piece.27-5
セリちゃんを助けることができるかもしれない手掛かりを知る人だ。
もし何かあったら大変だ。
「そのクロムって人……もしかして危ない目にあってたりとか……大丈夫なんですか?」
「ああ、クロムは大丈夫だよ。そんな簡単にやられるようなやつじゃないから。
そのへんは心配してないんだ。それよりも治安が悪くて困るのは、要は手紙とか、そういう手段での連絡が取れないってことの方だね。
セリ姉がここに戻ってきたし、これで僕への監視もなくなると思うから、直接クロムに会いに行こうかなとも思ってるんだ」
「監視って……前にロキさんが言ってた、レキサさんがエヌセッズのスパイだって話のことだよね? そのせいで監視されてたの?」
「まあね。もともと僕が先にセリ姉を見つけてれば、ディマーズじゃなくてエヌセッズに連れて行こうと思ってたんだ。
僕がセリ姉を治療して、もうディマーズには戻らないようにしようと思ってたんだよね。その方がきっとセリ姉にとって一番いいと思ったから。
もちろん、最初っからそんなのディマーズもお見通しだったみたいで、全然単独行動させてもらえなかったけどね」
「レキサさんは、これからどうするの? ディマーズを辞めてエヌセッズに戻るの?」
「うーん、どうかなあ。僕としてはエヌセッズよりディマーズの方が性に合ってる気がするのはあるんだよね。
このままディマーズで働くのも悪くないなって思ってて……実はそこが悩むところ」
意外だった。
レキサさんはディマーズの人みたいに怖くないから、エヌセッズの方が合ってると思ってたんだけど。
レキサさんはディマーズの方が居心地がいいんだ……。
そこへ、部屋のドアをノックする音が響き――。
「レキサ~? もう準備できた~? もう待ちくたびれちゃって迎えに来ちゃったわ!」
「――ど……っ!?」
突如部屋に入ってきた迫力美女に度肝を抜かれ、僕は口から変な声が出た。
僕は一体何を口走りそうになったんだろう。
どえらい美女?
どれだけのお色気?
ド迫力?
返事をする前に、問答無用で部屋に入ってきたのは、ナナクサになってるときのシロさんにも負けず劣らずの迫力美人だった。




