piece.6-3
……セリちゃん、いったいどうしちゃったの……?
僕が心配になっていると、かすかな音が聞こえてきた。
セリちゃんの剣が震えている。柄についた飾りが、振動で音を鳴らしている。
足元から、変な振動も伝わってくる。地面がわずかに揺れている。
「はーい! おれがいっちばーん!!」
地面に穴が開き、小人が続々と飛び出してきた。
「……この……年寄りを……こき使いおって……」
続けてへとへとになったおじいちゃんみたいな小人も出てくる。
僕がわけも分からず固まっている隣で、セリちゃんはいたって普通に小人たちへ声をかけた。
「こら。おっきい声出さない。人間が来ちゃうでしょ。時間ないからすぐ点呼して。はい整列。はい番号はじめ」
セリちゃんのキビキビとした指示で、小人たちはピシッと整列し、端から番号を数えていく。
最後の数まで到達すると、セリちゃんは小人たちに声をかけた。
「ではルールの確認をします。捕まってる仲間を見つけた人は?」
「仲間一人につき、5ポイントゲット!」
「はい。では人間に見つかったら?」
「マイナス10ポイントだけど、眠らせたら相殺して良し! そこにボーナスポイントが2点!」
「はい。じゃあ失敗して眠らせられなかったときは?」
「セリを呼ぶー! だけどマイナス3点ー! セリにプラス2点ー!」
「はい。では減点が嫌で私を呼ばずにピンチになった人は?」
「マイナス20点ー! さらに次回のゲームは参加禁止~!」
「はい。よくできました。
じゃあ一番ポイントが高かった人が次回のゲームを決めてもいい人にします。悪いけど、今回は時間があんまりないから夜明けがタイムリミットだよ。いい?
じゃあよーい……スタート!」
セリちゃんが手を叩いた合図で、小人たちが一斉に屋敷に突撃していく。
「さ、カインも頑張ろう。あいつらが勝っちゃうと次回のゲームは『恐怖! 戦慄の耐久ダンス☆ダンス☆レボリューション』になっちゃうから。負けられないよ!」
セリちゃんが僕の腕を引っ張りながら屋敷に走り出す。
「セリちゃん!? 僕、全然状況が飲み込めないんだけど!?」
僕が分かるのは、小人とダンスを踊るのはものすごく危険だということくらいだ。そしてセリちゃんは、そんな小人たちと仲良しっぽい。
でもセリちゃん、小人は危険だって言ってたのに……。あれ? おかしいなあ。
もしかして、前の怖い話に出てきたAさんって――もしかして、セリちゃん……自分のことだったんじゃあ……。
セリちゃんに手を引かれ、僕はまだ頭が混乱したまま、グートの屋敷に潜入した。
なんだかよく分からなかったけれど、セリちゃんが楽しそうに見えたので、とりあえず僕は流れに乗ってみることにした。




