。普通、奴隷がこんな喋り方だったら怒り狂うくらいのものだが」

「奴隷制度になれてなくて・・・逆にその口調で助かってますよ。あと、ご主人様はむず痒いのでやめてください」

「では主と呼ばせてもらおう。それで主、そちらの女性達も紹介して貰ってよろしいだろうか」

「ええと、こちらの方がイレーヌさん。隣りにいる方がクロエさんです。先ほども言いましたがこちらの二人とパーティを組んで冒険者活動をして貰います」

「イレーヌよ、これからよろしく頼むわ」

「クロエですー。よろしくねぇ」

「イリス・ヒルフェだ。よろしく頼む」

「じゃあ、これからイリスさんの武器と防具買いに行きましょうか」

「だが主、やはり奴隷に向かってさん付けはないと思うぞ」

「そこもおいおいで」


 女性に向かって呼び捨てで呼ぶの慣れてないんスよ。

 いくら精神年齢的に上と言ったって肉体は10歳で完全に見上げる形になるし、その状態で女性に向かって呼び捨てって自分としては無いんだよなぁ。


「そういえば武器は何を使うんですか?」

「得意なのはサーベルだな・・・。ブロードソードでも問題ない。あと出来ればでいいんだが盾もあるとありがたい」


 ブロードソードでもいいなら前にイレーヌさんが使ってたお古とかでも構わないかな・・・。お金ないねん。盾と体用の防具を買うとなると結構費用がかかりそうだし我慢してもらおう。


「イレーヌさん、前使ってたブロードソードなんですけどイリスさんに譲ってもらってもいいですか?」

「構わないわよ。今はこれがあるからね」

「・・・その剣ミスリルを使っているのか?素晴らしいな、私もいつか持ちたいものだ」


 イレーヌさん凄まじいドヤ顔である。これで武器はなんとかなったから後は防具か。以前行ったギルドと提携してる店でいいかな。というかそこしか入ったことない。


「あんまり余裕ないのでウルフ素材の軽鎧と鉄製の盾でいいでしょうか・・・」


 金貨4枚しかないからな。いやあることはあるんだよ、でもそっちは入学金用に貯めてるやつだから崩すわけにはいかないんだ・・・。


「防具を買ってくれるだけでありがたい。文句など言えるはずがないよ、主」


 店員さんに頼み、採寸をしてもらうとだいたい金貨2枚ほどになるとのことだった。意外とたけぇ!俺の時は大銀貨二枚だったのに。

 鉄製の盾が高いのとあとはサイズの違いかな?あの時に俺と比べて40センチくらい差があるからね。


 時間がかかるので、明日の朝にまたとりに来てくださいとのことなので今日の活動は切り上げてラブリーアマーリエ亭に帰ることにする。


「オイゲンさん、また一つ部屋を用意してもらっていいですか?一人用の部屋でお願いします」

「おう、メンバーが増えたのか?ちょっと待ってろ」

「主、私個人の部屋を用意するのか?さすがにそれは・・・別に主の部屋で雑魚寝でも私は全く構わんぞ。警護も兼ねられるしな」

「僕の部屋で着替えられたりするのはちょっと・・・。それにずっと雑魚寝なんて体調崩しますよ。それで戦えなくなっても困りますし、その分稼いでくれれば問題ないです。っとそういえば着替えとか日用品が無いですね。そこら辺僕じゃ力になれそうにないので3人で行ってきてください」


 金貨を一枚、イリスさんに渡そうとするとさすがに多いというので大銀貨を二枚渡す。 

 2時間ほどして3人が戻ってきた。結構長かったな、一緒に行かなくて良かった。

 三人は買い物中にだいぶ打ち解けたようでもう仲良く雑談をしながら戻ってきていた。

 そのころにはオイゲンさんの夕食が出来上がっていたので四人で食べることにする。

 そこでもやっぱり主と一緒の食事をとるわけにはみたいな事を言われたけど一緒に食べるのを命令しておいきた。

 イリスさんは久しぶりのまともな飯なのか噛みしめるようにオイゲンさんの料理を食べている。なんでも奴隷になる前でもこんな良い飯は食えなかったそうだ。

 没落貴族ェ・・・。

 


 明日は朝に防具をとりに行ってからイリスさんの実力を見るために模擬戦をやることになった。ああ、そうだ。イリスさんも没落したとはいえ貴族だったんだから魔法について何か知ってるかもしれない。それも聞かないとなー。

 もうベッド入って寝る気分になったから明日聞こう。それじゃおやすみー。




 翌日、4人で防具屋に寄りイリスさんの装備を貰ってから街の外に出る。

 イリスさんの模擬戦の相手はイレーヌさんとなった。

 二人とも剣と盾を使うので実力がわかりやすいからとの理由だ。

 軽く準備運動をしてから二人が相対する。

 イレーヌさんは相手の正面を向くように立ち、逆にイリスさんはイレーヌさんから見て体が横を向いている状態で左半身を相手側に向けていて左手で盾を持ち右手で剣を構えている。


「いつでも始めてくれていい」

「こっちもよ」


 二人は相手の出方を探るように動かずにいる。

 先に動いたのはイレーヌさんだった。イリスさんの背中を狙って剣を振るう。

 イリスさんはそれに対して盾を突き出し、剣を受け止めた瞬間盾を裏拳のように使い、剣をいなした。そのままイリスさんは右手の剣を水平に振るってイレーヌさんの体を狙う。

 イレーヌさんは態勢を崩しておりこれで勝負は決まったかと思われたが驚くほどの速さで後ろに飛び退いた。


「決まったかと思ったが・・・。今の動きはなんだ?」

「新人相手に負けるわけにはいかないからね・・・。本気を出すわ」


 先ほどの一撃と同じようにイレーヌさんがイリスさんに斬りかかる。

 だが先ほどと違い、イレーヌさんの動きが速く遅れる形になってイリスさんが盾で受け止める。


「ぐっ!?」


 剣の重みを受け止めきれずイリスさんの態勢が崩れる。イリスさんが剣を振るうが態勢が崩れた後強引に出したものなのであっさりイレーヌさんに防がれ、そのままイリスさんの首筋に剣を突きつけられる。


「・・・私の負けだな。イレーヌ殿、レベルは私より高いと聞いていたがいくつなのだ?二回目の攻撃はありえぬ程重い攻撃だった」

「私のレベルは3よ。まぁ秘密があってね」

「3だと!?それでは特別な訓練や技法があるのか?・・・もしよろしければ私にも伝授していただきたい」

「身体強化って魔法ね。私だと自分で発動させて維持するのが20秒がやっとだけど。習得についてはあんたのご主人様が教えてくれると思うわ。私もあいつから教わったの」

「主は魔術師だったのか・・・。しかしそのような魔術聞いたことがないが・・・」

「なんか変わった魔術師みたいよ。杖も使わないようだし」

「・・・杖を使わない?」


 イリスさんはそんなこと出来るのか?とつぶやきながら首をかしげている。

 ちょうどいいから魔術について聞いてこよう。


「イリスさんお疲れ様でした」

「あ、ああ。主か、不甲斐ない所を見せてしまったな」

「いえ、イレーヌさんは身体強化使ってましたからね。勝つのは難しいと思います。試しに体験してみます?」

「ああ、とても興味があるな。やってみてくれないだろうか」

「じゃあ、手を借りていいですか?失礼しますね」


 手を取って魔法を発動させる。


「お、おお!?素晴らしい・・・。なんという力だ!信じられんほどの力が湧いてくるぞ!」


 どこの大魔王だ。だが気に入ってもらえてなにより。


「ただ、今の状態だとどこかしら体に触れてないと使えないんですよ。あの二人は魔力操作の訓練で維持できるようになって最近自分でも発動できるようにもなったんですよ」


 ただ20秒が限界だけどね。安全に使うなら10秒くらいかな。

 と、話が逸れたな。


「イリスさんは魔術に関してどれくらい知ってます?」

「私の家は2代前から没落してしまっているからな・・・。私も魔術学校にはいけてないからあまり専門的なことはわからないんだ、申し訳ないな」

「ジンってわかります?」

「魔法陣のことだろう?魔術師は魔法陣を形成しそれに杖で魔力を送り魔術を使うものだと聞いているが」

「なるほど・・・。どうやって魔法陣を形成するかはわかりますか?」

「確か、呪文を詠唱することによって出来るはずだが、呪文の内容までいくと私の知識にはないんだ。力になれずすまない、主よ」

「いえ、そこまで聞けたなら十分です。じゃあ今日は魔力操作の特訓とコンビネーションの確認しに森で狩りをするんで、ギルドに寄って依頼を適当に受けましょう」


 先にギルドに寄ればよかったかな。しかしやはり魔法陣か。

 直で魔法出してるのはやはりおかしいのかな。魔法陣を使うメリットとかもわからないし、ここら辺はやっぱり魔術学校で習うしかないのかな。

 期限まであと1年ちょっとだし、それまでになんとかお金を貯めなくては。














毎度、誤字や脱字、数値等のご指摘ありがとうございます。

色々ガバガバすぎて恥ずかしい。もはや読者と作っていくスタイル。


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