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十三話 「お前のセンスで宿がヤバイ」

いつもお読みいただきありがとうございます。

「ここだ、ギルドからちょっとばかし遠いがいい宿だぜ。昼間は飯処もやっているんだ」

「この程度の距離なら全く問題ないですよ」


 実際、歩いて20分程度の距離だったから全然問題ない。


「でも、安くてご飯がうまい宿なんてもう部屋がいっぱいなんじゃ?」

「あー、それなんだがな。結論からいうとその心配は全く必要ない。ここの宿はいつでも部屋が空いてるからな。」

「えっ、逆に不安なんですけど」

「宿としては問題はないんだ。宿としてはな」


 他になにが問題があるというのだろうか。


「先に宿の名前を言っておく。この宿の名前はラブリーアマーリエだ」

「は?」

「だからラブリーアマーリエだ」

「……正気ですか」

「俺は正気だ。正気じゃないのはここの店主だ」


 なんでもここの店主の一人娘の名前がアマーリエらしく、男手一人で育てていて溺愛し、ついには店の名前にまで使いだすほどになったらしい。

 名前だけでも客が敬遠するのに、娘のことが第一らしく娘になにかあると客のことなど放り出して付きっきりになるらしい。


「普段はいいやつなんだ。作る飯もうまいしな。ただ娘が関わるとちょっとな・・・。娘も体がそんなに丈夫じゃないみたいでよく体調を崩すんだ。そん時は付きっきりになるからさすがに客が遠のいてな」


 そら遠のくよ。よくそれで経営していけるもんだ。


「ただ宿としては、一日小銀貨1枚で飯着きで泊まれるところでここ以上のところはないぞ。まぁたまに飯無くなるけどな」

「とりあえず、中入ってみて決めようか思います」

「そうだな、とりあえず入るか」


 そう言ってギルさんがドアを開ける。その先には犬耳をつけたおっさんが立っていた。


「おう、ギルか。一週間ぶりくらいだな」

「ああ、近くの村まで護衛依頼を受けてたんだよ。それとこいつなんだがその村から冒険者登録をしにきた奴でな。今日からこの街で冒険者としてやっていくんだがあんたの宿を紹介しようと思ってな」

「そいつは助かるぜ。なんせ今宿泊してるやつは一人もいないからな」


 本当に大丈夫なんだろうか・・・。しかし街中でも見かけたが獣人って男もケモミミ付いてるんだな、当たり前だろうけど。

 しかしファーストコンタクトがこんなおっさんになるとは・・・。現実は非情である。


「しかし、こんなナリでやっていけんのか?ウチはツケはやってないぜ」

「こいつの実力なら俺が保証する。すぐにEランクくらいにはなるだろう」

「ほぉー、見た目はこんなんなのになぁ。じゃあ部屋に案内するぜ。自慢じゃないがこの料金でここまでいい部屋はなかなかないぜ」


 案内された部屋にいくとその広さに驚いてしまう。うちの家の寝室より広いぞこれ。しかも当たり前のようにベッドがある。雑魚寝を覚悟していたのにこれは即決ではないだろうか。


「気に入ってくれたみたいだな」


 おっさんはニヤリと獲物を見つけたような顔をしている。コワイ。


「はい、思っていた以上に過ごしやすそうで驚きました。ここに決めたいと思います」

「もう少しで夕飯ができる。ギル、お前も食って行けよ。今日はウルフ肉のシチュー煮込みだ」


 部屋に荷物を置き、ギルさんに依頼の受け方を聞きながら待っていると料理が運ばれてきた。ウルフの肉って固そうなイメージだったけど、とろとろに煮込んであってめちゃくちゃうまかった。ウルフ狩れるようになったら持ち込みで料理とかして貰えるんだろうか。

 満腹になった後、急速に眠気が襲ってきたのでギルさんにもう休む旨を伝えてベッドに横になる。久々のベッドと満腹の眠気で意識は一瞬で落ちた。

宿の名前、団欒亭とだいぶ迷ったんですがこっちにしました。



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