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伝説の英雄に召喚されたゴーレムマスターの伝説  作者: 三月 北斗
第十六章 ダイヤモンドランク
164/220

1 体調不良

 巨大サラマンダーとの戦いを終えた翌日。

 リンドウの転送魔法で自分の屋敷に戻った僕は、そのまま体調を崩して寝込んでしまった。


 微妙に熱があって、頭痛がして、関節が痛くて、身体が重く感じる。

 千年闇の森で野良ゴーレムを倒したときと同じような症状だ。

 あの時と違うのは、不思議なほど眠くなったことかな?

 ルビィと一緒に広いベッドでぐっすり寝てしまった。


 起きてからマイヤーに聞いた話だと、サラマンダーとの戦いで放出された大量の魔力が僕の身体に影響して、体調を崩したのかもしれないそうだ。

 魔力の扱いに慣れていない人間に、稀に起きる症状らしい。

 そう言われてみると、前に寝込んだのは天使のグリゴリエルさんに誘われて浮島に行った時だったっけ。


 僕にはわからなかったけど、浮島も魔力が多いとか?

 魔法の女神のレムリエルさんが、自然と魔力を放出してるとか?

 ただの風邪だった気もするけど……。念のため、ユーニスが戻ってきたら相談してみよう。


 前に寝込んだとき、何気なく口にしたのを覚えていたようで、エミリーさんがメロンを出してくれた。

 この辺りのメロンは旬を過ぎているので、わざわざ北の方から取り寄せてくれたらしい。

 よく冷えたメロンはとても甘くて美味しかった。

 ルビィも気に入ったみたいで、可愛く鳴いておかわりを要求していた。

 ……猫はメロンを食べても問題ないんだっけ?

 まぁ、本人が喜んでるみたいだから大丈夫だろう。たぶん。


         ☆


『おはようございます。マスター』

 寝ているような起きているような、夢うつつの気分を味わっていたら、頭の中から女性の声が聞こえてきた。

 何度も聞いたことがある、落ち着いた雰囲気の声だ。

「おはよう、リンドウ……。リンドウだよね……?」

『はい、リンドウです。体温は平熱に戻ったようですが、身体の調子はいかがでしょうか?』

 ベッドに横たわったまま、指を組んで両手を頭上に掲げる。

 そのまま、背中を反らせて身体全体を伸ばし、大きく息を吸った。

「ん〜……。身体が重い感じはないし、ぐっすり寝て頭もすっきりしたし、体調は万全、かな?」

「それは良かったです。マスターが元気になられたのなら、私たちからお願いしたいことがあるのですが——」

「……あれっ?」


 さっきまで頭の中に直接届いていた声が、急に耳から聞こえてくる。

 慌てて声が聞こえた方に視線をやると、いつの間にかベッドの横に、いかにも魔法使いっぽい服装の女性が立っていた。

 前にも同じようなことがあったけど、今日はあの時より、姿がはっきり見えているような……。気のせいかな?

 思わず、上半身を起こしてじっくり覗き込んでしまった。

「リンドウ、だよね……?」

「はい。マスターに造っていただいたリンドウです。精霊との戦いで経験を積んで進化して、短い時間であれば肉体を構築できるようになりました」

 上が尖っていて日よけの部分が大きい、すみれ色の帽子。

 帽子と同じ色で、全体がゆったりとした作りのローブ。

 手に持っている杖は樫の木でできてるのかな?

 雪のように白い肌。切れ長の瞳。

 肩にかかるぐらいの長さで切りそろえられた、紫色の髪。


「見た目は自由に変えられるので、リクエストがあればいつでもお申し付けください」

「これは……。すごいね……」

 話をしている間にも、髪がするする伸びて金色に変わり、耳が尖って目元や鼻の形も変化して、ユーニスそっくりの容姿になった。

 続けて、金色の髪が青色に変わり、長かった髪が縮んで短くなり、今度はアラベスそっくりに変わる。

 右腕に腕時計のリンドウが居るのにベッドの横にもリンドウが居て、リンドウがアラベスの姿になって……。なんだか変な感覚だ。


「私と同じように、トパーズさんとオニキスさんも進化してできることが増えました。それを、マスターに見ていただきたいとの話がありまして……」

「つまり、みんなのお披露目に付き合えば良いんだね? 朝ご飯を食べたあとでいいかな?」

「はい。その時間で大丈夫——」

「ふみゃああぁぁ〜」

 枕元で丸まっているルビィから、大きなあくびが聞こえてきた。

「……起こしちゃったかな? ごめんごめん」


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