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伝説の英雄に召喚されたゴーレムマスターの伝説  作者: 三月 北斗
第十四章 穏やかな日々(?)
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8 妖魔の森へ

 いろいろあったけど、アラベスとマーガレットの練習がはじまった。

 アラベスはかなり力が入ってるように見えるけど、マーガレットの方は新しい剣が気になってるのかな?

 どこかぼんやりとした雰囲気のまま、打ち込みを軽く流している。

 うーん……。これはちょっとアラベスがかわいそうだ。

 アラベスにも同じような剣を作れば良いのかな?

 勝手に作ってプレゼントしても喜ばれるとは限らないし、あとでこっそり聞いてみるか。


 アラベスとマーガレットの練習がいつもより早く終わり、次はヒイラギとマーガレットの番になった。

 どちらもミスリル製のロングソードを手にして向かい合う。

 ここ数日と同じように最初こそ大人しい打ち合いだったけど、徐々に速度が上がり、僕には残像しか見えなくなる。

 まさか、新しい剣が砕けることはないと思うけど……。


 ——キイィィィンッ‼


 強化ガラスが勢いよく当たったような音。

 剣と剣が激しくぶつかり、広がる衝撃が周りの木を揺らす。

「これはちょっと……。止めた方が良いんじゃないか?」

「そうは言っても、ああなったマーガレット様を止めるのは……」

 横に居るユーニスとアラベスの顔が青ざめている。

 話を聞いているだけで不安になる。

 ヒイラギとマーガレットは、楽しそうに剣を振るってるけど——


『緊急の連絡、失礼します。マスター』

 いきなり頭の中に、女性の声が聞こえてきた。

 ……この声はリンドウだよね? どうしたの?

『二人の剣が今のペースで加速すると、私の魔法障壁でも屋敷を守れなくなる可能性があります。もっと安全な場所に移動することを推奨します』

 ……わざわざリンドウが声をかけてくるぐらいだから、本当の話だろう。

 って、このままじゃ屋敷が危ないってこと⁉

「そこまでー‼ ストップ! ストーップ!」


 僕が声をかけると、ヒイラギの動きがピタッと止まった。

 少し遅れてマーガレットも、剣を振ろうとしていた手を止める。

「屋敷が危ないから続きは安全な場所で……。二人とも良いよね?」

「……そうね。周りを気にしなくて良い場所で、思いっきりやりましょう」

 すっと剣を鞘に収めたヒイラギが小さく頷く。

 心の底から楽しそうに、マーガレットが微笑んだ。


         ☆


 前にエミリーさんから聞いた採石場に案内しようと思ったんだけど、マーガレットはもっと良い場所を知っているらしい。

 妖魔の森の奥なら、どれだけ暴れても誰にも迷惑をかけない、と。

 マーガレットはすぐにでも行きたがっていたけど、時間も時間だし、僕の屋敷でお昼を食べてから行くことにした。


 月に一回は遊びに来て欲しいってパーカーさんから言われてたし、ちょうど良い機会だろう。

 転送魔法で行くことにして、前みたいにパーカーさんを驚かせないように、マイヤーから先に連絡を入れてもらう。

 今日は泊まらせてもらうつもりだから、その話もしてもらって、マイヤーには荷物の用意もしてもらって……。


 あっ、そうそう。

 マーガレットの世話をしに来ているメイドさんたちにも、一緒に行くか聞いてもらえる? あとは……他に何かあったっけ?

 えっ? 全てマイヤーに任せれば大丈夫?

 僕はゆっくり昼ご飯を食べてれば良い?


 それじゃあ、あとは任せたよ。

 ……忘れないうちに、トパーズに言っておかなくっちゃ。



 美味しいお昼ご飯を食べたあと。

 マーガレットとユーニスとアラベスとマイヤーと二人のメイドさんを連れて、転送魔法で冬の城へと移動。

 出迎えてくれたパーカーさんに荷物を預けて、僕とマーガレットは剣の練習に行くことになった。

 正確に言うと、練習をするのはマーガレットとヒイラギで、ヒイラギは僕の護衛だから僕も一緒に行くことになった。

 どんな練習をするのか興味があったし、僕ひとりなら守り切る自信があるってリンドウも言ってるし、大丈夫だろう。たぶん。


 マーガレットが言っていた練習に良い場所は、冬の城から歩いて三日ほどの位置にあるらしい。

 魔法で飛んでいけばあっという間?

 僕が飛べるって話は……アラベスから聞いたのね。

 抱っこしていたルビィをユーニスに預け、リンドウに頼んで翼を生やしてもらったタイミングで、マイヤーも背中から翼を出していた。


 ……マイヤーも一緒に来るの?

 ボディガードだから離れる訳にはいかない? 大丈夫かな?

 僕よりしっかりしてるのは間違いないし、大丈夫だろう。



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