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バーレシアと四つの小国  作者: はと
第一章
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はじまり

世界でも上から数えた方が早い程の広い領域と長い歴史を持つ、大国バーレシア。この国を作ったのは一人の神と、その神から生まれた五人の子らだとされている。言い伝えは、こうだ。




父様である我らが神は、無であった場所に広い土地を創り恵みを与えてくださった。土が呼吸し、潤いを齎す水が湧き、木や草花は我先にと芽吹いた。神は山を、海を、川を、森を生み出した。


一人目の子は、その有り余る魔力を大地に注いで下さった。枯れてしまう事のないよう、北から南、西から東、天から地に至るまで。神は大層お喜びになった。


二人目の子は、その溢れんばかりの美しさをあらゆるものに分け与えた。花に、海に、動物に、空気にすら惜しみなく分け与えた。神は大層感激なされた。


三人目の子は、その止まることのない発想を一つ残らず書き記した。どんなものでも読めるよう、文字で、図で、絵で、ありとあらゆるカタチで表した。神は大層感心なされた。


四人目の子は、その奮い立つ力を教える事にした。身を守る方法を、力を効率よく出す方法を、隔てなく皆に教え、鍛えてやった。神は大層心強いと仰った。


五人目の子は、善と悪を分けようとした。だが、それは叶わなかった。上の四人の子らの力が暴走し始めたのだ。一人目の子は、大地に力を吸い取られ大樹になってしまった。二人目の子は、美しさを妬んだものから呪われ石にされた。三人目の子は、その知識を騙し盗られ本に閉じ込められてしまった。四人目の子は、教えた力で捕らえられ剣に封じられてしまった。神は大層お嘆きになられた。大雨が幾日も続き、川は荒れ、山は崩れた。


五人目の子は、自分がノロマであったから悪を許してしまったのだと悲しんだ。そして、その力を悲しみのまま奮った。五人目の子は、命に終わりを作った。この苦しみに、終わりが来るように。そしてそのまま、子は静かに死んでしまった。


神は深い悲しみでもって、国を分断した。


一つは北の寒い土地。一人目の子の大樹を移し、閉ざされし雪国にする事で大樹が芽吹かぬようにした。

次に西の海上の土地。石になった二人目の子をそこに移し、陸からの全ての道を消す事で誰にも会わずに済むようにした。

次に南の山間の土地。本に閉じ込められた三人目の子をそこに移し、知識を持ち出せぬように呪いをかけた。

次に南東の荒野。剣に変えられた四人目の子をそこに隠し、力を得たものは皆無秩序にそこへ放した。

最後に中央の土地。神はそこに、五人目の子の亡骸と共に静かに座って目を閉じられた。そうしてこうおっしゃった。


───この苦しみと悲しみを、この国の礎としよう。大地に染みた力を、得た美しさを、貪った知識を、与えられた力を、終わりのある尊さを忘れる事は許さない。


神はお眠りになられた。愛する我が子を抱き、犠牲となった四人の子らを憂いながら。その神を丁寧に整え、最後まで世話をしたのが今の国王の子孫である。





バーレシアは長い時を経て、成長した。神と五番目の子の眠る広い中央の土地に城を築き、神の子らが移された場所を中心に栄えた四つの小国がバーレシアの領域だ。そして今、四つの小国とバーレシア中央都市、ケルアの関係は────なんとも微妙なものになっていた。

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― 新着の感想 ―
序章で引き込まれる文章力が流石だな、と思います✨ 先を読み進めるのが楽しみです!
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