十話 「別れと出発」
おっす、俺ハルトムート。ハルトって呼んでくれよな!
結局、一年で身体強化の魔法は満足のいくレベルにはいかなかったよ・・・。
でもさすがに1年でお金を稼ぐのは厳しそうだから、このまま冒険者になろうと思うよ。出来るだけ他の子と同じ年齢で入学したいしね。
ただでさえ平民出なのに年齢も違かったりしたらかなり肩身狭そうだし。
「父さん、母さん、俺冒険者になろうと思うんだ。だから家を出ていくのを許してほしい」
「なんだ突然、その話なら半年ほど前に聞いたじゃないか。そもそも明後日出発だろうが」
そう、半年前にこの話を出した際この父親あっさり許可だしやがった。あまつさえお前いなくなるから生活苦しくなるし、仕送りくれよとかほざきやがった。
そんな茶番をしているとフリッツ兄さんが近づいてくる。
「ハルトは小さいからなぁ、ギルドで舐められないか心配だ」
「フリッツ兄さんは身長高いからいいよね、顔は父親似だけど」
「ハルト、言っていいことと悪いことがあるんだぞ」
「おい、フリッツどういう意味だ」
「母似がよかったってことだよ。そうすればもっとモテたのに」
「この顔で母さんと結婚できたんだからお前がモテないのはお前が悪いんだぞ!」
まったくこいつら醜い(顔含む)言い合いしやがって。まぁぶっちゃけ普通の顔なんですけどね。
ただそれに比べると母が美形ってだけで。そんな母に似たのが私です。顔も背もな!
兄は170超えてる(たぶん)というのにまだ125cmそこそこという俺。
4歳差なのに身長の差がやべぇ!こ、これから伸びるし(震え声)
「けど、ハルトがいなくなると本当に寂しくなるわ。主に食卓がだけど」
母さんお前もか。一瞬感動しかけたわ。2,3年くらい楽勝だろ、結構貯えあるの知ってんだからね。
「ハルト、お前もう準備は済んでいるのか?」
「大丈夫だよ父さん。持っていくものとかほとんどないし」
ほんと、お金と身一つでいいくらい。持っていくって言ってもナイフに物を入れる袋くらいか。これくらいなら向こうでもすぐ買えるし。
お金だけど単位はマニで
銭貨= 10マニ ≒ 10円
銅貨= 100マニ ≒ 100円
大銅貨= 500マニ ≒ 500円
小銀貨= 1000マニ ≒ 1000円
銀貨= 5000マニ ≒ 5000円
大銀貨= 10000マニ ≒ 10000円
金貨= 100000マニ≒ 100000円(10万)
白金貨= 10000000マニ≒10000000円(1000万)
だいたいこんな感じ。
安い宿なら小銀貨1枚で一泊して夕食も付くとのことです。
そして出発の日、月に一回来る行商人のお兄さんの馬車に乗せてもらうため、お兄さんの用事が終わるまで馬車の横でボーっとしてると如何にも冒険者というようなワイルドなお兄さん達に話しかけられた。
このお兄さん達、馬車の護衛をしているらしい。
「お前が冒険者登録をするために街までいくってガキか?」
「あ、はい、そうです。街までよろしくお願いします」
「やたら丁寧に話すガキだな。まぁそんなにかしこまらなくていい。行商の兄さんのついでだからな。しかしそんなナリで冒険者なんてできんのか?」
「まぁ、これでも一応魔法が使えますから」
「ほぉ、そいつは珍しい、魔術師か。その年で大したもんだ」
「まだ大した魔法は使えないですけどね。それよりこれから行く街ってどんなところなんですか?」
「ああ、森に囲まれた街さ。周りにいるのはゴブリン、ウルフ、森の奥にいくとオークにたまに会うって感じだな」
え?森に囲まれてるの?危なくない?警備とか大変そう。
「まぁ森に囲まれてるっつても街自体はでかい壁で守らてるからモンスターの侵入なんてまずないぜ。壁で覆われてるから壁都市サチラハヤと呼ばれてる」
「へぇ、楽しみです。壁の高さはどれくらいなんですか?」
「確か・・・だいたい7メートルくらいだったはずだ」
そんな話をしていると行商人のお兄さんと家族がやってくる。
いよいよ出発の時が来たみたいだ。
「じゃあ父さん、母さん、兄さんそろそろ行くみたい」
「ああ、無理するなよ。年に一度は帰ってこい」
「行ってらっしゃい。すぐに諦めて帰ってきてもいいんだからね」
「元気でな。お前のことだから大丈夫だろうが、父さんの言った通り無理するなよ」
馬車が動き出し徐々に家族の姿が小さくなっていく。それでも母さんと兄さんはずっと手を振り続けてくれている。
あ、だめだこれ結構涙腺にくるわ。涙目になりながら家族に向かって自分も手を振り続ける。
「行ってきます」
いつもご視聴ありがとうございます。
なんとか本日中に間に合いました。次回から冒険者編になります。
会話を書くのが難しすぎる・・・。これから登場人物増やしていこうと思ったけど大丈夫かなこれ。