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伝説の英雄に召喚されたゴーレムマスターの伝説  作者: 三月 北斗
第十四章 穏やかな日々(?)
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7 マーガレットの剣

 三日連続で木剣が砕けた。

 屋敷の下働きが多めに用意してくれたのに、このペースだとあっという間になくなりそう。

 毎日、中途半端なところで練習が終わって、マーガレットは欲求不満?

 アラベスとの練習が激しくなってるのは、その影響だろう。

 強がっているけど、このままだとアラベスの身体が心配……。

 仕方がないので、僕が剣を造ることにした。


 練習に使っても壊れないように丈夫な剣にするのは確定として、それ以外の部分はどんな剣がいいか、マーガレットに聞いてみた。


 ……ヒイラギが持ってるのと同じで良い?

 なるほど。純粋に腕前だけの勝負がしたいのね。

 あれはミスリル製で、刃が潰してあって、扱いが難しいと思うけど……。全く問題ない? 使いこなしてみせる?

 マーガレットがそう言うのなら、大丈夫かな。



 昼食後から作業を始めて、お茶の時間の前に新しい剣が完成した。

 やっぱり、同じ物を二度作るのは楽だな。

 思ってたより早くできたので、鞘に軽く飾りを入れておいた。

 女性が使う物だから、見た目にもこだわって良いだろう。

 ……そう考えると、ヒイラギの方にも飾りを入れるべきか?


 僕の体型に合わせて造ったから見た目は男物の鎧っぽいけど、作ってた時のイメージは強くて信念を持った女性だ。

 ……ヒイラギの鞘にも飾りを入れておこう。

 基本となる図案は同じで、色を変えて——

 マーガレットの鞘にはオレンジで、ヒイラギの鞘には白で、尖った葉っぱの模様を入れてみた。

 ヒイラギも喜んでくれたし、これで良かったかな。


         ☆


 翌日。練習がはじまる前に、マーガレットに剣を渡した。

「マーガレットさん。これをどうぞ」

「これって、昨日お願いした剣? もうできたの⁉」

「鞘の模様以外はヒイラギのと同じにしてあります。昨日も言ったけど、本気で斬ろうと思った時だけ刃が出るので、扱いには気を付けてください」

「ありがとう……。早速、試してみるわね」

 マーガレットはロングソードを扱ったことがあるみたいだ。

 慣れた手つきで鞘から剣を抜いて、横に居たユーニスに鞘を渡し、僕たちの居る場所から少し離れた。


 片手で持って軽く振り回す。

 両手でしっかり握って振り下ろす。

 ミスリル製の剣は普通の剣より軽いけど、練習に使う木剣より重い。

 ……マーガレットにはこれぐらいの重さが良いのかな?

 素人目にも、しっくりきているように見える。

 エルフのお姉さんに武骨なロングソードはどうかと思ったけど……。これはこれで有りだな。似合ってる。


 くるりと身体の向きを変えたマーガレットが、裏庭に生えている太い木に向けて剣を振った。

 白い光が帯となって、残像が目に焼き付く。

 落ちてきた木の葉が二つになり、さらに分かれて四つになる。

 ……今、剣で斬ったよね?

 一瞬だけ本気になって刃を出して、元に戻した?

 マーガレットはもう、新しい剣を完璧に使いこなしているようだ。

 僕には使いこなせないんだけど……。そもそもの剣の腕が違うんだから、仕方がないか。



「剣聖が使っていた剣を試したこともあるけど、それと同じぐらい……。いや、ソウタ君の作った剣の方が格上かもしれないわね」

「それって、国によっては国宝になるレベルじゃないですか」

 戻ってきたマーガレットがユーニスと話をしながら、鞘へと剣を収めた。

 頬がほんのり赤くなってるのは、それだけ喜んでくれたのかな?

「国宝にならない方がおかしいレベルよ。でも、こんなにすごい剣をもらって良いの? 本当に?」

「元々、マーガレットさんに使ってもらうために作った剣ですから、どうぞ好きなように使ってください」

「ありがとう……」

「……あれっ?」

 身構える暇すらなく、僕はマーガレットに抱きつかれていた。

 ほんのり甘い香り。ふんわり柔らかい謎の感触。

 前にもこんなことがあったなぁ……。


「ちょっと、マーガレット様!」

「マーガレット様‼ 抱きつくのは禁止だと言ったでしょう!」

「剣を作ってもらったお礼だから、これぐらい良いでしょう?」

「駄目です!」

「早く離れてください!」

「みゃあみゃあ〜」

 ユーニスとアラベスが二人がかりでマーガレットを引き離す。

 マイヤーの胸元から、ルビィが面白そうにこっちを見てるけど……。

 いつの間にか、僕の腕から居なくなってたよね?

 こうなるって予想してたのなら、教えてくれれば良かったのに。



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