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伝説の英雄に召喚されたゴーレムマスターの伝説  作者: 三月 北斗
第八章 バラギアン王国 野良ゴーレム討伐戦
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6 伯爵の城へ

 いつものように、街から離れた場所でトパーズを降りて、のんびり歩いて街へと向かう。

 歩きながら聞いた話によると、街の名前は『ルハンナ』で良いらしい。

 昔は別の名前だったけど、ほとんど人が住んでない時代が長く続き、そこから街を再建したのが、ルハンナ伯爵の先祖に当たる人物だそうだ。

 湖と城しかなかった場所に街を作り、南東地方全体を発展させて、当時の魔王から伯爵に任命された、と。

 その、初代ルハンナ伯爵も女性だったの?

 すごい女性が居たんだな……。


 雲一つない青空。街道を行き交う荷馬車や荷物を担いだ人たち。

 大きいだけの街ではなく、交易も盛んなのだろう。ルハンナの街へと向かう人も街から出てくる人も、それなりの数が居るようだ。

 街道沿いに四角い頑丈そうな建物が建っていて、衛兵らしき人が通る人をチェックしていたけど、アラベスが認識票を見せただけで、僕たちはあっさり街に入ることができた。

 ダイヤモンドランクの認識票が効いたと言うより、よっぽど雰囲気がおかしい人以外は誰でも入れるみたいだ。


 お腹も空いてきたことだし、目に付いた店に入って昼ご飯。

 混雑している時間帯は『メニュー』と言っただけで、日本で言う、日替わり定食みたいな料理が出てくるシステムにももう慣れた。

 中身がわからない料理はマイヤーに教えてもらうし、支払いについても相変わらずお任せだけど……。前よりは慣れたと思う。

 焼きたてのソーセージが美味しかったです。

 ビールが欲しくなったけど我慢しました。


 古いゴーレムの調査で、何年か前にもアラベスは、この街に来たことがあるそうだ。冒険者ギルドの支部にも、問題なく案内してくれた。

 ここで詳しい話を聞いて正式に依頼を引き受ければ、後はゴーレムを退治するだけ。

 そう、思ってたんだけど——

「ルハンナ伯爵との面会……?」

「申し訳ありません。誰かがゴーレム討伐の依頼を受けに来た時は、その者を城に寄越すように、伯爵から指示されているようで……」

 手続きを任せていたアラベスが僕のところに戻ってきて、いかにも申し訳なさそうな表情で説明してくれた。

 アラベスの後ろに立っている眼鏡の男性は、ギルドの職員かな?

「馬車を用意してありますので、こちらにお越しください」

 ギルドの職員らしい男性が、僕に話しかけてくる。

 マイヤーも含めて三人で、パーティを組んでると認識されたようだ。

「これから、すぐ行くの? ……こんな服装で良いのかな?」

「伯爵の要請で城に行くのですから、問題ないと思われます」

 僕の疑問に答えてくれたのは、マイヤーだった。

 まさか、伯爵と会うとは思ってなかったから、ディブロンク伯爵の城を訪れた時と違って、いつもの村人っぽい服装のままだ。

 念のために訪問用の服も、マイヤーに持ってきてもらったけど……。

 着替える場所も時間もなさそうだし、諦めるか。


 ……僕はここで待ってるから、アラベスとマイヤーの二人だけで行ってもらうのはダメかな?

 ちらっと横を向いて、二人の表情をさりげなく伺う。

 それだけで僕の考えが伝わったのか、二人は同じタイミングで、首を小さく横に振った。

 やっぱり駄目だよね……。

 偉い人と会うのは気が重いけど、ここで断ったら、依頼の話はなかったことになるんだろう。たぶん。

 わざわざここまで来たんだし、仕方がないか。

「それじゃあ、行こうか……」


         ☆


 トパーズの背中から見た時は気が付かなかったけど、丸い湖の南側から中央の城へと、低い橋が架かっていた。

 日差しを受けてキラキラと輝く水の上を、馬車で走っているような感覚。

 馬車が進むにつれて、古い城が大きく見えてくる。

 ディブロンク伯爵の城と同じぐらいの大きさかな?


 城の正面にある門の前で馬車から降りるように言われ、そこから先は、若い男性の執事が案内してくれた。

 豪華なシャンデリアのあるホールを抜け、広くてゆったりした作りの階段を上り、分厚い絨毯の敷かれた廊下を進む。

 執事が歩く速度に合わせて、廊下の先にある大きな扉がゆっくり開き、そのまま僕たちは、広い部屋へと通された。


「ルハンナ伯爵。ゴーレム討伐の依頼を受けに来た冒険者をお連れしました」

「ご苦労」

 小学校の教室ぐらいの部屋で、奥の方が何段か高くなっている。

 段の上には豪華な椅子が置いてあって、ドレス姿の女性が座っていた。

 ……お城って、こういう部屋があるのがお約束なのかな?

 マルーンと会ったのも、良く似た作りの部屋だったっけ。


「あなたが、鉄の巨人を操るというソウタ殿ですね? 話を聞いた時はとても信じられなかったのですが……。本当の話だったとは……」

「……えっ?」


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