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伝説の英雄に召喚されたゴーレムマスターの伝説  作者: 三月 北斗
第十一章 ウィンターロック城
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9 ウィンターロック城(前編)

 僕が作った魔水晶は下の方に白い部分が少し残ってるだけで、ほとんど透明になっていた。

 ……充填しすぎた? 大丈夫かな?

 さっき聞こえた声は怒ってる感じじゃなかったし、問題ないと信じよう。


 自分で作った魔水晶をさっと撫でて、白い粘土に戻す。

 サイズを小さくして……ついでに、水色の魔水晶にしておくか。

「ありがとう、ソウタ君。これで、城の守りも万全になったわ。……粘土を触ってるところを初めて見せてもらったけど、本当にすごいのね」

 作業が終わったのがわかったのだろう。

 横に来たマーガレットから声をかけられた。

 こういうのを、賞賛の表情って言うのかな?

 憧れの先輩とようやく二人っきりになれた、少女のような表情で……。そんなにキラキラした瞳で見つめられると、ちょっと恥ずかしいです。

「すごいのは僕じゃなくて、女神さまにもらった粘土ですよ」

「にゃああぁぁ〜〜」

 ……どうしてルビィがドヤ顔になってるのかな?


「大きな魔水晶を作ったのもすごかったけど……。その腕はどうしたの? ソウタ君は普通の人間よね?」

「これは、リンドウが魔法で出してくれたんです。この前もらった本に翼を出す魔法が載ってたので、その応用で」

 自分の腕と同じぐらい自然に使ってたから忘れてた。

 いきなり腕が六本になったら、それはびっくりするよね。

「ソウタ君は、腕が多いのは気にならないの? 気持ち悪かったりしない?」

「ん〜……。特に気になることはないですね。腕が多いと便利ですし、僕が居た世界には阿修羅像っていう、腕が六本あるかっこいい像もありましたし」

 最初に思いついたのはプロレス漫画で有名な超人の方だったけど、これは説明が難しすぎるだろう。

 マーガレットと話をしながら足元のリュックに魔水晶を戻し、そのまま背中に背負う。

 肩から生えた腕が邪魔になったけど、すぐにリンドウが消してくれた。


「よかった……。それじゃあ、礼拝室に戻りましょう!」

「えっ? あっ、あのっ、マーガレットさん?」

 自由になった僕の右腕に、マーガレットの左腕が絡んできた。

 ……片手でルビィを抱っこしてるの? 腕を組んだ状態で階段を上るのって危なくない?

 すごく機嫌が良くなったように感じるのは気のせいかな?

「ねぇ、ソウタ君。せっかくだから、魔術具のテストにも付き合ってもらえないかしら? ずっと動かしてなかった装備には確認作業が必要でしょう?」

「それは良いですけど、その前に腕を——」

 マーガレットの身長は僕と同じぐらい。

 腕を組むと、お互いの顔がすごく近くなる。

 普通に話をしてるだけで、甘い吐息が顔にかかって——

「クスッ……。ユーニスやパーカーに邪魔されないのはここだけだから。これぐらいサービスさせて。ねっ?」


         ☆


 あと少しで礼拝室に着くというところで、マーガレットは名残惜しそうに腕を解いた。

「ここからは城の主として、私が仕事をする番よ。だから、ソウタ君はしっかり見ててね」

「あっ、はい。わかりました」

 さっきまでの甘い雰囲気はどこかに消え、見たことがないほど真剣な表情になっているマーガレット。

 ……魔術具のテストって、そんなに危ないこと?

 僕の胸にルビィを抱っこさせて、マーガレットは階段を上っていった。


「ソウタ君のおかげで、城の魔水晶に魔力が満たされました。続けて魔術具のテストを行います。パーカー! 担当者を司令室に集めて、他の者にも起動に備えるよう通達を」

「はっ!」

「マーガレット様。私は……」

「あなたはもう、ソウタ君の専属です。城のことは私たちにまかせて、ソウタ君の側に控えていなさい」

「かしこまりました」

「ユーニスとアラベスは、ソウタ君と一緒に私についてきて」

「はいっ!」

 礼拝室に戻ったマーガレットが、矢継ぎ早に指示を出す。

 待っていた全員に緊張が走り、パーカーが急ぎ足で部屋を出て行く。

 ……まさかと思うけど、これって、僕にかっこいいところを見せようとしてやってるんじゃないよね? さすがにそれはないか。ナイナイ。


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