二十三話「オーク戦」
本日一話目です。
たくさんのブックマーク、評価をいただきました。
本当にありがとうございます。
「それで新しく買った杖はどん感じなの?」
「それが・・・なんというか物凄く使いづらいです」
「しょぼい杖を買うからよ。これからオークを狩りに行くっていうのにそのしょぼい杖じゃ不安で仕方ないわ」
やたらしょぼいを強調するけどなにかこの杖に恨みでもあるのか・・・。
ただ機能としては本当にしょぼい。魔力を伝えるにしても物凄い抵抗があるし、そもそも魔力を杖に流す意味がない。ほんと他の魔法使いは杖を使ってどんなことをしているんだ・・・?
魔力を使って魔法を形成するだけなのに、そこに中継を入れる意味がわからん。
銀とかミスリルになれば直に使うより楽になるってことかな?
あと、杖を持っていなきゃいけないのがさりげなくめんどくさい。ぶっちゃけ邪魔だ。杖を入れられるホルダーみたいなの作ってもらおうかな。
「前方、ゴブリン5匹よ・・・。私とクロエで引きつけるからハルトは魔法で処理して」
コクリと頷き、行動を開始する。
イレーヌさんとクロエさんは正面からゴブリンに向かって移動する。俺は二人がゴブリンと接触する予定の場所から少し離れた側面に向かい移動する。
こうしないと俺の魔法が二人にもあたってしまう可能性がある。身体強化を使い、素早くそして出来るだけ静かに移動しようとする。
ああっ、もう持ってる杖が走るのに邪魔すぎる。とりあえずここら辺に放っておこう。
ポイッっと杖を投げてから迅速に移動し、予定のポジションにつくともうすでに1匹はクロエさんによって倒されていた。今は4匹の攻撃をなんとか二人でいなしている。
集中を開始し、風魔法を使う準備に移る。準備が完了したので二人にアイコンタクトを送るとすぐ二人がゴブリンからバックステップで距離をとった。それと同時に魔法を発動させる。こちらに無警戒だったゴブリンは攻撃されたことに気づかないまま首を切断されて息絶えた。
「・・・時々思うんだけど、ゴブリンが近づいてる間に魔法の準備して射程範囲に入ったら魔法で倒せるんだしあんた一人でもよくない?ほら最初に会ったときみたいにさ」
「真っ直ぐこちらに向かってくるって言ったってバラつきがありますし、万が一仕留めきれなかったら危険じゃないですか。ひきつけてくれた方が敵も纏まるから仕留めやすいですし」
「ひきつける分、私たちが危険なんだけど・・・?」
「私たち二人ならゴブリンの4,5匹なら倒すのは無理でも攻撃を捌くのは余裕って言い出したのはイレーヌさんじゃないですか・・・」
「うっ・・・そうだったかしら?」
「そうねー、確かにイレーヌちゃん言ってたわねぇ。それに4,5匹なら本当に問題もないもの。ただ倒すとなると怪我を覚悟しなくちゃいけないかしら」
「そ、それよりあんた杖どうしたのよ」
「あ、そういえば忘れてた。走るのに邪魔だったから置いてきちゃったんだった」
あんたね・・・。と呆れ声を出すイレーヌさんを尻目に踵を返す。どこら辺で投げたっけな。ここらだと思ったんだけど・・・あっ、あったあった。
「お待たせしました」
「じゃあこれからもう少し奥に行ってオークを探すわよ」
3人で警戒しながら森の奥に歩いていく。ここまで奥に来たのは初めてだ、オーク以外にも何が出るかわからないから油断せず進もう。そう進むこと10分ほどでついにオークを目視する。
「いたわ・・・。うまいこと1匹ね、ただ予想より力が強そうね。油断せずいきましょう」
確かに、かなり力はありそうだ。見た目は2メートル強の二足歩行する豚だ。手に木の棍棒のようなものを持っており、今の俺が食らったらひとたまりもなさそうだ。身体強化を使ってならまだ耐えれる可能性はあるが。
「さっきと同じ戦法で行きましょう。私とクロエが引き寄せてハルトが魔法をぶちこんで。出来るだけ強力な奴を頼むわ」
「大丈夫ですか?1匹だし魔法が使えるまで待ってから引き寄せて発動して倒した方がいいんじゃ」
「それじゃ私たちの経験にならないわ、次に会う時1匹と決まっているわけじゃないし、私たちでどこまでやれるかちょうどいいから。私たちでオークの足を動きが制限される程度まで負傷させるから出来ればそれまで待ってほしいわ」
もし死んだらその程度だったって事よ、と言ってからクロエさんと共に行動を開始する。・・・ほんとに大丈夫かな。二人が「くっ、殺せっ」なんて言うシーンなんか死んでもみたくないんですけど。
冗談はともかく、俺は俺でオークを一撃で仕留めるレベルの魔法を使う準備をしないと。
オークの側面のポジションに着くと同時くらいに二人とオークが接触する。
イレーヌさんがオークに牽制を入れ、隙が出来た際にクロエさんが両手剣で切り付ける。いつものパターンだ。
しかし・・・あのオーク意外と攻撃がはやいっ!?
ブンブンと棍棒を振り回すものだからなかなかクロエさんが攻撃の間合いに入れない。オークの棍棒をイレーヌさんが盾で受け止める。
「ぐっ!?」
予想以上の威力だったのかイレーヌさんの態勢が崩れる。しかしそこに攻撃を盾で受け止めたことによって攻撃の手が止まるオークに対してクロエさんの気合の一撃がオークの足に叩き込まれる。両手剣がオークの足に半ばまで切り込まれ、たまらずオークが膝をつく。それを確認した二人がこちらに視線を入れ、その場から離れる。
こちらはもう魔法の準備は万端だ。いつもの倍の魔力を使い、横一線のかまいたちではなく十字をイメージした魔法を放つ。
オークはそのまま動けずに十字の風に切り付けられ、体が4つに切断される。
その瞬間、女性の声が頭に響き渡る。
<レベルが上昇しました>
次回は12時頃更新予定です。
ランキング入りをしたおかげか物凄い速度でブクマ等の数が上がっております。
これもひとえに読んで頂いている皆様のおかげです。
ありがとうございます。今後も期待に応えられるよう頑張っていきますのでよろしくお願いします。




