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伝説の英雄に召喚されたゴーレムマスターの伝説  作者: 三月 北斗
第十七章 魔獣警報レベル4
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8 専属メイドの日記

◯10月16日(火曜日)

 今日はソウタ様とマーガレット様による、魔獣討伐にお供しました。

 朝早くに屋敷を出たので飛んでいるトパーズさんの背中で朝食をとることになったのですが、私が作ったサンドイッチを、お二人とも美味しそうに食べてくださりました。

 夜のうちに具材を用意しておいて良かったです。


 ルビィさんには鶏肉を使ったシンプルなサンドイッチを用意したのですが、こちらは味付けが薄すぎたようです。

 屋敷の料理人と話し合って、最近は普通の猫に与えるような食事をルビィさんに出しているのですが、ソウタ様と同じものを食べたいと、ソウタ様経由でルビィさんからリクエストされました。

 その日の気分次第で豹に変身したり分身したりするルビィさんを、普通の猫のように扱うのが間違いだったのでしょう。

 明日にでも料理人を集めて、情報を共有しないといけません。


 良い機会なのでトパーズさんの食事についても、何かリクエストがないかソウタ様に聞いてもらいました。

 特に好き嫌いはない。出されたものを食べる。

 お腹が空いた時は自分で獲物を捕らえて食べる。

 自分の食事よりソウタ様の食事の方が大事、など。

 ソウタ様経由で聞いた話をまとめると、ソウタ様さえしっかりご飯を食べていれば、トパーズさんは食事をとらなくても生きていけるようです。


 ……この解釈で間違いないのでしょうか?

 今思えば、オニキスさんやリンドウさんやヒイラギさんに食事を用意したことはありません。

 ゴーレムの皆さんは、何も食べなくても生きていけるのでしょう。

 深く考えるまでもなく、それが当たり前だと思っていました。

 実はルビィさんやトパーズさんもオニキスさんたちと同じ?

 ご飯をおねだりしてくるのは、ソウタ様と同じことをしたいだけ?

 ……いろいろと疑問が残りますが私はソウタ様の専属メイドとして、これからも同じように皆様のお世話をしたいと思います。



 現地に到着して、まずはお茶を飲める環境を整えました。

 こんな時のために、冬の城から持ち運び用の茶道具一式を借りています。

 夜のうちにお茶やお茶菓子を用意しておいたのも正解でした。


 最初の話では、ダイヤモンドランク上位の冒険者による魔獣討伐を見学する予定だったのですが、ソウタ様に良いところを見せるチャンスをマーガレット様が見逃すはずがありません。

 マーガレット様が討伐に参加するのは予想していました。

 ルビィさんがやる気になったのも、想定の範囲内でしょう。


 ギノテリウムに捕まった冒険者を、ソウタ様が召喚魔法で助けたのはびっくりしましたが……。その場で指定した人物を強制的に転移させるのは、召喚魔法の範囲を超えているのではないでしょうか?

 ソウタ様はトパーズさんの視界を借りて、遠くの景色を見ることができると聞いた覚えがあります。

 だとすると、遠くに居る人物をトパーズさんの視界で特定して、自分の居る場所に召喚することも可能なのでは?

 転送魔法とは違った意味で、この魔法が広まるのは危険な気がします。

 マーガレット様が注意してなかったので、誰にでも使えるレベルの魔法ではないのでしょうが……。



 魔獣の討伐は何事も無く終わりました。

 ルビィさんの雷魔法がすごかったです。

 屋敷に帰る前に、どこかの街でお昼を食べようという話になって、トパーズさんに乗せてもらって移動していたのですが、その途中でトパーズさんが何かに気付きました。

 森の奥の木の枝で、女の子が泣いていたのです。

 近くにトパーズさんが降りられる場所がなかったため、私が翼を出して空から近づいて、泣き止むのを待って話を聞きました。


 女の子の名前はソーニャ。猫系の獣人族でした。

 ソーニャさんはお兄さんやお姉さんと一緒にキノコを採りに行く途中でイノシシの群れに襲われて、木の上に逃げるように言われたそうです。

 私が話を聞いている間に、マーガレット様は周囲の気配を探って戦闘が行われている場所を見つけ、イノシシの群れをあっさり討伐されていました。


 その後は怪我をしていたお兄さんを治療したり、三人兄妹を家まで送っていったり、トパーズさんにイノシシを運んでもらったりしました。

 せっかくだから、討伐したイノシシをソーニャさんの一家にプレゼントしようと言いだしたのはソウタ様です。

 ソーニャさんたちは森の外れにある大きな果樹園に住んでいるそうで、家族を助けてもらったお礼にと、果樹園のオーナーから果物を頂きました。

 早速、夕飯のデザートにリンゴのタルトをお出ししたのですが、ソウタ様はかなり気に入られたご様子。

 口いっぱいにタルトを頬張るソウタ様を見て、私の胸も感動でいっぱいになりました。


 ……今日、少しはソウタ様のお役に立てたでしょうか?

 護衛としては明らかに、マーガレット様やソウタ様のパートナーの方々に劣っている私ですが、いざという時のための備えを怠らず、末永くお仕えしたいと思います。


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