表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/220

5 帰宅

 すっと身体が重くなったような感覚。

 視界を覆っていた光が徐々に薄れ、良く晴れた森の景色が見えてくる。

「ソウタ殿! おかえりなさい」

「おかえりなさいませ。ソウタ様」

「おかえりなさいませ!」

 声が聞こえた方に視線を向けると、アラベスとマイヤーとフォルデンさんが立っていた。

 ……どうして、フォルデンさんは僕に敬礼してるんだろう? 顔色は良くなったみたいだけど。


「ただいま〜。待たせちゃってごめんね。みんな、大丈夫だった?」

「はい。特に何事もなく、無事に過ごしていました」

「周囲を軽く調べましたが、アンデッドの気配は完全に消えたようです」

「それじゃあ、ルハンナの街に帰ろうか」

 自分の出番を察したのか、肩に止まっていたトパーズが開けた場所へと飛んでいき、ロック鳥の姿に変身する。


「それではソウタ殿。私はこの辺りで……。また、お会いできる日を楽しみにしています」

「あっ、グリゴリエルさん! いろいろ、ありがとうございました」

 僕が地面に降りると、足元で光っていた魔方陣がすーっと消えた。

 横に立っていたタキシード姿の天使がふわりと浮き上がり、そこから滑らかに速度を上げて、青空の彼方へと飛んでいく。

 ……帰りは転送魔法を使えないのかな?

 次に会う時まで覚えてたら、わざわざ飛んで帰った理由を聞いてみよう。


「ソウタ殿。その指輪は……?」

 声をかけてきたフォルデンさんはひどく驚いた表情で、僕の左手をじっと見つめている。

「これは、魔法の女神にもらいました。災いから守る力があるので、ずっと着けておくのが良いそうです」

「つまり、女神の指輪……? 本当に女神と会われたんですね⁉」

「あっ、はい。女神と会って話をして、それから……。いろいろあったんですけど話してると長くなるので、続きはトパーズの背中で良いですか?」

 結局、浮島でグリゴリエルさんやレムリエルさんと話をしてたのは、一時間ぐらいだったのかな?

 その後、話の流れでトパーズとオニキスを披露することになって、帰るまでにもう少し時間がかかったけど。

「はい。了解しました!」

 フォルデンさんの瞳がキラキラしているのが気になる。

 まるで、憧れのスポーツ選手に会った少年みたいだ。

 僕を待ってる間に、マイヤーとアラベスが何かしたのかな……?


         ☆


 トパーズに乗り込んでルハンナの街へと向かう。

 上空からの景色を眺めながら、このあとの予定について打ち合わせ。


 激しい運動をした訳でも無いのに……。どうしてだろう?

 とにかく妙に疲れたので、可能であれば、今日中に屋敷まで帰って自分の部屋でゆっくり休みたいこと。無理なようならルハンナの街で宿を取って、早めに寝たいことを三人に伝えた。


 伯爵とやりとりする元気も残ってないので、申し訳ないけど、ゴーレム退治の報告はアラベスとフォルデンさんに任せた。

 僕も城に行って、顔を見せる必要はあるだろうけど、細かい説明は二人でどうにかしてもらおう。

 マイヤーには、屋敷で待っている人たちへのお土産をお願いした。


 天使や女神に関する話は、口止めされた訳じゃないけど……。あまり広めない方が良いような気がする。

 どうやら、この件に関してはフォルデンさんも同じ意見のようだ。

『千年闇の森が晴れた後で、空から降りてきた天使に祝福された』

 そんな感じで天使に会ったことは報告して、僕が女神に会いに浮島まで行ったことは、隠しておくことにした。


 話の流れで、浮島での出来事を軽く話しておいた。

 魔法の女神がスーツ姿だった話。

 メイド服の天使にお茶を出してもらった話。

 春の女神に会うために、また今度、浮島に行くことになった話。

 浮島の広場で、トパーズとオニキスが変身した姿をお披露目した話。

 白の女神や女神の使徒の話は……。どうしようか迷ったけど、ここでは秘密にしておいた。


 驚きすぎて悟りを開いたのかな?

 僕が何をしても驚いて、天使を見た時は号泣までしてたフォルデンさんが、浮島での話を最後まで落ち着いて聞いてくれた。

 見た目はベテランの神官戦士っぽいし、この反応が普通なのかも。

 この調子なら、伯爵への報告を任せても大丈夫そうだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ