peace.26-17
「セリちゃん、あんまり飲み過ぎは良くないよ。ここにある瓶、もしかして一人で飲んだの?」
セリちゃんが注いでくれたお酒に口をつけながら、セリちゃんが一体どれだけ飲んだのか情報を聞き出してみる。
「固いこと言わなーい。だってさー、ここで飲むならさー、飲んで酔っちゃってもこのまま寝るだけだしー、こんなに安全な場所他にないよ?
まわりには治安を守る強ーいメンバーが見回りしてるしー、こーんな怖いところに侵入しようなんてやつもいないしー、これからまた緊張する仕事も始まるしー、ほらほら言うでしょー? 真面目もいいけど、たまには羽目を外さないとぷっつんしちゃうんだよー。だからこれは必要なことー!」
ろれつの廻っていないセリちゃんは、珍しく饒舌に語りながら合間合間にも酒をごくごくと飲んでいる。
まるでシロさんみたいな飲み方だ。
「レミケイドにもそう言ったんだけどー、あいつ仕事があるって逃げるんだよー、ひどくなーい?
わらしのしゃけが飲めないのかー! だよねー!」
あははははとベロベロのセリちゃんは豪快に笑う。
――あ。そういえば……。
前にシロさんから言われた言葉を、急に思い出した。
(あいつ、ベロベロに酔わせると何でも言うこと聞くぜ)
……なんでも……。
……なんでも……?
……なんでも……!?
ど、どうしよう。すごいことを思い出しちゃった。
べ、べべ別に僕は、セリちゃんが酔ってる弱みにつけこんで、良からぬことを企んだりなんかしたりしないよ。
そんなことするわけないじゃないかまったくシロさんじゃあるまいし。
…………ただちょっと、シロさんが言ってたことが本当なのかどうかを試しておきたいっていう……そういうのはなんて言うんだっけ……あ、そうそう探求心。
探究心って大事だと思うんだ。そう、生きてく上で。
何が真実なのかを追求することは生きてく上でのロマンだと思うんだよね。
僕は真実を確かめる権利がある。
セリちゃんのパートナーとして、セリちゃんのことをもっとより深く知る必要があると思うんだ。
だから、まずは――。
「セリちゃん。飲み過ぎだからお酒はもうやめよう。ちょっといったん手に持ったお酒は置いてみよう」
セリちゃんはぴたっと動きを止め、僕のことを驚いたように見つめた。




