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伝説の英雄に召喚されたゴーレムマスターの伝説  作者: 三月 北斗
第十六章 ダイヤモンドランク
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2 進化(前編)

 今日も美味しい朝ご飯。

 食後のコーヒーを飲みながらリンドウが進化した話をマイヤーにしたら、進化した相棒たちのお披露目をマイヤーも見に来ることになった。

 ……なんだか、すごく期待されてる気がするけど大丈夫かな?

 オニキスも進化したって言ってたから、広い場所の方が良いだろう。

 ルビィを抱っこして屋敷の裏庭へと移動した。


「それじゃあ、最初は——」

「ピーゥ! ピーゥピーゥ……」

 ……リンドウから連絡が回ってたのかな?

 上空からトパーズの鳴き声が聞こえてくる。

 どうやら、いつもの大鷲の姿になっているようだ。


「トパーズ〜。何ができるようになったのか、見せてもらえる?」

「ピーゥ‼」

 すーっと高度を上げたトパーズがピカッと光る。

 次の瞬間、全身が炎に包まれた巨大な鳥が上空に現れた。

「あれは……。火の鳥かな?」

「……フェニックスではないでしょうか?」

 大きさはロック鳥の姿の時と同じぐらい? 一回り小さいかも。

 頭の冠羽も、大きな翼も、長い尾羽も、全身が赤く燃えている。


「あっ…………。あーっ! 思い出した‼」

「どうしたのですか? ソウタ様」

「トパーズを造るとき、いろんなイメージを籠めたんだけど、この姿もその中にあったんだよ。そうか……。進化して変身できるようになったんだね……」

「ピーゥ! ピーゥピーゥ‼」

 燃える翼をバサッと振れば、青白い光線が周囲に広がる。

 開いたクチバシからは、巨大な火の玉が撃ち出される。

 見た目も攻撃パターンも、中学生の頃にやりこんでたシューティングゲームのボスに良く似てる……。ちょっと似すぎてる?

 これぐらいなら大丈夫かな? 大丈夫って何だ?


「トパーズ! 元の姿に戻れるんだよね?」

「ピーゥ!」

 一瞬で大鷲の姿に戻ったトパーズがすーっと綺麗な弧を描き、僕とマイヤーの前に降りてくる。

 優しく頭を撫でてやると、気持ちよさそうに目を細めた。

「うんうん。かっこよかったよ、トパーズ」

「ピーゥ!」

「フェニックスは死んでも蘇るだけでなく、姿を見た者に幸運をもたらすと聞いたことがありますが……。トパーズさんにもその力があるのでしょうか?」


         ☆


「それじゃあ、次はオニキスかな? ルビィはちょっと待っててね」

「みゃあ〜」

 ルビィを地面に降ろして、首に掛けていた革紐を引っ張って、服の下から漆黒の勾玉を取り出す。

「オニキス〜!」

「やー!」

 僕が名前を呼ぶと、人間サイズのオニキスが現れた。

 いつものように、右手で見事な敬礼をしているオニキス。

 サラマンダーと戦ったとき、途中から氷の身体に変わってたけど、今は鉄の身体に戻っている。


「おー……。かなりスタイルが変わったんだね。腰の位置が高くなって、全体的にすっきりして……。パワータイプからスピードタイプに進化したのかな?」

「やー!」

 最初に造ったときは相撲取りに近い体型だったのが、スタイルの良いモデルのような体型に変わっている。

 身長も伸びたのかな?

 人間サイズでも、僕より背が高くなったようだ。

「ずっと気になってたんだけど、蛇に噛まれた傷は残ってないようだね。マントも綺麗に治ってるし……」

「やー……」

 オニキスの周りを回りながら、腕や脚を丁寧に撫でて状態を確かめる。

 戦いが終わった直後に診たときは、氷の身体に傷一つなくて、問題ないと判断したんだけど、あの時の診断が当たっていたようだ。

 氷の身体の時は、傷があっても空気中の水分で勝手に治るんだろう。

 そこから身体を鉄に戻せば、傷が治った鉄の身体になる、と。


「オニキスVer3.0ってとこかな。それで、進化してできることが増えたってリンドウから聞いたんだけど、見せてもらえる?」

「やー!」

 僕やマイヤーが居る場所から駆け足で離れていくオニキス。

 くるりと振り返ると、辺りの景色がぐにゃりと歪んだ。

「……あれっ? 大きくなった?」

「みゃあっ! みゃみゃみゃあっ!」

「これは……。すごいですね」


 いつもの感じで上を向くと、何故かオニキスの腰が見えた。

 さらにすーっと視線を上げて、ようやく顔が見えてくる。

 見上げているだけで首が痛くなりそうだ。

「身長が前の倍ぐらいある? まさかと思うけど、巨人姿のマルーンに対抗したんじゃないよね?」

 声が届いたのかどうかわからないけど、オニキスはすっと視線を逸らした。

 身長でマルーンに負けたのが、よっぽど悔しかったのか……。


 ……リンドウ。もっと近くでオニキスを見たいんだけど。

『了解しました』

 心の声で相談するだけで、僕の背中に竜の翼が生えた。

 ふわりと空を飛んで、巨大なオニキスの顔に近づく。

 屋敷の屋根より高くて……。本当に大きいな!

「大きくなったオニキスの動きを見たいところだけど、ここで運動したら屋敷が危なそうだね。また今度にしようか?」

「やーやー!」

「んっ? 手に乗れってこと? ……こうかな?」

 手の平を上に向けて、オニキスが左手を胸の辺りに出した。

 マルーンの手に乗ったのを思い出しながら、素直に手に座る。


「……えっ? えっ? オニキスが浮いてる⁉」

「やー!」

 ふわりと浮き上がった鉄の巨人が、僕を落とさないように両手をくっつけてボウルのように丸め、そのまま海の方へと飛んでいく。

 ゆっくり飛んでるのは僕に気を使ってるのかな?

 竜の翼で空を飛ぶのともトパーズに乗るのとも違う、不思議な感覚だ。

 ……これって、リンドウが魔法を使ったの?

『いいえ。オニキスさんが自分で、飛行の魔法を使えるようになりました』

「オニキスもすごいなぁ……。よくがんばったね、オニキス」

「やー……」



 海上に出て少し進んだところで、オニキスが止まった。

「……ここで大丈夫なの? それじゃあ、動きを見せてもらえる?」

「やー!」

 背中の翼を使って、鉄の手の平から浮き上がる。

 僕がある程度離れたタイミングで、オニキスが拳を握りしめた。


「やー! やー! やーやー!」

 正拳突き。上段蹴り。回し蹴り。

 空に浮いてるのに、地に足が付いてるような動きをしてるのが面白い。

 最初の方は普通の空手っぽい動きだったけど、徐々に現実には有り得ない、激しい動きが混ざりはじめる。

「やー‼」

 気合いのこもった声と同時に、鉄の拳から炎の弾が飛び出した。

 ……これって、僕が美大時代にやりこんだ格闘ゲームのモーション?

 たまたま似てるように見えるだけ? これぐらいならセーフ?


「身体がスリムになって、技を出しやすくなったのかな? それでも、パワーが落ちた感じはしないし……。うんうん。かっこいいよ、オニキス」

「やー!」

 見せたい動きが全て終わったのだろう。

 腰の横で拳を握りしめた姿勢で、オニキスの動きが止まった。

 ……微妙にドヤ顔をしてるように見えるのは気のせいかな?


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