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7 猫耳冒険者との再会

 週に二回ぐらいのペースでラーメン屋に通って、気になっていたラーメンとサイドメニューを一通り味わった。


 濃厚なスープが細麺に絡む豚骨ラーメン。

 あっさりしたスープで食べやすい醤油ラーメン。

 昆布だし(?)のスープに野菜がたっぷり入ってる塩ラーメン。

 バターとコーンが良い味を出している味噌ラーメン。

 ……ラーメンを作るために味噌も再現したのだろうか?


 トッピングのメンマや煮卵やチャーシューも美味しかった。サイドメニューの餃子も美味しかった。

 一緒に行ったマーガレットやユーニスたちは、ビールやポテトフライも気に入ったみたいだ。

 細い腰のどこに入るのか不思議なほど、毎回がっつり食べていた。


 マイヤーは珍しい料理を食べて刺激を受けたのかな?

 僕の屋敷にある設備と食材を使って、ラーメン屋で食べた料理をいくつか再現してくれた。

 餃子と唐揚げは、ラーメン屋にも負けないぐらい美味しかった。


 ラーメンそのものの再現もがんばってたけど、麺はどうにかなってもスープの味わいを再現するのは難しかったみたいだ。

 僕も何回か試作に付き合って、牛肉がたっぷり入ったビーフシチューっぽい味付けのラーメンが完成した。

 ラーメンと言うより具だくさんの肉うどんっぽい雰囲気に仕上がってたけど、これはこれで有りだと思う。

 すごく美味しかったです。


         ☆


 ラーメン屋がある国の名前はヤーナック王国。町の名前はリンダロド。

 この辺りは昔から獣人族が多く暮らしている地方のようで、猫耳とか犬耳とか狐耳とか兎耳とか、様々な種族の人が自然と目に入る。

 お腹いっぱいになるまでラーメンを食べた日は、腹ごなしの散歩という理由でリンダロドの町をふらふら歩くことが多いんだけど、半分ぐらいは目の保養を兼ねてるかも。



「ソウタ様! マーガレット様!」

「……えっ?」


 美味しいラーメンを食べた日の午後。

 今日はユーニスとアラベスが冒険者ギルドに用事があるとかで、一緒に来たのはマーガレットとマイヤーの二人だけだ。

 三人で町の中央にある教会の周りを散歩していたら、いきなり獣人族の女性から名前を呼ばれた。


 柔らかそうな灰色の髪。可愛い猫耳。服装からして冒険者の人かな?

 人間の女性で言うと二十代後半ぐらいに見える。

 ベリーショートの髪型がよく似合う美人さんだ。

 ……どこかで会ったことがある気がするけど、どこだっけ?

『ギノテリウムと戦った時にマスターが召喚魔法で助けた女性です』

 自力で思い出すまでもなく、リンドウが答えを教えてくれた。


「あー……。前に魔獣を見に行った時の……。確か、名前は……」

 戦いが終わった後、軽く挨拶してから帰った覚えがある。

 その時に名前も聞いたはずだけど——

「エリザです。危ないところを助けていただいたのに、あの時はちゃんとしたお礼も出来ず、申し訳ありませんでした」

「あなたが気にすることはないのよ。あれはソウタ君が助けたいと思って助けただけなんだから」

「みゃあみゃあぁ〜」

 ずっと僕に抱っこされたままで眠そうにしていたルビィが、何故か急に可愛い声で鳴いた。


「でも、命を救っていただいたのは事実ですから、恩返しをさせていただきたいのですが……。わざわざこんな田舎町まで来られたのは、特別な用事があるからですよね? 私にお手伝いできることはないでしょうか?」

 ギノテリウム討伐に参加してたんだし、この女性はダイヤモンドランク上位の冒険者なんだろう。マーガレットが相手でも怖じ気づくこともなく、普通に話をしている。

 見た目には大人の女性っぽい雰囲気なんだけど、ぴょこぴょこ揺れる耳や後ろでゆらゆら揺れている尻尾が可愛い。


「そう言われてもねぇ。私たちはラーメンを食べに来ただけだから、特に用事なんてないし……」

「エリザさんはこの辺りの出身なんですか?」

「はい。ここから少し南にある村の出身です」

「この町のことで教えて欲しいことがあるんだけど……。質問させてもらっても良いかな? 時間は大丈夫?」

「もちろん大丈夫です! 何でも聞いて下さい」


 最初にトパーズの背中からリンダロドの町を見た時から、ずっと気になってることがあった。

 この近くの村出身なら、何か知ってるんじゃないかな?


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