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セーラー服と機怪獣《S.O.S-2》  作者: EBiTAKOS(えびたこ)
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宇宙屋形船「かわずおとし」vs巨大機怪獣軍団

ついに宇宙屋形船「かわずおとし」が敵の本拠地へ向かいます!

いったいどうなるのでしょうか……。

それはともかく、敵のサイズってどうやって決めるのでしょうか?

前作:スペースおいらん騒動 ~忍者vsメイド~ もよろしく!

https://ncode.syosetu.com/n2329hr/

5.宇宙屋形船「かわずおとし」vs巨大機怪獣軍団




 ヤーホン城を後にした宇宙屋形船「かわずおとし」は通常使用のV8型反重力エンジンで垂直上昇してから高速飛行に移り、川の上流にある敵の本拠地を目指していた。そんな中でソラがレーダーの異変に気付く。


「レーダーになにか大きな物体が出ています。川の中で高さ30m程、数は5つ」


「マジか、主砲通常弾装填、発射準備」


「もう準備しています、そろそろ見え……あっ!」


 久々に小百合の指示の前に仕事をしたと思ったソラだったが、目の前に現れたその物体を見て驚く。


「なんだよ、デケえワニもいるのかよ」



 コクピットの中から見えたのは身長30m程の二本足で立つ巨大なワニ兵士のであった。巨大ワニ兵士5匹は腰まで川に浸かり、剣を振り回しながら歩いて来た。


「チッ、1匹ずつ片付けるしかないか。佳、とりあえず通り抜けで行くぞ。主砲制御こっちで貰うから、ソラは一応反重力バリアの用意をしといて!」


 そう言いながら小百合は、元は監視小屋だった所に設置されている主砲の発射準備をした。以前はコタツのアレのようだったコントローラーは、左手が360度回頭制御用のダイヤル、右手に上に3ボタンがついたジョイスティック形状となった。小百合の目の前のモニターは左右の手の動きに自動追従する。


「初弾、通常弾発射!」


 小百合はワニ一匹に向けて主砲の三門のうち一番左から弾頭を発射した。反重力で押し出された弾頭は超音速で巨大ワニ兵士の腹に突き刺さり、爆発した。ワニは上半身と下半身に分かれ、上半身が川に落ちる。


 佳の操縦で「かわずおとし」は残ったワニの頭の上50m上空を飛び越えて180度回頭し、その度に主砲を撃つ。横切る時にソラがちょうちんレーザーを試したが、レーザーでは片側12門を集中させてもワニの機械の体を覆う表皮を焼き、内部の鉄板を少し切るのがやっとだった。人間サイズのワニと違って、かなり肉厚のある鉄で作られているようである。


 それでも5回の往復飛行でワニを全て倒すコトには成功した。だが、敵の戦力はそれだけではなかった。ソラのレーダーには多数の巨大な物体を現すマークが出ていた。



「今度はカメか。デカいカメは色々とヤバイだろうが!」


 今度は、身長50mはある二本足で立つ巨大なカメの兵士が、これも巨大な槍を両手に持って二本足で立って5匹現れた。カメは「かわずおとし」に向けてその巨大な槍を投げて来る。


「反重力バリア展開、ヤリを弾け!」


 「かわずおとし」は、元々はスイングバイ・ワープ中の宇宙デブリ対策のものである反重力バリアを前部に展開した。光を超える速さのデブリを反重力で跳ね返すそれは、カメの投げる巨大な槍をも跳ね飛ばす。


「よし、こいつらも始末するぞ」


 そう言って小百合は主砲を撃つ。最初のカメは首元に直撃して頭が飛んだ。頭を失って崩れ落ちたカメ。だが他のカメはその攻撃から川にうつぶせになり、手足と頭をひっこめた。小百合は通常弾を撃つが、川に浮き出た巨大な甲羅には通常弾では焼き跡をつけるコトしか出来ない。


「クッソ、もうアレ使わないとダメか。徹甲弾でいくぞ!」


 小百合はコントローラーの間にあるキーボードを操作して、主砲の一門にゲーン博士が作った新しい徹甲弾を装填して発射した。反重力によって音速を超えて放たれた徹甲弾はカメの甲羅に突き刺さり、着弾した甲羅を割った。割れた甲羅に通常弾を叩き込むとカメの内部で爆発し、カメの頭と手足が同時に吹っ飛んでいった。


「ゲーン博士、やるじゃねぇか。いい徹甲弾だ!」


 つぶやくと同時に小百合は徹甲弾を他のカメに放っていった。もちろん佳の操船は小百合の考えを読み取り、反重力バリアを有効に使いつつ、カメの甲羅を狙いやすい位置を保つ。50mのカメの甲羅は当たる場所次第では一発では割れなかったために、徹甲弾は8発ほど使うコトとなった。


「あんまり徹甲弾を減らしたくないが、しょうがなかったな」


 小百合はモニターに映る徹甲弾の残弾が気になった。新型の徹甲弾は25発しか積み込んでないので、残り17発。巨大カメが連続して襲ってくると厳しい戦いとなるのだ。とりあえず甲羅に開いた穴に通常弾を打ち込み、5匹の巨大カメ兵士を全て破壊した。



 次に「かわずおとし」の前に立ちはだかったのは身長50m程の二本足で立つ巨大なカメレオンの兵士5匹だった。両手に剣を振り回すが、もちろん「かわずおとし」には届かない。


「佳、きっとアレ伸ばしてくるから気をつけろ!」


 小百合の言葉に反応したように、カメレオンは口を開けて舌を高速で伸ばしてきた。佳も予測していたのだが、舌は佳の予測を超えて200m程も伸び、「かわずおとし」のバリアを避けて船底に張り付いた。砲撃とバリアに反重力を使っているため、通常エンジンではなかなかその舌を外せない。「かわずおとし」はカメレオンと綱引きのような形になる。


「ソラ、ちょうちんレーザーでアレを焼き切れ!」


 ソラがちょうちんレーザーをカメレオンの舌に集中して焼く。舌の素材はレーザーでかろうじて焼き切れるものだったので「かわずおとし」は綱引き状態から離脱した。「かわずおとし」はカメレオンの舌15mを船底にくっつけたまま飛行した。


小百合がカメレオンの頭部に向けて主砲から通常弾を放つと、カメの甲羅とは違いカメレオンの頭部はあっさりと爆散して、体は川に倒れた。「かわずおとし」は執拗に迫って来る他の4匹の舌を避け、距離をとりながら同様に頭を撃ち飛ばしていった。



「くっそ、流石にもういないよな」


小百合が言ったと同時に今度は川から身長50m程の二本足で立つ巨大なウミイグアナの兵士が5匹現れた。ウミイグアナは大きな岩を持ち上げて「かわずおとし」に向けて両手をぶんぶん振り回して投げて来た。


「ちょっと待て、岩は反則だろう」


「面倒で近づけないナ」


「とにかく主砲で叩く!」


 小百合は通常弾を1発、手近なウミイグアナに放ったが、ウミイグアナの皮が焼けるだけだった。結局は徹甲弾を使ったが、1匹あたり3発を必要として15発、徹甲弾の残弾は2発だけとなった。徹甲弾で出来た裂け目を狙う通常弾も3門同時発射でようやく1匹と、ウミイグアナはとにかく硬い敵であったが、全て川の藻屑と成り果てた。



「ふう、ソラ、まだデカイのいそうか?」


「前方20kmくらいの位置に敵の基地かなにか…って今度はヘビですか、アレ?!」


 ソラが指さした方向にはとぐろを巻いて頭を持ち上げた、超巨大なヘビのような構造物があった。小百合とソラの後ろのシートで戦闘中ずっと震えていたゲス夫とケロ太はヘビの姿を見てついに泡を吹いて失神した。


とぐろの直径で500mはありそうな超巨大で白い皮を纏ったヘビは、しかしボロボロで、色々な部分から内部の機械や配管に配線が飛び出していた。小百合は通常弾を何発かヘビのとぐろに発射したが、壊れて爆発しても反応しなかった。


「こりゃもう動かないのかな?佳、あの裂け目から中に入ってみるか」


「そうだナ、調べてみるカ」


「危険ですよ、それはやめたほうが」


 失神していたハズのゲス夫が真剣な顔で言う。


「確かに危険だが、しかし何もしないワケにはいかないだろう。ワニを止める必要があるし」


 小百合が答える。


「わ、私もヘビの中に?」


 ソラが恐る恐る小百合に聞く。


「お前は今回も留守番。また囲まれていたらココに置いていくからな、敵が現れたらしっかり弾幕張れよ!」


「アッハイ」


 ソラとしては謎のヘビの中に入るのは嫌だったのでホッとした。本業の諜報活動に参加出来ないのも少し無念なのではあるが。


「でも、絶対やめた方がいいです、危険すぎます。戻りましょう」


 ゲス夫が脂汗を顔に浮かべながら再度言う。


「じゃあ村や森の小さいワニはそのまま動かしておいていいんだな?」


「いや、それは……ならば、私も中に連れて行ってください!」


「ダメだ。今回の敵は危険だから、一応は武芸の心得があるソラも連れていけない状況だぞ。ゲス夫に私や佳くらいの武力があるならいいが、正直足手まといだ」


「そ、それは……」


 必死に止めに入ったゲス夫だがここで観念する。さすがに自分に小百合や佳と並ぶ強さがあるなど、口が裂けても言えない。



 ソラの操船で「かわずおとし」は超巨大ヘビの近くに降下し、小百合と佳は梯子から地面に降りた。レーダーで近辺にワニの兵士がいないのは確認したが、内部は確認していない。二人はいつも使っている宴会用のペンライトを白く光らせて、大きな裂け目からヘビの中に入った。


「なんだ、コレは。ワニだらけじゃないか」


 小百合がつぶやく。ヘビの中は人間サイズなワニの兵士の格納庫だったのである。ジェットコースターの安全バーのようなもので格納装置に固定されたワニが通路の両側にずらりと並んでいた。電源配線が切れているようで、見える範囲のワニはただのカカシとなっている。



 最初に近かったヘビの尻尾あたりまで行ってから、とぐろの真ん中に向けて小百合と佳は反時計回りに歩いて行った。途中、何個か外に繋がるハッチが開いており、ワニが多数いない部分がいくつかあった。佳は開いた格納装置を数えてメモ帖に記入して行った。外に出たワニの数を確認するためである。外に出たと思われる数は80匹。いままで倒したワニから考えると残りは20匹と考えられ、小百合が思っていたよりは少なかった。


 ぐるぐると歩き、とぐろの真ん中のほうに行くと、とぐろのように見えて実は繋がっていた巨大なホールのような空間があった。そこには巨大兵士の格納庫で、壁側に20匹分の格納装置があった。巨大な兵士は川で破壊した20匹で全てだったようだ。ホールの端にはエレベーターがあり、恐る恐る小百合と佳がそれに乗ると、乗った瞬間にエレベーターは自動的に上昇した。


「チッ、罠だったかなコレ。もう敵には見つかってそうだな。映画とかだと点検口から上に登るトコだけど、このエレベーターにはそんな点検口はなさそうだな」


 エレベーターには上と下の二つのボタンしかなかった。あとは梨地の金属だけの箱である。二人はエレベーターの扉の両サイドに身を隠した。


『チーン!』


 やや古めのベルの音と同時にエレベーターの扉が開いた。小百合は左ストレートを振りかぶり、佳は左手の親指で5mm程刀を軽く鞘から浮かし、居合の準備をする。だがしかし……。




「こ、言葉は……に、日本語はわかりますか?」


 エレベーターの扉の向こうにはボロボロの白衣を着た老人が立っていた。下にこれもヨレヨレな緑色のポロシャツとグレーのスラックスを着た、肩までの長さの白髪とヒゲぼうぼうでヒビの入った銀縁メガネ、雪駄履きで痩せた日本人の老人である。


「ニ、ニホンゴワカリマスヨ!」


 戸惑った小百合はボロボロなニセ日本語のイントネーションで答えてしまった。まさかこんなカエルと爬虫類だらけの世界に日本語を話す老人がいるとは思わなかったのだ。


「爺さん、なにものだヨ」


 佳がそういうと老人は笑顔で、しかし涙をこぼしながら白衣のポケットから革製の名刺入れを取り出し、一度濡れたような跡のあるボロボロの名刺を差し出した。小百合が受け取った名刺にはこう書かれていた。


『(株)日本エンターティンメント・ロボ・デベロップメント(NERD) 開発部 レプタイル開発主任 蛇沼英夫(Ph.D.)』




~つづく~


ついに敵の正体が!

この敵はいったい何者なのでしょうか?

なんにしろ会社の名前を決めるのが大変でした。

ラストが近いようですが、もう少しこのボンクラ冒険談は続くのです。

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