月と子熊
一匹の子クマが、親クマからはぐれて寂しそうにしていた。
見上げるとそこにはほんのりとした光。
まるい月が夜空に浮かんでいる。
子クマはそれを見て、とっても綺麗だな、と思った。
そして、とても美味しそうだな、とも思った。
前に拾って食べたお菓子とそっくりだったからだ。
口の中でころころ転がして、がりがりするのが美味しかったやつの事を思い出した。
子クマは、その月を掴んで食べたいと思ったけれど、いくら手を伸ばしても届かない。
ピョンピョンとびはねてみても、一向に届かない。
そのうち、子クマのお腹はぐううと、なくようになった。
だからずっと、子クマはさみしい思いとお腹がすいた思いをしていた。
だけどそのうち、親クマが呼ぶ声がした。
空の上からおいでおいで。
子クマは、いけないよと鳴いた。
けれど親クマはおいでおいで。
子クマは一生懸命とびはねてみた。
ずっとお腹がぐううと鳴いていても構う事なくとびはねた。
やがて子クマは、大きなジャンプに成功。
親クマの元にたどりついた。
再会に喜んだ子クマは親クマと一緒に、あまいお月様のお菓子を食べる事ができたのだった。