piece.8-1
この章には猟奇的・不快と感じる描写があります。
苦手な方はご注意ください。
ステラは物心がついたときから『星』を読むことができた。
星と人は繋がっているから、星が読めれば、人の未来が分かるのだそうだ。
家族の未来に起こること、どう行動すれば望む結果が得られるか、逆に叶わない願いは何なのか。
それを幼いステラは的確に言い当てていった。
ステラの両親は、周囲の人たちにステラを【星読姫】と呼ばせた。そしてステラに高価な衣服を買い与え、着飾らせた。ステラの家族は、ステラの能力によって、またたく間に一財を築いていった。
ステラの噂は遠い国にまで広がり、貴族たちの間では、ステラに星読をしてもらったか否か、その結果はどうだったのかを話題にすることが流行りとなった。
ステラの家族は、あちこちの貴族から呼ばれ、褒美をもらい、ますます裕福になっていった――――。
僕みたいな貧乏人からしたら、ステラはすごい力を持っていて、お金もたくさんあって、羨ましい限りだった。
「いきなり自慢話?」
「違うわ。私の悲劇の始まりよ……」
僕が嫌味を言うと、ステラは目を伏せて微笑んだ。
――――両親にとって、ステラはただの商品だった。
「私はね、お姫様はお姫様でも、囚われのお姫様だったの」
ステラは、籠の中の鳥だった。
親の言いなりになって、ただひたすら見たくもない他人の運命を読まされる。
抵抗したこともあったけれど無駄だった。
まだ幼いステラにとって、親と縁を切り、自分の力だけで生きていく術はなかったし、考えもつかなかった――――。
「それは、僕もちょっとわかるような気がする……。
今の生き方が嫌だって思っても、他の生き方がわからなくて、結局同じ毎日を過ごすしかないっていう感じ……」
「ふふ、そう?」
憎まれ口を叩かれるかと思ったけれど、ステラは意外なことに優しく微笑んだ。
「あんたは? 親とはどう別れたの?」
そんな質問をされるとは思っていなくて、僕はとまどった。
レネーマの顔をすごく久しぶりに思い出し――嫌な気分になって、途中で思い出すのをやめた。
よく考えたら、もうずいぶんと長い間、レネーマのことを思い出さなかった気がする。
できることなら、ずっと忘れたままでいたかった。
「……普通にお別れしたよ。さよならって」
「そう……あんた偉いわね。私とは大違い。
私はね、家族を見殺しにしたの」
ステラは微笑みながら言った。
僕はそのときのステラの笑い方が、セリちゃんの表情にとてもよく似ていると思った。
泣きながら笑顔を浮かべたときのセリちゃんの――胸が苦しくなってしまう、あの笑顔に――。




