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1 引っ越し

 オニキスとガーディアンが戦った日。

 トパーズに乗せてもらって、その日の内にマルーンの城へと帰った。

 お土産に買ったお菓子とお酒は、どちらも気に入ってもらえたようだ。

 ディナーの席ではアラベスがオニキスの活躍を熱く語り、マルーンやユーニスが興味深そうに聞いていた。


 次の日から、僕は特にすることもなく、ルビィたちと遊んだりユーニスに魔法を教えてもらったりしてたんだけど、マイヤーはメイドの仕事をしながら引っ越しの準備もすることになって大変だったらしい。


 数日後。家の準備が整ったと連絡が入り、引っ越すことになった。

 僕の荷物は持ってきたリュックと、マルーンに手渡された鞄だけ。

 鞄の中には、僕に合うように選んだ服が何着か入っているそうだ。

 手持ちの服が、この世界に来たときに着てた服と、ベレス村でもらった服の二着しかなかったから、素直にお礼を言って受け取っておいた。

 アラベスも手持ちの荷物は同じようなものだったけど、移動の途中で僕たちと別れて、借りている部屋に帰って荷物を整理して、新しい家に後から合流する予定らしい。

 ユーニスも同じようにするのかと思ったら、急いで調べないといけないことがあるので、マルーンの城に残ることにしたそうだ。

 一ヶ月ほど遅れるかもしれないけど、引っ越し先にはちゃんと行くので心配しないようにと、熱く語られた。

 ……そんなにトパーズに乗るのがイヤなのかな?

 妖魔の森を歩いて移動するより、ずっと安全で楽だと思うんだけど……。無理強いすることでもないし、素直に到着を待つことにしよう。


 準備が大変だと言ってた割りに、マイヤーの荷物は多くなかった。

 リュックが一つと大きめの旅行鞄が一つだけ?

 不思議に思って聞いてみたら、小さく縮んで運びやすくなる魔法の箱をマルーンに貸してもらったそうだ。

 ……中に入れた荷物も小さくなるの? 重量まで軽減してくれる?

 パソコンでファイルを圧縮する感じかな? すごく便利そう。

 暇なときにでも、同じようなものが自分で作れないか試してみよう。


 見送ってくれたユーニスやマルーンやパーカーに手を振って、僕たちは雪に覆われた城をあとにした。

 大きくなったトパーズに乗って、まずは妖魔の森のゲートへ移動。徒歩でゲートを通ってイムルシアへ。

 特に驚くようなことも無く、二度目のゲート通過。

 なんだか、この世界に慣れてきた感じが……。気のせいかな?


 借りている部屋がイムルシアの首都にあるそうで、アラベスとはここで別れた。

 あまり目立たないように、ゲートから離れた場所でトパーズに乗って、僕とマイヤーは新居へ移動。まっすぐ東に向けて飛んでもらう。

 馬車だと途中で一泊しないといけない距離らしいけど、トパーズはまだまだ元気そうだし、問題ないだろう。

 マイヤーと二人っきりになって少し緊張したけど、景色を眺めたりルビィの背中を撫でたりしている間に、新しい家が見えてきた。



 ……これが、今日から僕が住む家? 貴族のお屋敷じゃなくて?

 マルーンが用意してくれた家は、思ってたよりずっと大きかった。


 深い森に囲まれた、三階建ての洋館。

 上空から見ると漢字の『凹』みたいな形で、白い壁と灰色の屋根が夕日を浴びてキラキラと輝いている。

 建物の周りは綺麗に整地して芝生が植えてあり、建物の後ろは少し先で崖になっていて、その先には波の穏やかな海が見えた。


 近くに森があって、海が見える家をリクエストしたのは確かだけど……。こんなに立派な家に、僕なんかが住んで良いの?

 念のために確認したけど、マイヤーの説明によると、これでもマルーンが持っている家の中では小さい方らしい。

 これより大きい家なんて、想像できないんだけど……。

 いろいろと気になるところはあったけど、いまさら駄目とも言えなくて、立派な屋敷に住むことになった。


 到着する時間を連絡してあったのかな?

 執事服を着た男性やメイド服姿の女性など、使用人らしき人が屋敷の前で整列してたけど、降りてくるトパーズを見てびっくりしてた。

 早めに慣れてもらった方が良いって、マイヤーは言ってたけど……。これから先もトパーズで移動することはあるだろうし、慣れてもらうしかないか。

 ……オニキスを見せたらもっとびっくりするかな?

 いきなり、そこまでするのは悪いか。また今度にしよう。


 そんな感じで引っ越しを終えて、何日か過ごしてみて……。新居での生活にも慣れてきたと思う。たぶん。


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