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2 顔合わせ(前編)

 妖魔の森の上空を城が飛んだ日の翌々日。

 朝ご飯を食べ終えたタイミングで、マイヤーから声をかけられた。

「ソウタ様にお願いしたいことがあるのですが、宜しいでしょうか?」

「僕にできることなら……」

「新しく屋敷で働くことになった者に、ルビィさんやトパーズさんを正式に紹介していただきたいのです。いざという時、対応に困るようなことがあってはならないので」

「にゃあっ?」

 名前を呼ばれたのがわかったのか、朝ご飯を食べてソファで丸まっていたルビィがこっちを向く。

「それはそうだね。それじゃあ、良い機会だからユーニスやマーガレットにも紹介しようか。僕は工作室にいるから、準備ができたら呼びに来てもらえる?」

「了解しました」


         ☆


 冬の模型に手を入れてところにマイヤーが呼びに来て、ルビィを抱っこして屋敷の裏庭へと移動。

 思ってたより大勢の人が待っていた。

 ユーニスとマーガレットとマーガレットのお付きとして引っ越してきた二人のメイドさんはわかるけど、アラベスにエミリーさんまで?

 後ろの方には前から屋敷で働いてる人も、十人ほど並んでる。


「ソウタ様からパートナーを紹介していただけると話をして、興味を持った者は全員に参加を許可したのですが、宜しかったでしょうか?」

「ちょっとびっくりしたけど、大丈夫だよ」

 特にトパーズやオニキスは、ずっと屋敷で働いていても見たことがない人もいるだろうし、紹介する良い機会だろう。

 ……使用人をまとめる立場のエミリーさんが参加してるって事は、そういう意味に違いない。


「それじゃあ、最初に全員を紹介しますね。個別の挨拶や質問は、あとで時間をとりますから」

「どうぞ、ソウタ様にお任せします」

 そう言ってマイヤーは、待っていた人の方へと移動した。

 マイヤーとアラベスには紹介が不要というか、むしろ、紹介を手伝って欲しいぐらいなんだけど……。一人でやるしかないようだ。



「まずはルビィから……。この、僕が抱っこしている白猫がルビィです。尻尾が二本ある白猫は珍しいそうなので、見間違えることはないと思います」

「にゃあ〜」

 とりあえず、近くにいたマーガレットとユーニスに説明する。

 自分が紹介されたのがわかったのだろう。

 すっと背を伸ばしたルビィが可愛い声で鳴いた。

「普段は猫の姿ですけど……。ルビィ!」

「にゃあっ!」

 僕の腕からぴょんっと降りたルビィが、一瞬で豹の姿に変化した。


「こんな風に、豹の姿になって僕を助けてくれたりします」

「おおぉぉ〜……」

「これは……。すごいな……」

 声が漏れたのは、前から屋敷で働いてる人たちかな?

 ユーニスは大きくなったルビィを前にも見たことがあるし、マーガレットは話を聞いていたのだろう。そんなに驚いてる感じはしない。

 新しく屋敷に来た二人のメイドさんは……ちょっと引きつってる?

 これぐらいなら紹介を続けても大丈夫だろう。たぶん。


「それでは、次は……。トパーズ!」

「ピーゥピーゥ……」

 相棒の名前を呼ぶと、思ってたより近くから鳴き声が返ってきた。

 翼を広げたトパーズがすーっと飛んできて、ルビィの横に着地する。

 優しく頭を撫でてやると、大鷲がコロコロと喉を鳴らした。

「この子がトパーズです。いつもは森に居るけど、僕の部屋のバルコニーに遊びに来たりするので、見かけても驚かないでくださいね」

「わかりました」

「覚えておきます」

 新人メイドさんに軽く注意しておいた。

 いきなりトパーズを攻撃するようなことは無いと思うけど、念のためにね。


「トパーズには、遠くに行く時に乗せてもらったりします。……トパーズ!」

「ピーゥ‼ ピーゥピーゥ!」

 紹介を続けながらさりげなく、ルビィと一緒にその場を離れる。

 再び名前を呼ぶと、トパーズは一瞬でロック鳥の姿に変身した。

 ……みんなとの距離が近すぎたかな?

 誰とは言わないけど、大口を開けてトパーズの顔を見上げている姿は、他の人に見せちゃいけないような気がする。


「トパーズ、ちょっとだけ下がってもらえる? ……うわっ!」

「きゃあっ!」

「ひゃあんっ!」

 トパーズが軽く羽ばたいただけで強い風が巻き起こり、離れていた僕まで飛ばされそうになる。

 メイドさん達のスカートがもう少しで危ないところだった。

 いや、僕は何も見てないけど。見てないけど。


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