第2話 階段と怪談
死亡宣告してきた保健室の先生は構わず話を振ってくる。
「落ちたとき走馬灯のショボさ以外に気になることはなかった?」
死体蹴りしないでくれ。
「例えば何かが動いたとか」
「んー」
「空気が重かったとか」
「んー?」
「誰かがいたとか」
「あ!」
思い出した。
ガシッと足をつかまれた様な感覚が確かにあった。
そうだ、走馬灯の最後に気になっていたことだ。
「ふーん、足をね」
保健室の先生は少し考え込むような表情を見せたあと、声のトーンを落として聞いてきた。
「君、この学校の怪談って知ってる?」
校舎に西日が差すとき
2階と3階をつなぐ階段が
1段増えて13段になっている
「内容としてはただそれだけなの。
特に被害が出ているわけでもない。
あれ、なんかいつもと違う、
すっきりしない感じが気持ち悪い、
くらいの学校に何個かある怪談のうちのひとつよ」
淡々と保健室の先生は教えてくれた。
確かに西日は差していたかもしれないし、場所も階段だ。
でも1段増えたかなんて気にも留めなかった。
というより・・・
「だから所詮その程度の怪談なのよ。
でも足をつかまれた、と。
これはどういうことなのか。
ちょっと確かめに行こう」
いきなり保健室の先生にガシッと腕をつかまれベッドから引きずり降ろされた。