piece.27-9
ここでようやくステラは僕の上から降りてくれる気になったらしい。
ステラは軽いから乗られてもそこまで重いわけではないけれど、ずっと地面に転がされたまま上に乗られ続けるのは、なんていうか……根本的にいい気分はしない。
「あ、うん。セリちゃんはディマーズの建物の中にいるよ。あ、そうそう、セリちゃんね、ずいぶん回復したんだよ。今は自分の中の毒もコントロールできるようになってて……」
「だから知ってるわよ。私を誰だと思ってんのよ。なめんじゃないわよクソガキ。
まあいいわ、帰ったらセリに言っといて。セリはここしばらく外に出ると運気が最悪よ。悪い男に引っかかって人生を棒に振るわ。家の掃除をすると吉よ。徹底的に自分の部屋を掃除するように言っときなさい」
有無を言わさぬ勢いでステラがセリちゃんの占いを伝えてきた。
「あはは、部屋の掃除だね? うん、分かったよ、セリちゃんに伝えとく」
それで話が終わると思ってたのに、ステラはまだ僕を睨んでいた。
「……ねえ、あんたさあ、なんで私の星読を無視して出てったわけ? 私、迎えが来る星回りだから待ってなさいって言ったわよね? セリが戻ってくるまで、なんで待てなかったのよ」
これは相当根に持っているらしい。
ネチネチ言われ続けてもたまらないので、素直に謝ることにした。
「えーっと、あれは……ステラが『迎えが来る』って言ってたのを僕が勝手に勘違いしちゃっただけなんだ。
セリちゃんの知り合いの男の人に会った瞬間に『ステラの言ってた『迎え』ってこの人のことだ!』って思って、ついて行っちゃったんだよね。
しかもその人、僕のこと置いてすぐ行こうとするから慌てちゃって……だから、ごめん」
「そう……」
でもステラはまだ怒った顔をしている。なかなか許してくれないらしい。
「これ……大事なことだから、今度はちゃんと頭に叩き込んでおきなさいよ。
あんた、これから大きな選択をすることになるわ。いい? あのときみたいな勢いで決めるんじゃないわよ。絶対に後悔するわ。
だから……行動する前に、ちゃんと頭使って、いっぱい考えなさいね。それから決めなさい。急がなくても間に合うから。あせったらだめよ。やり直しはできないんだから」
ステラの顔があまりにも真剣すぎて、僕は気圧されてしまった。




