peace.26-19
起きまっしゅ……?
あれ? このフレーズ……どこかで……。
僕は必死で自分の記憶を大捜索した。
(『お前は鳥だ、飛べ!』って言ったら、あいつ『はい! 飛びまっしゅ!』って言って崖からダイブしたんだ)
シ……シロさん……!
あの話は、嘘じゃなかったんですね……!
本当の真実だったんですね……!
この僕の……今まさに目の前にいるこの人は、あの伝説の――!
なんでも言うことを聞いてくれるセリちゃんじゃないですかあぁぁぁぁぁ!
……ないですかあぁぁぁぁぁ!
……ですかあぁぁぁぁぁ!
……かあぁぁぁぁ……!
……ぁぁぁぁ……!
なんだよシロさん! 本当のことならもっとちゃんと詳しく教えておいてくれよ!
こんな急に伝説のセリちゃんに会えるなんて考えてなかったから何の願い事をしていいか何にも考えてなかったじゃないかよぉ! こんなことならもっと前からいろいろ考えておけば良かったよぉぉ! くっそー!
「セ……セリちゃん?」
「はい。しぇりちゃんでしゅ」
「……セ……セリちゃん?
あのね……えっとですね……ぼ……僕に……ぎゅーってしてくだしゃいっ」
「はい、しぇりちゃんはかいんにぎゅーしまっしゅ」
ぎゅー。
はわわわわ! セリちゃんの肌が直に!
ヤバい! 二の腕すべすべ! どうしよう! 幸せで死ぬ! また鼻血吹いちゃう! 耐えろ! 耐えるんだカイン!
「セリちゃん! しゅきです! しゅきしゅきだいしゅっきでしゅ!」
きっと僕も酔っている。
なんかもういろいろ爆発しそう。
頭に血が逆流して燃えそうに熱い。
鼻血が吹き出る5秒前かもしれない。
「はい。しぇりちゃんもかいんがしゅきしゅきだいしゅっきでしゅ」
はわわわわ! 両思い!! 両思いだよ!!
もうダメ! 胸が爆発して砕け散る! もう今死んでもいい!!
だけど――。
ずっと引っかかっていることがあった。




